冷笑癖のある平凡メガネくんをドロドロに甘やかして依存させちゃうだけ

サコッシュ拓

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「へぇ、そんなことあったんだ…玲生は本当にえらいね、今までよく頑張ってきたね。」
「……うん…」 

 いつの間にか、椅子に座ってたはずなのにソファの上に連れてこられている。
 一緒に並んで座って、本当に色々話して、今は捏居に優しく頭を撫でられている。一定のスピードで撫でられると、どんどん頭がふわふわしてきて、なにも考えられなくなっていく。

「大丈夫、怜生はすごい人間だよ。少なくとも俺にとっては、たった一人の特別だからね。」
「…あ…うん…」

 …もしかして捏居って、俺のこと好きなのか…?そ、そんなことあるか?高校の時はほとんど話したことないし、今日久々に会ったばっかなのに…でも、特別…特別かぁ…

「…ねぇ、俺の前でだけは、素直になっていいよ。思ったことなんでも言って良いからね。」
「…う…じゃあ、捏居は、お…おれの、こと…」

 言葉に詰まる。もしここで、別に好きじゃないとか言われたら…はずいし、ダサすぎる。いや、別に、捏居に好きって言われたいわけじゃないけど。でも、こんな距離近くて、明らかに好きってことじゃないの?それともまだ友達としてのスキンシップなの??今までこんな人から迫られたことないから、何もわかんない…

 何も聞けずに黙ったままでいると、スッと捏居が俺の眼鏡を外した。
 慌てて取り返そうとしたら、俺の手の届かない机の向こうに置かれて、逆に体を押さえつけられて身動きが取れなくなってしまった。

「あっ、な、なにして…!」
「いや、メガネ邪魔だなーって。玲生のかわいい顔見れないし。目の下の隈も、今まで玲生が頑張って生きてきた証だもんね…かわいい。」
「は…ん、んぅ?!」

 気付いた時には、唇と唇が重なっていた。慌てて後ろに引こうとしたけど、ソファに強く押し付けられて、どこにも逃げられない。

「ふ、は、ふゃめっ…む、うう゛ぅっ!」
「…っ、ふ…かあいいね…」

 なんども顔を寄せられて、ぺろりと唇を舐め上げられて、そのまま肉厚な舌を口内にねじ込まれる。
 な、なんだこれ、なにが起こって…?!熱くてざらざらした舌が口の中いっぱいに入り込んできて、息が、息が出来ないっ…!
 必死に酸素を取り込もうとすれば、更に深く口づけられる。終わりが見えない変な感覚に、じわりと、脳の奥からなにかがにじみ出してくるような感じがして腰が浮いた。

「…っは、はっ…あ、う…!」
「怜生…息上がってる。こういうことするの初めて?」
「はっ?!は、初めてじゃねぇしっ!…いまのは、お前がいきなり…!」
「よかったぁ。初めてだったらもっと優しくしようと思ったけど、このまま続けてよさそうだね。」
「へ、なに、な、ちょどこ触って…!」

 捏居の手が俺のシャツをたくし上げる。そのまま押し倒されて、お腹を撫でられながらズボンにまで手を掛けられる。

「ま、まて、待ておまえ!なにしようとしてんだよ!」
「何って、セックスだけど。」
「…ぇ…は?!は、ちょおか、おかし、おかしいらろっなんで俺がお前と」
「でも怜生のここ、勃ってるよ?」

 ぐっとパンツ越しに股間を揉まれる。確かに俺の股はテントを張っていて、ぞっとすると同時にかーっと顔が赤くなる。

「ちがっ、そ、れは生理的なはんのうでっ…さ、さわんなって、ま、や…!」

 また口を重ね合わされて、じわじわと頭にあのへんな感じが蓄積されていく。や、やばい、これ、まじで…お、おかしい、こんなことしたことないのに、勢いで一線超えちまう…!

「はぁっ、はっ、は…ま、まって…こ、これ、おかし…」
「怖がんなくて大丈夫だよ。こっからは気持ちいいことしかないからね…」
「あ…」

 捏居の顔が、瞳が、ゆらゆらと熱に溶けている。
 あつい。何もかもがあつくて、訳わかんなくて、差し出された捏居の手を、ぎゅっと握り返した。




 チュンチュンと鳥が鳴く声が聞こえる。
 …嘘だろ。これが世に聞く、朝チュンってやつなのか…?
 布団の上で、昨日と同じようにぼーっと天井を見つめる。
 昨日と違う点があるとすれば、素っ裸であるということと、隣で同じく裸の捏居がすやすや寝てるということだけだ。

