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[Revenant/Fantome]
[01]第五話 白のあと
しおりを挟むよく考えればわかることなのに失礼なことを言ってしまったような気になる。
「そ、そうですよね。でも、クローダス王と何かしら血縁関係にあるのではないのですか? 貴方の親はどういう方なのですか?」
「親など知らん。俺はシルビアと旅をしているだけだ」
イベリスは再び後悔した。
今度こそ、間違いなく悪いことを言ってしまった。
「あ、失礼なことを聞いてごめんなさい」
親を知らないという事は色々な事情がそこに間違いなく存在する。
若いうちに親が亡くなったのか、親が子を捨ててしまったか。
どちらにしろ、聞いてほしくないことだろう。
イベリスが謝ったのを見て、クローダスはどうして謝るのか分からないという表情をしている。
「えっと、シルビアさんってクローダスさんの保護者なのですか?」
気まずいような気持ちになったイベリスは慌てて、クローダスが言った旅の同行者へと話を移した。
「保護者というより、あいつは俺の従者だ。って、お前、俺を子ども扱いするな。お前よりは子供じゃないはずだ」
クローダスは眉根をしかめながらそう反論した。
イベリスが勘違いするのも仕方ない。
いくら強くても、クローダスはまだ少年なのだ。
だから、共に旅をしている者がクローダスを連れている大人だと考えてしまう。
それにしても従者が居るのならばそれなりの身分であることが窺える。
確かによく見ると、黒のマントはシルクのようで高価な印象を受ける。
マントから時々覗く服の装飾も銀糸を使い、貴族のような出で立ちだ。
「ちっ、それにしてもなぜここまで来ない。近くに来ているくせに」
イベリスの視線に気づき、クローダスはその視線から逃れるように違う方を向く。
「シルビアさんが、ですか?」
「あぁ、ここから先のエトワルという村まで来ている。それなのにここへ向かう様子もない」
「エトワル? そんなに近くありませんよ。馬で駆ければ半日はかかります」
クローダスの言葉に少し引っ掛かりを覚えながらも、イベリスはそう返していた。
エトワルは父ヘリンに連れられて行ったことがあった。
行商人がボードウィン城かバンウィック城のどちらかへ向かう起点として、滞在する場所なのだ。
変わった装飾品や衣類を取り扱う露店も多く、目移りしたのを覚えている。
「なら、尚更向かってきてもおかしくない」
確かにクローダスの言う通り、半日かかる場所ならば向かってきてもおかしくはない。
むしろ、従者であるならば主人だけを向かわせるだろうか。
やはり、逃げ出してきたのではないかと考えてしまう。
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