異世界対応型婚活システムーあえ~るー 川西美和子の場合

七戸 光

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川西美和子の場合

川西美和子、初めて異世界転移します

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 最近好きなドラマがある。
 私が子どもの頃に流行ったドラマで、近頃はお昼に再放送をしていた。
 内容は普通のOLが異世界に紛れ込んでしまい、自分を助けてくれた騎士様と恋をするというもの。
 子供心に『異世界ってどんなところだろう』と想いを馳せ、素敵な騎士様と恋をすることに憧れを抱いたものだ。
 大人になって、騎士様は自分で探さなければ迎えに来てくれないのだと気付いた。
 そして世の中とはそういうものだと理解した。
 異世界が実在し、実際に行くことになるなんて、小さな私が見たらきっと目をキラキラさせて喜んだことだろう。
 今日はアキラと会うために異世界、金属の国へ向かうことになっている。
 私の異世界転移は初めてなので、今日は渡瀬神社から転移をする事になっている。
 まずは渡瀬神社へとやってきていた。
 渡瀬家の前には、紬さんと渉さん、やたちゃん先輩が待っていた。

「こんにちは。お待たせしました」

「美和子さんこんにちは。わざわざ来てもらってすみません」

「美和子さん今日はナチュラル系の服ですね~! そういうダボっと系の服も似合ってますよ」

「ありがとう。今日は動きやすさと丈夫さ重視で着てきました」

「さ、話はそれくらいにして、2人とも中に入ろうか」

 渉さんに促されて、渡瀬家の中に入る。
 いつも入らせてもらう部屋を通り過ぎ、渡瀬家の長い廊下を歩いていく。
 初めて入る場所を通り、2人についていくと大きな離れが見えてきた。
 離れの入り口には大きな南京錠が掛かっていて、渉さんが年代物と思われる大きな鍵を使って開ける。

「どうぞ」

 促されるまま、離れに入る。
 離れの中には見たことのない装飾を施されたアーチ状の柱が立っていた。
 アーチの間には何もないのになぜか揺らぎ、まるで薄いベールが風に揺らいでいるように見える。
 アーチの向こう側に視線を移すと、翼のはえた女性が祈っているポーズの銅像のようなものがあった。
 どこかで見たことのあるようなデザインだ。思い出せないけども。
 渉さんがこちらを向いて口を開いた。

「今回はこのゲートを使用して転移をしてもらいます。ゲートを使っての転移は、行きたい世界の名前や会いたい人を思い浮かべること、こちらで事前に行き先は設定していますが、あくまでも自らが『異世界に行きたい』と願わなければいけませんので」

「分かりました」

「それでは私の後に続いてアーチを潜ってください!」

 紬さんがアーチの正面に立ち、その後ろに並ぶ。
 紬さんが歩を進め、揺らめくベールのようなものに触れた。触れているはずの指先は何故か見えない。
 紬さんは臆することなく、アーチを潜っていき、遂に見えなくなった。なんだかちょっと怖い。
 恐る恐るアーチへ近づき、ベールに触れる。
 感触はないけれど、確かに触れた手は自分にも見えなくなった。え、凄い。
 先ほど渉さんに言われたことを思い出し、アキラの事と、これから行く世界を思い浮かべる。
 アキラに会いに行く。金属の国アルミニアムへ行きたい。
 ベールの向こう側を目指すように先へ進む。女性の像が向こう側に見えた。



 像の足元までたどり着くと周りは今まで見ていた離れの内装ではなくなっていた。というか、屋外だった。
 周りは赤土のような赤い岩の大地だった。
 事前情報にあった気がする。金属を豊富に含んだ土だから赤いのだとか。
 近くには離れにあったのと同じデザインだが色違いの像と赤い柱のアーチがあり、アキラと紬さんがいた。
 そして50mほど離れたところに、いくつかのテントがあり人が大勢集まっている。
 引率の紬さんは私が着いたことを確認したら、地球に戻っていった。また時間になったら迎えに来てくれるらしい。
 手を振って紬さんを見送ったあと、隣で見ていたアキラが私に右手を差し出して口を開いた。

「ようこそ! 俺の住んでる世界、金属の国へ!」

「ふふ。お邪魔します」

 私はアキラの手を取り、エスコートしてもらいながら歩く。

「ここは公共の異世界転移ゲートなんだ。あのテントのところは受付とちょっとした土産物とかが売ってる商店」

 テントは赤や青、黄色でとても目立つ。地球で言う幾何学模様のような不思議な模様が描いてある物もあった。
 その骨組みは以前アキラが言っていたように、パイプをつなぎ合わせて日よけの布を被せたようなものだった。
 そして驚くべきは、パイプをつないだだけにもかかわらず、2階建てである事だ。
 工事現場の足場に屋台が乗っかっている、そんな感じだ。
 現代日本の建造物から考えると、崩れないのか不安を感じずにはいられない。
 ずっと続く赤い岩の道を軽く見回すだけでも、見たことのないデザインの物や食べ物らしき物が売っていて、ずっとキョロキョロしてしまう。
 そんな私が可笑しかったんだろう、ずっと私を見ていたアキラがついに笑い出した。

「あっははは。ミワコ、キョロキョロしすぎ。コッコ鳥みたいだぞ。ここはホントに簡易的な旅セットみたいな物を売ってるだけだから、今から、前に地球で行ったみたいなデカい店に行くから楽しみにしといて!」

「うん! 分かった」

 テントの中にいる人は、地球人と変わらない見た目で、男女共に結構筋肉質な方が多い。彼らは皆、ぴったりした体型のよく分かる服を着ていて、また事前情報を思い出した。
 そして、テントの外は様々な人種の人がいる。
 身長が小学生ぐらいのおじさんや耳の尖った人、よくわからない模様の描かれた民族衣装らしき服を着ている人等々。
 異世界人らしい異世界人を初めて見たのでちょっと興奮してしまう。
 周りに気をとられ、「あれは何?」、「これは何?」と質問しまくっていると、直ぐにお目当てのデカい店にたどり着いた。
 途中から道は赤い岩ではなく、舗装された歩きやすい道になっている。
 その間もアキラはちゃっかり手を繋いだままだ。
 周りの物珍しさに気を取られて違和感なくここまで来てしまった。
 ううっ、今更ながらにドキドキしてくる。
 異世界デートは始まったばかりだが、果たして心臓は持つのだろうか。私はそんな不安を感じながら、そびえたつ巨大な異世界版ショッピングモールを見上げた。
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