なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ

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第16話 入学

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「もう入学式なんて早いわね」

「はい、母様!」

 今日から俺はラングウェー学園の生徒となる。
 学園の編入試験は合格できた。筆記は前世からの知識がある俺でも大分難しかった。武芸の方もなんとか勝てたが、日ごろから体づくりをしていたのに相手役の先生(ハンデあり)に大分苦戦してしまっていた。

「じゃあ、入学式は見に行くからな」

「またね」

「はい、また後で」

 一度両親と別れ、俺はまず教室に向かう。

「カイル!待ってたわ」

「教室まで送って行くよ」

 人だかりができていて何かと思ったがそこにいたのはサシャ姉とレイ兄だった。

「姉様、兄様!ありがとうございます」

 ありがたくその言葉に従う。

「あの方は?」

「レイウス様とサーシャ様の弟君ではなくって?」

「ご兄弟までお綺麗なんだな」

 ?よく聞こえないが、何やら話が聞こえてくる。

「?レイ兄様、サシャ姉様、あの話は何ですか?」

 そう聞くと、

「「気にしなくていいから」」

 美形の笑顔の圧がすごい。

「は、はぁ」

 と曖昧な返事をして教室まで送って行ってもらった。


「ゔぅー」

 入学式が終わり、教室に戻ってきた。
 代表の挨拶をしていたのはアルスタだった。すごい堂々とした立ち振る舞いに、王太子だということを改めて感じさせられた。
 ちなみに、なぜ入学式なのかというと、この学園は中等部から編入してくる生徒が多いため、進級式と入学式を兼ねたもののため、進級する生徒は進級式、編入する生徒は入学式と呼び方が異なっている。
 式中、主人公の姿を探していたが見当たらなかった。もしかしたら高等部から編入してくるのだろうか。彼はとても目立つ容姿のためいたらすぐ分かると思うのだが……。

「カイル、今日から一緒だね!クラスは違うけれど……」

「そうですね」

 アルスタは式が終わるなりすぐ4組の教室に来た。
 彼は1組で、まあまあ教室が離れているのにも関わらずだ。

「父上にカイルと同じクラスにしてくれと頼んだんだが……」

 後でアルスタの父の国王にそれを聞いたら、カイラントと同じクラスにすれば、アルスタは勉学どころではなくなってしまっただろうからな……と遠い目をしていた。

 中等部のクラスは完全にランダムだが、高等部は学力・武芸などの総合力でクラス分けされるらしい。
 寮はバース性ごとに違い、普通は三人部屋だが、高い献金をすれば一人部屋になると聞いた。俺は一人部屋だった。いったい両親はいくら納めたのだか……。一人部屋とは言っても、ご飯の時間は風邪をひくなど、よほどの事情がない限りは一緒に食べるらしい。風呂は部屋にあるが、大きい共有の風呂もあるそうなので楽しみだ。
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