Cウイルス・クロニクル

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朝霞駐屯地「りっくんランド」での熱烈歓迎と長い小便

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板橋区の成増駅も停電で真っ暗だった。

が、成増駅付近から和光市までには254号の道路が上り坂になり、埼玉県和光市に入ると、なんと外灯?がちらほら点いていた。

ただし、人々の気配は無く、坂道を登り切った所に、パトカーや消防車数台がとおせんぼうをしていて、近辺には濡れた(死体の血液を流すため?)感染者の射殺死体がゴロゴロしていた。

(もう、こんな所まで感染者が来ていた?感染しているのか?)

道路一面にある死大群をブルドーザーが道路脇に押して254道路を整備し、その都度、遠くから消防車から、高圧の放水が死体群やブルドーザーにかけられ、感染者達の体液を洗い流すシステムを取っていた。

そして、まだ残暑?厳しい気温なのに、ブルドーザーや近辺で作業している人々は、完全防御服で作業していた。

ブルドーザーによって道路が整備された処を、吉田は慎重に軽装甲車を徐行し、まるで、深夜の道路工事状態でライトが照らされる和光市近辺の254道路を走行し、途中、何回も車に放水や、消毒液(白っぽい水)を浴びせられ、初めて放置自動車の無い!走行する自動車が一台も見ない異様な景色を見ながら、吉田が言っていた朝霞駐屯地!一般的には

【陸上自衛隊広報センターりっくんランド】と書いてある建物が見えてきて、そこの門へ車を左折させて、自衛隊員や警察等、制服組が大勢出迎えていた。

吉田は汗臭い小太り体型を、途端にきびきびした動きに変え、私より一足先に外に出た。

私は、吉田とは違って、助手席に座ったままで、外の様子を伺っていた。

ここまで来るまでに道路のライトが眩し過ぎ、知らず知らずにサングラスをかけていた。

人だかりの後方には、女性の自衛官も集まっていたようで、やや黄色い歓声もしていたが、そんな祝賀?な雰囲気を壊すように、成増側では小銃の定期的な乾いた発砲音がし、その度に人々は不安そうな表情になり、身をかがめて周りを見ていた。

ただし、彼らは肩に小銃や腰に拳銃を身に着けてはいたが、臨戦態勢では無かった。

私は、小銃を小脇に抱え、臨戦態勢であった。

補足すると、吉田には言わなかったが、吉田側の窓ガラスに今まで残っていた体液後は、何度かの消毒液のシャワーにより、なんとか取れたようだった。

私がいつまでも軽装甲車に乗っていて、小銃を抱えていたので、みんなは不審に思っているようだが、吉田が慌てて誰かに話したみたいで、自衛官の若い女性が、なるべく刺激を与えないような当たり障りの無い!作り笑顔をして、丁寧に助手席側のドアを開けた。

【お疲れさまでした!】

その言葉に、私は激しく込み上げてくる笑いの衝動を抑え、身体をやや震わせながら降りると、今度は私のサングラス姿が腑に落ちない?と言った雰囲気の為、私は小さな声で目に怪我をしたので、と嘘を吐いた。

嘘?と言っても半分以上は本当のことだ。

実際!目が眩しくて、痛いような感じだから。

私に対応した女性自衛官は、私が持っている小銃を取り返すように、手を伸ばしてきたので、安心出来ないので!と言ったが、結局!お偉い?自衛官のオヤジ?が来て、民間人がどうの?安全がどうの?と説得しに来たので、面倒臭くなり、女性に小銃を渡した。

吉田はちょっとした英雄気分で、みんなに囲まれ、そして、お偉いさんに敬礼しながら、多分!現状報告!に連れられて行った。

残った私は、軽装甲車の近くに立って、周りを見渡していたが、今まで乗ってきた軽装甲車は、ここの若い自衛隊員達がテキパキとした動きで、乗り込んで、移動し、直ぐに、誰かに命令された?指示された事を遂行する為に行動していた。

私は、そんな彼らの行動をボーっと見ていると、ちょっと離れた所で、先程、私の小銃を奪った?若い女性が、中年のオヤジ自衛官に小声で指示されているみたいで、話が終了すると、私の方に小走りで近付いてきた。

早い話が、非難している民間人のいる処に連れて行かされる!そんな感じだった。

私は、改めて、自分の状況!無精髭を生やし、髪の毛もタンキングシステム?の高純度のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)の液体でカピカピになった、変な寝癖みたいな髪の毛と、汗とエプソムソルト(硫酸マグネシウム)で、ベタベタなのか、肌の居心地の悪さを訴えて、出来れば、シャワーを使わせてもらえないか?と、お願いしたが、それとなく断られた。

(この時何故かふいに超高層ビル内の卵型カプセル内液体の専門用語が浮かんでしまった)

では、トイレに行きたい!と言うと、目の前の【りっくんランド】の建物に案内され、その施設内の男子トイレを案内され、彼女は入り口で待っているようだった。

私は、まずは、顔や頭だけでも水洗いしようと、洗面の前に来て、兎に角!水で洗った(埼玉県は水道がまだ活きている)のだが、無精髭で中々キレイに洗えず、石鹸液で手を洗う事しか出来なかった。

そして、洋式トイレを何気なく見ていたら、尿意?便意が思い出されるかのように催したくなり、早速!便器に腰を降ろした。

長い長い、小便の後、今度は便意も催していたから、またまた長い時間、トイレにいた。

トイレの備え着けペーパータオルを10枚近く使って、頭を吹き、顔を拭き取り、なんとか身嗜みを整えてトイレから出たら、私と距離を保ったままの姿勢で女性自衛官は私に銃を向け構えながら開口一番に、

「心配しました!」

と言われた。

トイレが長いから、倒れたのか?感染したのでは?と思ったらしい。

心配した?驚いたのはこっちの方だ。

いきなり銃口を向けられていたからだ。

ま、それだけ、未だにCウイルスの知識は分かっていないと言うことが、改めて分かった。
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