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川西美和子の場合
川西美和子、大きな過ちに気付きます
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エレクタラから戻った翌日は、一部始終を相談する井戸端会議を行うために渡瀬家へ向かった。
境内でに入ってすぐ、岩の上にいたやたちゃん先輩を見つけて、何故か懐かしさがこみ上げる。
「よう! お嬢ちゃんじゃねえか! 異世界旅行は楽しかったか?」
「やたちゃん先輩、本物!!」
エレクタラではやたちゃん先輩に似たアバターのクロちゃんに相談していたが、クロちゃんは映像なので、どうしても透けていて頭ポンポンもしてくれない。
やっぱり本物のやたちゃん先輩の優しさと、この大人の包容力に敵うアバターはいないな。
やたちゃん先輩を抱っこさせてもらい、なでなでスリスリしながら、日本に帰ってきたことを実感する。
家に入ると、いつもの和室に通される。
今回の参加者は、私とやたちゃん先輩、そして、紬さんだ。
紬さんは私の近況報告を今か今かと首を長くして待っていたらしい。
なので今日の紬さんはいつも以上に目がらんらんとして、圧がちょっと怖い。
紬さんがちゃぶ台から身を乗り出すようにして迫ってきた。
「さあ、美和子さん! どうだったんですか!? チューは!?」
「楽しかったですよ。 いろいろとケイが隠してたことを教えてもらえて。チュー? そんなこと、あるわけないじゃないですか」
「え~! この前の感じだと旅行中に2人きりでキャー!! とかあるのかと思ってたのに~」
「ないない」
あのケイに限ってあるわけない。
そんな気持ちがつい顔に出ていたのか、やたちゃん先輩に突っ込まれた。
「お嬢ちゃん、イラつきが顔に出てるぞ。それでも、まぁ進展したんだろ?」
「……そうですね。自分の気持ちを自覚しました。それ以上にケイの家族環境や背景にある内情を知って、ちょっと反省しました」
「何をですか?」
紬さんがキョトンとした顔で聞いてくる。
「最初に、ケイとアキラ、2人と連絡を取ったことです。あの時は、断られるかもしれないし、とりあえず連絡を取り始めましたが、ケイの世界でケイが抱えているものを見たら、婚活に対する真剣さが、全然違ったんだなって思っちゃって。この国で自由に婚活できるのって、ものすごく恵まれてるんだなって思いました」
婚活というからには人生が掛かっているわけで、それぞれの事情を抱えて婚活しているんだろうとは思っていたが、まさかこんな話が背景にあるとは想像していなかった。
「美和子さん。ケイさんのこと、すき、ですか?」
いつもとは違った真剣な表情の紬さんが私に尋ねる。
「好きです」
私はケイの顔を思い浮かべ、紬さんに微笑む。
紬さんは安心したように笑ってくれた。
「そうですか。あの時、美和子さんに声をかけてよかったです。幸せになってください」
「ありがとう。紬さん。でも、気持ちを言うのは何でか断られたんだけどね」
「うーん。でもでも、両想い目前ってことで! あ、参考に教えてほしいんですけど、『あえ~る』と『キューピッドくん』の使い心地はどうでしたか?」
「全体的に使いやすいと思いますよ。でも、『キューピッドくん』が電池の減りが早すぎるのがちょっとね」
そういうと紬さんはキョトンとした顔で、「え」と声を漏らした。
「『キューピッドくん』の電源は、2日は余裕で持つはずですよ? もっと長い方が良いですか?」
「ん? 2日も持たないですよ! 私の2年以上使ってる携帯より電池の減りが早いです。1日で充電しないとダメですよ」
「え! そうなんですか!? あれぇ? ちょっと、見せてもらってもいいですか?」
紬さんに『キューピッドくん』を渡すと、紬さんは手慣れた手つきで触りはじめた。
紬さんは次第に顔色が悪くなってきて、「違う……え……嘘でしょ、ひぇっ!」とぶつぶつ言いながら『キューピッドくん』を触っている。
紬さんの驚き様は尋常じゃない。
そのうち高速で動いていた紬さんの手が止まった。
すくっと立ち上がり、ピシャー! とものすごい音を立てて襖をあけ放つ。
「おにーちゃーん!!!! やばいー!!!! 美和子さんの『キューピッドくん』が!!!!!!! ハッキングされてるー!!!!!!!!!」
あー、ハッキングされてたんだー。……え、ハッキング!?
