黄昏の恋人~この手のぬくもりを忘れない~【完結】

水樹ゆう

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第八章 覚 醒 《Awakening》

127 決着

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 逆巻く熱い風を纏って、晃一郎が一歩、又一歩と足を進めていく。金色の髪が淡い燐光を放ちながら、風になぶられ、ユラユラと波を打つ。

 それはまるで、何者にも負けない気高き百獣の王、ライオンの姿を彷彿とさせる。

黄金きん有翼獅子グリフォン

 国に十人しかいないSA特別国家公務員の肩書を持ち、ガーディアンの頂点に立つ男の、それが異名。

 鋭い光を放つ双眸が、ブラウンから、髪と同じ鮮やかな金色に変化を遂げる。空気を震わせるようなエネルギーの放出に、その場に居た誰もが動きを止め、息を飲んだ。

「ま、まさか、この力は……ガーディアンか!?」

 その桁違いのパワーに気圧されたように、玲子は目を見開き数歩後ずさった。

 その時。

『優花、行けっ!」』

 叫びざま、晃一郎は地面を蹴った。

 ただ、一心に、『玲子ちゃんの側に』。優花はそれだけを考えて、瞬間移動テレポートする。

 視界の端に、グリードの手下を電撃で次々と昏倒させていく晃一郎の姿が見えた。あれなら、操られている人間の体には、致命傷にならないだろう。

 優花の力、ゴッド・ハンドは、相手に直接触れることで、より効果的に発揮される。

 玲子の中に入っているグリードは、憑依体。幽霊みたいなものだ。でも、やはり、エネルギーの集合体と言う意味では、実態を伴った人間となんら変わりがない。

 要は、相手に触れて、『その能力を頂いちゃおう』と言う優花の能力を発動させれば、玲子の中のグリードの憑依能力は無力化されるはず。

 そして、優花は、玲子の背後に立つことに成功した。

 トン、と後ろに降り立ち、間髪を入れず玲子を羽交い絞めにして力いっぱい抱きしめ。

――出てけ出てけ出てけ、出でいけっ!

 と能力吸収と言うよりは、グリード退散を一心に念じて、一気に力を放出。

「なっ!?」

 振り返り、驚愕に見開かれた異形の瞳が、徐々に色をなくしていく。

「ばか……な。データと違……」

 三年前、力が覚醒する前の優花だったら、きっと逃げ出していた。

 自分のために誰かが傷つくらいなら、自分が犠牲になればいい。そんな自己憐憫に酔って、立ち向かうことなどしなかった。

――だけど、あの時の私とは違う。

失ったものと、得たもの。

その両方が、今の私を強くしてくれている――。

「データが古かったみたいだね。人間は、日々、成長ってものをするんだよ」

「く……そっ、こんな……ところで――」

 その呟きを最後に、ガクンと玲子の体が崩れ落ちるのを、優花はカッコよく抱き留めようとした。だが超能力は一級品でも、体力は平均以下の女子高生。意識を失くした人間一人を支え切れるはずもなく。

「あ? あわわわっ!」

 優花は、玲子諸共、ものの見事に後ろにすっころんでしまった。

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