Grey Area3.(−)死の翼

夜束牡牛

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芝居小屋 噂のキメラ造り【ミルクティー色の長い髪から】5

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 実際はコッペリアにカナリアの友人はいない。ただ声楽隊のカナリアは大所帯だ、何人かいれば一人ぐらい彼女の的になる子もいるだろう。
 見ず知らずの子に矛先を向けるのは気が引けるが、そもそも勝手な推測で好奇心の噂を広める奴が悪い。その噂に狩られればいい。と、コッペリアは一区切りつけた。

 鳥たちが楽し気に新しい話題ネタに飛びつきくちばしで突きまわしていく。
 コッペリアは話に入ったまま、噂と矛先を微調整してその場を離れようとした。
 しかし、一人がコッペリアの袖を引っ張った。若いトラに熱を上げていた子だ。

「ねぇコッペリア。あなたとあのトラって本当に同い年なの? 彼、もっと大人かと思ったんだけど」

 これにコッペリアは得意そうに返した。

「もちろん。私の推定年齢を一番高くして、トラの推定年齢を一番低くすればタメよ」

 G・A特有の推定年齢は、上下で五歳ほどの差がある。つまり、ものは言いようなのだ。だが鳥は少し目を瞑り、想像してから言った。

「うん。年下でも全然いける。私のキティボーイが鳥も恋愛対象ってわかったし、コッペリアいい事教えてくれてありがとう」

「当然よ。じゃあね、さっきの話――『十三番目のトラが負けたのは嘘。カナリアと付き合っているのが本当』は、絶対に絶対に内緒だよ」

 コッペリアは念を押してその場を離れた。
 その場にいた鳥たちは五人。それぞれが、複数いる唯一の親友と、口の堅い恋人と、信頼できる男友達だけに絶対内緒を広めてくれれば、尾ひれがつき羽が生え、それはそれは豪華な噂のキメラが飛び交うだろう。

 コッペリアは髪留めを外し、ぱさりと落ちた波打つ前髪をかきあげ笑った。

「ネタは新鮮なうちにね、可愛いおばかさんたち」
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