紬さんの叫びの後、物凄い足音を響かせて、別の端末を小脇に抱えた渉さんがやってきて、私の『キューピッドくん』を何やら操作し始めた。
渉さんと紬さんは何やら「うわ……」「やられた……えー、まじかー」等々言いながら、『キューピッドくん』をパソコンに繋いだりしてどうなっているのか調べている。
全く会話についていけない私は、馬鹿みたいにポカンとしたまま見ていることしか出来なかった。
そんな私にやたちゃん先輩が声をかけてくれる。
「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
「……はい。どうなっているのか全然分からないですが」
やたちゃん先輩は机の上を渡ってきて、翼を広げて肩をポンポンしてくれる。
しばらくして、『キューピッドくん』の画面を見据えていた紬さんと渉さんの手が止まった。
「――美和子さん」
こちらを向いた渉さんの顔は眉間にしわが寄っていて、硬い表情を浮かべている。
「『キューピッドくん3号』がハッキングされています。主な被害は、盗聴……そして、アキラ・ハヤーサのアカウントの遮断です」
「え? どういうことですか!? アキラのアカウントの遮断? そもそもセキュリティは万全だったんじゃ? だって、地球のインターネットは『キューピッドくん』に影響していないんでしょう!? ハッキングってどうやって!?」
疑問点だらけで矢継ぎ早に質問を口にする。
アキラのアカウント?
なぜこんなタイミングで、アキラの名前が出るのか。とてつもなく嫌な予感がする。
言いようのない不安感で一杯になる。
渉さんが『キューピッドくん3号』ともう一つ、別の端末をちゃぶ台に置いた。
「これを見てください。『キューピッドくん3号』のお相手候補一覧画面です。美和子さんはアキラ・ハヤーサと確かに連絡を取っていたのに、ここにはアカウントがありません」
渉さんに示されたのは私がいつも見ている画面だ。ケイのアカウントだけが登録されて、アキラのアカウントは消えてる。
「そして、こっちが正常な『キューピッドくん』でインストールされた『あえ~る』のブロック画面です」
「! 違う……」
そこには、本来、顔写真が載っているはずのところに、赤字で『退会しました』と文言の出ているアカウントが残されたお相手候補一覧の画面が映っていた。
アカウントの痕跡が残っているが、連絡は取れない状態になっているということだ。
「一度でも連絡を取った相手はこの一覧に登録され、相手にブロックされても分からないように、痕跡だけは残ります。でもこの美和子さんの端末はそれが残ってない。調べると非表示になっていました。今、金属の国の仲人に確認しましたが、アキラ・ハヤーサの端末にはこの端末からのブロックされた痕跡が残っていました」
何を言ってるのか分からない。嫌、分かりたくない。
頭の中でこれ以上は聞くなと警鐘が鳴る。
「つまり、何者かが美和子さんの端末を遠隔操作し、アキラ・ハヤーサのアカウントをブロックした上で、美和子さんに分からないように非表示にしたと思われます」
「い、一体誰が……? セキュリティは万全なんじゃ?」
ちゃぶ台の上に置いた手を握りしめすぎて、白くなってしまい感覚がない。
やたちゃん先輩が抱き付くように体をキュッと寄せて、真っ白になった手を翼で包んでくれた。
「セキュリティは万全でした。我々の技術とエレクタラの協力を得た技術ですから」
「……まさか」
全身の血の気が引く。手足が冷たい。
「エレクタラの技術ならハッキングは可能です。そして、その動機のある人を我々は知っている」
ああ。うそ。
思い当ってしまう。私の大好きな人が……。