 …いや、だって、あんなのズルだろ?あんなモデルみたいな顔して、色々…甘いことばっか言ってきて。別に俺はホモじゃないけど、あそこまで猛アピールされたら断り切れないっていうか、普通に仕方なかったというか…
 ほ、ほんとに俺、捏居と寝たのか…ずっと頭がぼやぼやしてたしかなり無理やりだった気がするけど、なんかすげー気持ちよかったことだけは覚えてる。
 てか、昨日飲んだやつやっぱ酒だったんじゃね…?じゃないとあんなならないよな?こいつ俺に酒飲ませたのか?!
 …これからどうしよう。に、逃げた方がいいのかな…どう考えても、捏居がしてることはおかしい。
 人に無許可で酒飲ませて、無理やり、だ…抱いて?襲うとか、マジで最低な大学生そのものじゃねぇか…!なんか抱かれてる間やたらめったら褒められた気がするけど、きっとあれもこじつけで、俺をなんかの罠に陥れるための策略に決まってる。
 そう思うと急に怖くなってきた。もしかしたらヤッてる間に変な写真撮られてて、脅されて金とか巻き上げられたりすんのかな…?
 と、とりあえず布団から出て、服着なきゃ…そう思って動こうとした直前、もぞ、と捏居の肩が俺より先に動いた。
 焦りすぎて、動けなくて思わず目を瞑った。やばい何してんだ俺、これから脅迫とかされちゃうかもしれないのにっ…でも、こ、怖い…!

「…。…ふ、まだ寝てる…顔かわい…」
「っ……」

 遠慮なく伸ばされた手にしばらく顔を撫でられたと思ったら、ちゅっとついばむようなキスをされて顔がこわばる。
 頼むから早くやめてくれ、どっか行ってくれとひたすら願っても、捏居は俺の顔を引き寄せて何度もキスを繰り返してくる。そうされる度に、また変な感覚が体に走る。
 や、やばい…おかしい、このままだと、なんか、おかしくなるっ…!

「…えい。」
「えっわ?!や、やめろっ…!」
「なーんだ起きてんじゃん。おはよ♡」
「う、ぎ…!」

 するりと冷えた手が俺の下半身を弄ってきたのにビックリしすぎて、反射的に声を出してしまった。
 にやにやとこちらを見つめてくる捏居に、苛立ちと恐怖半々の感情が沸いてくる。
 くそっ、コイツ相手に後手に回っていられるか!なんとか俺から話を切り込んで、優位に立たないと…!

「…おっ、お前っ、何が目的だよっ…!」
「目的?どういうこと?」
「ど、どういうって…こ、こんな、俺のことこんなにした目的だよっ…!かっ、金か?それともパシリ要員かよっ?!あいにくだけど俺は…」
「目的とかないけど。」
「バイト経験ないし肉体労働にも向いてな…え?」
「そうだなぁ、強いて言うなら、玲生が好きだから?」
「すっ…」

 太い腕でぐっと抱き寄せられる。抵抗しようとしたけど、素肌に熱が直接伝わってくるし、首筋に捏居の吐く息がかかって体に力が入らない。

「好きだよ、玲生。高校の時から気になってたけど、こうやって再開できたってことはきっと運命だよね!俺たち、付き合おう。」
「……ぇ…」

 …好き?本当に?聞き間違えじゃない…?す、好きって言われたのか…?つきあ、付き合う?!いやいやいやありえない。普通に、男と男だし。ときめいてる場合じゃない。

「お、おれは、俺はそっちの気はないっ…!」
「えー?でも昨日あんなに気持ちよさそうにしてたじゃん。」
「あれはっおまえがなんか変なことしたからだろっ!別にお前のことは好きじゃないから!」
「でも、俺はもう玲生のことが好きになっちゃったからなぁ。…分かった、じゃあお試しで付き合おうよ。」
「…は?!」
「試しに付き合ってみて、相性合わなかったら普通に無かったことにすれば良いじゃん。ね?無かったことになるなら、今判断したって後で判断したって大した違いはないでしょ。」
「ええ…」

 ダメだ、やっぱチャラいやつの考えることは理解できない。お試しで付き合うって、なんだよ、それ?そんなんになるくらいなら堂々と付き合った方…は、良くない。ありえない。というか、考えてる場合じゃない。
 すぐに全部断って早く逃げなきゃ、だってそっちの方が普通に…普通に、なんだ?

「そんなに深く考えなくてもいいよ。付き合うっていっても、ただちょっと俺と話す機会がこれからも増えるだけだから。男同士だから友達みたいなもんだし、エッチもしたい時だけすれば良いしさ。どう?」
「…う、」

 いや、お、おかしいだろ…?おかしい、はずだよな?だってお試しとか、ふ、不誠実だし、そもそも俺は…男で…

「ね、頼むよ、玲生。」

 くるっと体をひっくり返されて、正面を向かされる。
 捏居の茶色の瞳が真っ直ぐ俺を捉えていた。

「好きなんだ、俺。玲生のこと、めちゃくちゃ好き。これからも玲生と仲良くしたいし、玲生のこともっと知りたいと思ってる。だから付き合いたいんだ…ダメかな?」
「………だ、ダメってわけじゃ…ない、け、ど…」
「やった~!じゃあお試しで付き合うの決定な!嬉し~!」

 …い、いや、大丈夫。まだ大丈夫だ、俺は別に押しに負けた訳じゃない。
 俺がこいつに惚れられてるんだ。だから、仕方なく俺がお試しで付き合ってやることにして、俺がこいつを…こう、弄んでやる事になるんだから、勝ってるのは俺なはず。
 こんな関係である以上、優位に立ってるのは、俺のはずなんだ。
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