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[Revenant/Fantome]

[04]第四話 白の中の黒

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イベリスは唇を噛み、ハイエナの襲撃に備える。

じりじりと距離を測り、イベリスの周りをぐるぐるとまわる。

 「ファントムが居なくなって、血の匂いに誘われたか」

少年は一つ息を吐き、諦めたように肩を下した。

ここでようやくイベリスの方を向いた。

黒い髪に黒い瞳。

その鋭くて刺し貫くような眼光は少年のそれではない。

寝不足のような隈がさらにそれを助長している。

黒いマントを靡く度、黒のジャケットがマントの隙間からちらりとのぞく。

白い雪景色にやけに映えて見えた。

少年はイベリスを囲むハイエナに向かって疾走する。

注意が少年に逸れた一瞬を狙い、イベリスに噛みつこうとしていたハイエナを蹴り上げ、その横にいたハイエナまで吹き飛ばす。

攻撃をされて、ハイエナは鼻を鳴らし、少年を睨みつける。

 「吠えるなよ。騒がしいからな」

だが、動物が人間の言葉を理解するはずもない。

ハイエナは少年に対し、唸りを上げ、吠える。

それを合図に少年を取り囲む。

 「吠えるなって、言ったよな」

静かにそう呟くと、少年は構えをとる。

徒手空拳。

剣を持っているのもかかわらず、素手なのだ。

ハイエナは一斉に少年に牙を向ける。

だが、少年はその牙をものともせずに躱しては、ハイエナの鼻面に拳を叩き込んでいく。

鼻面を叩かれたハイエナは狼狽し、情けない声を上げ後退する。

 「さっさと失せろ、ハイエナ共」

イベリスの前に立ち、少年はハイエナに威圧をかける。

その迫力にハイエナは恐怖し、その尻尾を後ろ足の間へと隠した。

そして、情けない声を上げながら、逃げて行った。

 「なぜ、助けを求めなかった? さっきのファントムとのことといい、死にたいのが本音か?」

今度はちゃんとイベリスの方を向いて言った。

黒い瞳がイベリスを見つめる。

 「死にたいわけではありません。それに、あんな風に言っていた人に助けを求めるのもどうかと思っただけです」

イベリスは少年の態度をよく思っていなかった。

だから、意地になって自分で何とかしよう考えたのだ。

 「あんな風って、どんな風だ? よく分からんが、耳障りな悲鳴を上げない分、獣よりましだと思っただけだ」

イベリスの言葉に少年は首を傾げる。

だがやはり、言い方が酷い。

 「そんな言い方の事ですよ。なんですか、獣よりましって」

足の傷のせいで座りながらイベリスはムッとした。

止血はしたが、まだ、立つまでには至らなかった。

 「お前、やけに突っかかるな。もう済んだことなのだから喋るなよ」

少年は表情を変えることなく、イベリスが話しかけるのが煩わしいという様に言った。

会話をやめたいというような態度をとる少年に対してイベリスはさらにムッとした。





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