「――ケイ?」
その名前を口にした瞬間、渉さんも紬さんも無言で頷いた。
「正確には、誰かは分かりません。でも、ケイさん本人か彼の周りの人かと思います」
「どちらにしろ、相当な技術力を持っている人の仕業です」
「ごめんなさい。美和子さん。気付くのが遅くなったばかりに」
「あの時の美和子さんはアキラさんの事、好きになりかけていたのに。その未来を潰してしまった……」
紬さんが涙をこらえるように、唇をかんで俯いている。渉さんも拳を固く握り締めていた。
最後に会ったアキラの顔が浮かび上がった。
明るく、元気で、元カレから庇ってくれた優しい人。
アキラが、リーナさんを選んだわけじゃなかった。
もしかしたら、私の事を本気で考えてくれていたかもしれない。
そんなアキラの想いを踏みにじってしまった。
今の私はもう、ケイの事を好きだと自覚してしまった。
「美和子さん……ごめんなさい!!」
私の頬を撫でた青みを帯びた黒の羽は濡れていて、自分が泣いていることに気付いた。
胸がいろんな感情で溢れかえる。
渉さんの声が遠慮がちながら、思考を先へと促した。
「ケイくんの仲人にはすでに連絡を取っていて、現在事実関係を確認しています。ケイくんとの連絡は取れていないようですが……アキラくんの仲人から、アキラくんが美和子さんに会いたいと言っていると連絡がありました。どうしますか?」
もう私はアキラの気持ちに答えることは出来ない。
どんな顔して会えばいいのか分からない。
でも、アキラが会いたいと言ってくれるなら会わなくてはいけない。決着をつけないと……。
ひどい鼻声で、嗚咽を漏らしながら言葉を発する。
「……あ、会います……ぐすっ、う、あ、会わ、なきゃ。謝りたい……」
「分かりました。すぐに手配します」
境内でに入ってすぐ、岩の上にいたやたちゃん先輩を見つけて、何故か懐かしさがこみ上げる。
「よう! お嬢ちゃんじゃねえか! 異世界旅行は楽しかったか?」
「やたちゃん先輩、本物!!」
エレクタラではやたちゃん先輩に似たアバターのクロちゃんに相談していたが、クロちゃんは映像なので、どうしても透けていて頭ポンポンもしてくれない。
やっぱり本物のやたちゃん先輩の優しさと、この大人の包容力に敵うアバターはいないな。
やたちゃん先輩を抱っこさせてもらい、なでなでスリスリしながら、日本に帰ってきたことを実感する。
家に入ると、いつもの和室に通される。
今回の参加者は、私とやたちゃん先輩、そして、紬さんだ。
紬さんは私の近況報告を今か今かと首を長くして待っていたらしい。
なので今日の紬さんはいつも以上に目がらんらんとして、圧がちょっと怖い。
紬さんがちゃぶ台から身を乗り出すようにして迫ってきた。
「さあ、美和子さん! どうだったんですか!? チューは!?」
「楽しかったですよ。 いろいろとケイが隠してたことを教えてもらえて。チュー? そんなこと、あるわけないじゃないですか」
「え~! この前の感じだと旅行中に2人きりでキャー!! とかあるのかと思ってたのに~」
「ないない」
あのケイに限ってあるわけない。
そんな気持ちがつい顔に出ていたのか、やたちゃん先輩に突っ込まれた。
「お嬢ちゃん、イラつきが顔に出てるぞ。それでも、まぁ進展したんだろ?」
「……そうですね。自分の気持ちを自覚しました。それ以上にケイの家族環境や背景にある内情を知って、ちょっと反省しました」
「何をですか?」
紬さんがキョトンとした顔で聞いてくる。
