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大公令嬢は状況を知る
追いかける(皇太子視点)
しおりを挟むside ユージーン
「ユージーン、そちがあの子を死ぬほど気に入っておるのは分かっている。あの子を囲うためどれほど計画を練っているかもな。だからこそ頼むから、学園にいるうちにアンジェリナを孕ませるようなことはくれぐれもするな?」
貴族式ペアルックがどれほど心配させたのか、父は念に念を押して忠告してきた。
分かってるさ、しかしその忠告を守れるかは分からない。俺はソレを最終手段として考えているからな。
そうして、父上のしつこめの忠告をやんわり受け止めアンジェリナの元に戻ってきてみれば。
ピンク色のうさぎを、亜麻色アリスが追いかけてった。
…
……
…………
………………あの馬鹿!
あのピンクウサギは間違いなく【雨の姫】のヒロイン、レイン・ハイジョーカーだ。
いくらゲームを知らないからって、あんなヒロインの特徴ありまくりで、あいつが気づかないはずがない。
俺は傍らにいたあいつの侍従に何が起こったか説明させた。
「ハァ……」
いや、確かに。
確かにどこに出しても恥ずかしいような親の所業でヒロインが泣いてなんやかんやあるイベントがあった。
でもそれは確か……学園祭の時じゃなかっただろうか?
なんにせよ、人の計画を邪魔しくさったこいつらに怒りが込み上げる。
「今日は入学式。同級生となる貴様らの娘の今後を考え、今この場で起こったことは不問とするが……いいか? この先もう一度アンジェリナに絡んでみろ……その時は」
お前の娘諸共、潰すぞ。
「ヒッ!」
言葉にはしなかったが伝わったらしい馬鹿どもはへなへなとその場にへたり込んだ。
まあ、馬鹿どものことはどうだっていい。そらよりも。
「アンジェ……!」
行先は分かっている。ホールの西側、星見のバルコニーだ。
シナリオ通りには動いていないが、大まかにストーリーが進んでいる。
ストーリー通りに進めば、あいつは…アンジェは、
(ダメだ)
それだけは許せない。
せっかく巡ってきたチャンスを、棒に振るなどあってはならない。
俺は星見のバルコニーへと駆け出した。
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