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[Revenant/Fantome]
[05]第四話 白の中の黒
しおりを挟む「もう、それじゃ素直にお礼が言えないじゃないですか」
二度も助けてくれた少年に対し、イベリスはきちんとお礼が言いたかったようだ。
「何だ? お礼などいらん。ただ、お前は運が良かっただけだ。ついでな様なものだから気にするな」
だが、やはり少年の態度は冷めたものでお礼すらも面倒くさいという態度だった。
「じゃあせめて名前だけでも聞かせてください。えぇっと、私はイベリス。イベリス・ボゥホートです」
そんな態度の少年にイベリスは引き下がらなかった。
最早、少年が諦めるまで意地の勝負となっている。
「お前、俺の話を聞いていないのか? 耳が悪いのか?」
会話を続けようとしているイベリスに呆れたように返した。
「もう、耳が悪いのはどっちですか」
イベリスの言葉に少年は眉をしかめた。
そういう風に返されるとは思っていなかったようだ。
「クローダス。クローダス・グレイティル。ほら、これで満足だろう?」
少年―クローダスはイベリスの押しに諦めたように名前を明かした。
これで会話が終わるなら安いものだと言わんばかりだった。
だが、クローダスの名を聞いてイベリスは目を丸くした。
「クローダス?」
聞き間違いではないかともう一度確認するようにイベリスはそう返した。
「クローダス」
クローダス自身は会話が終わるものだと思っていたのに、もう一度聞き返されたのでうんざりしたようにもう一度自分の名を名乗った。
「あのクローダスですか?」
「どのクローダスだ?」
イベリスがそう聞くのでクローダスはすぐに返した。
「クローダス・グレイティルと言えば、あのクローダスしかいません」
はっきりと、確かな声でイベリスは答えた。
知っていて当たり前というようなはっきりした答えだ。
「残虐な王クローダスです」
それはイベリスがまさに読み返していた本の人物の名前だった。
クローダス・グレイティル。
同じ名前だった。
「知らん」
だが、クローダスははっきりと否定した。
「知らないって、あなたの名前でしょう?」
「俺はただのクローダスだ。それ以上でもそれ以下でもない。全く、どこに行ってもそのことを言われる。うんざりする」
クローダスは飽き飽きしたようにイベリスの言葉に返した。
「え?」
「そもそも、聞いた話じゃ、そいつはもうすでに死んでいて、統治していたのは昔の話だそうじゃないか。俺がそんなに老けて見えるのか?」
クローダスに言われてイベリスはハッとなった。
確かに、残虐な王クローダスは死んだと書かれていた。
それが今生きて目の前に現れるはずがない。
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