「最初に、ケイとアキラ、2人と連絡を取ったことです。あの時は、断られるかもしれないし、とりあえず連絡を取り始めましたが、ケイの世界でケイが抱えているものを見たら、婚活に対する真剣さが、全然違ったんだなって思っちゃって。この国で自由に婚活できるのって、ものすごく恵まれてるんだなって思いました」
婚活というからには人生が掛かっているわけで、それぞれの事情を抱えて婚活しているんだろうとは思っていたが、まさかこんな話が背景にあるとは想像していなかった。
「美和子さん。ケイさんのこと、すき、ですか?」
いつもとは違った真剣な表情の紬さんが私に尋ねる。
「好きです」
私はケイの顔を思い浮かべ、紬さんに微笑む。
紬さんは安心したように笑ってくれた。
「そうですか。あの時、美和子さんに声をかけてよかったです。幸せになってください」
「ありがとう。紬さん。でも、気持ちを言うのは何でか断られたんだけどね」
「うーん。でもでも、両想い目前ってことで! あ、参考に教えてほしいんですけど、『あえ~る』と『キューピッドくん』の使い心地はどうでしたか?」
「全体的に使いやすいと思いますよ。でも、『キューピッドくん』が電池の減りが早すぎるのがちょっとね」
そういうと紬さんはキョトンとした顔で、「え」と声を漏らした。
「『キューピッドくん』の電源は、2日は余裕で持つはずですよ? もっと長い方が良いですか?」
「ん? 2日も持たないですよ! 私の2年以上使ってる携帯より電池の減りが早いです。1日で充電しないとダメですよ」
「え! そうなんですか!? あれぇ? ちょっと、見せてもらってもいいですか?」
紬さんに『キューピッドくん』を渡すと、紬さんは手慣れた手つきで触りはじめた。
紬さんは次第に顔色が悪くなってきて、「違う……え……嘘でしょ、ひぇっ!」とぶつぶつ言いながら『キューピッドくん』を触っている。
紬さんの驚き様は尋常じゃない。
そのうち高速で動いていた紬さんの手が止まった。
すくっと立ち上がり、ピシャー! とものすごい音を立てて襖をあけ放つ。
「おにーちゃーん!!!! やばいー!!!! 美和子さんの『キューピッドくん』が!!!!!!! ハッキングされてるー!!!!!!!!!」
あー、ハッキングされてたんだー。……え、ハッキング!?
紬さんの叫びの後、物凄い足音を響かせて、別の端末を小脇に抱えた渉さんがやってきて、私の『キューピッドくん』を何やら操作し始めた。
渉さんと紬さんは何やら「うわ……」「やられた……えー、まじかー」等々言いながら、『キューピッドくん』をパソコンに繋いだりしてどうなっているのか調べている。
全く会話についていけない私は、馬鹿みたいにポカンとしたまま見ていることしか出来なかった。
そんな私にやたちゃん先輩が声をかけてくれる。
「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
「……はい。どうなっているのか全然分からないですが」
やたちゃん先輩は机の上を渡ってきて、翼を広げて肩をポンポンしてくれる。
しばらくして、『キューピッドくん』の画面を見据えていた紬さんと渉さんの手が止まった。
「――美和子さん」
こちらを向いた渉さんの顔は眉間にしわが寄っていて、硬い表情を浮かべている。
「『キューピッドくん3号』がハッキングされています。主な被害は、盗聴……そして、アキラ・ハヤーサのアカウントの遮断です」
「え? どういうことですか!? アキラのアカウントの遮断? そもそもセキュリティは万全だったんじゃ? だって、地球のインターネットは『キューピッドくん』に影響していないんでしょう!? ハッキングってどうやって!?」
疑問点だらけで矢継ぎ早に質問を口にする。
アキラのアカウント?
なぜこんなタイミングで、アキラの名前が出るのか。とてつもなく嫌な予感がする。
言いようのない不安感で一杯になる。
渉さんが『キューピッドくん3号』ともう一つ、別の端末をちゃぶ台に置いた。
「これを見てください。『キューピッドくん3号』のお相手候補一覧画面です。美和子さんはアキラ・ハヤーサと確かに連絡を取っていたのに、ここにはアカウントがありません」
渉さんに示されたのは私がいつも見ている画面だ。ケイのアカウントだけが登録されて、アキラのアカウントは消えてる。
「そして、こっちが正常な『キューピッドくん』でインストールされた『あえ~る』のブロック画面です」
「! 違う……」
そこには、本来、顔写真が載っているはずのところに、赤字で『退会しました』と文言の出ているアカウントが残されたお相手候補一覧の画面が映っていた。
アカウントの痕跡が残っているが、連絡は取れない状態になっているということだ。
「一度でも連絡を取った相手はこの一覧に登録され、相手にブロックされても分からないように、痕跡だけは残ります。でもこの美和子さんの端末はそれが残ってない。調べると非表示になっていました。今、金属の国の仲人に確認しましたが、アキラ・ハヤーサの端末にはこの端末からのブロックされた痕跡が残っていました」
何を言ってるのか分からない。嫌、分かりたくない。
頭の中でこれ以上は聞くなと警鐘が鳴る。
「つまり、何者かが美和子さんの端末を遠隔操作し、アキラ・ハヤーサのアカウントをブロックした上で、美和子さんに分からないように非表示にしたと思われます」
「い、一体誰が……? セキュリティは万全なんじゃ?」
ちゃぶ台の上に置いた手を握りしめすぎて、白くなってしまい感覚がない。
やたちゃん先輩が抱き付くように体をキュッと寄せて、真っ白になった手を翼で包んでくれた。
「セキュリティは万全でした。我々の技術とエレクタラの協力を得た技術ですから」
「……まさか」
全身の血の気が引く。手足が冷たい。
「エレクタラの技術ならハッキングは可能です。そして、その動機のある人を我々は知っている」
ああ。うそ。
思い当ってしまう。私の大好きな人が……。
「――ケイ?」
その名前を口にした瞬間、渉さんも紬さんも無言で頷いた。
「正確には、誰かは分かりません。でも、ケイさん本人か彼の周りの人かと思います」
「どちらにしろ、相当な技術力を持っている人の仕業です」
「ごめんなさい。美和子さん。気付くのが遅くなったばかりに」
「あの時の美和子さんはアキラさんの事、好きになりかけていたのに。その未来を潰してしまった……」
紬さんが涙をこらえるように、唇をかんで俯いている。渉さんも拳を固く握り締めていた。
最後に会ったアキラの顔が浮かび上がった。
明るく、元気で、元カレから庇ってくれた優しい人。
アキラが、リーナさんを選んだわけじゃなかった。
もしかしたら、私の事を本気で考えてくれていたかもしれない。
そんなアキラの想いを踏みにじってしまった。
今の私はもう、ケイの事を好きだと自覚してしまった。
「美和子さん……ごめんなさい!!」
私の頬を撫でた青みを帯びた黒の羽は濡れていて、自分が泣いていることに気付いた。
胸がいろんな感情で溢れかえる。
渉さんの声が遠慮がちながら、思考を先へと促した。
「ケイくんの仲人にはすでに連絡を取っていて、現在事実関係を確認しています。ケイくんとの連絡は取れていないようですが……アキラくんの仲人から、アキラくんが美和子さんに会いたいと言っていると連絡がありました。どうしますか?」
もう私はアキラの気持ちに答えることは出来ない。
どんな顔して会えばいいのか分からない。
でも、アキラが会いたいと言ってくれるなら会わなくてはいけない。決着をつけないと……。
ひどい鼻声で、嗚咽を漏らしながら言葉を発する。
「……あ、会います……ぐすっ、う、あ、会わ、なきゃ。謝りたい……」
「分かりました。すぐに手配します」
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