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ひと時の平穏と、最悪の予知夢的映像

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北宇都宮駐屯地の二人は報告し合いながら、思い出したかのように携帯用無線を使って、宇都宮駐屯地に連絡をし始めたが、何故か連絡がつかないらしい。

私は、そんな状況を見ながら、直観的に嫌なこと?が始まっているのでは?と不安になった。

何よりも、まずやらないといけないことは、今まで乗ってきたヘリに給油を満タン!にしてもらう事だった。

この北宇都宮駐屯地に給油システムは有るのだろうか?

私はそんな事ばかり考え始めていた。

そんな、私の不安をよそに、すっかり打ち解けたような自衛隊員4人は、最初こそ、神妙な表情で話し合っていたが、今では和やか?な感じで、佐々木ミカは笑顔をみせていたし、男性二人は久し振りに女性自衛官とお話しが出来!しかも、良く見たら佐々木ミカはカワイイ系の美女であり、桐山千賀子はキャリアウーマン的クールビューティーだから、男達の鼻の下が伸びている?感じが見受けられた。

私は頃合いを見て、桐山千賀子に例のアレ!の能力を使って、ヘリに給油する流れを話してもらうよう、一応!思念を送り始めた。

桐山千賀子は違和感無く!彼らにヘリの給油のお願いをし始めたので、私は若干!安心したからなのか、自分も尿意がしてきたので、さり気無く?佐々木リカからトイレの方向を聞き、外の簡易トイレへと向かった。

プラスチック製の青色の簡易トイレへ近付くと、悪臭が酷く、強烈な糞尿の臭いが鼻をつんざいた。

アンモニアの臭いにちょっと涙目になりながら、個室に入り鍵など締めずに用を足し、早々とヘリコプターの位置に戻ると、そこには早々とヘリの給油用の3トントラック?正式名称3トン半航空用燃料タンク車が用意されていて、二人の自衛隊員がせっせとAH‐1Sベルヘリコプターにタンク車の後方から給油ホースを引き出して、まさに給油を始めたばかりだった。

こんな状態でもない限り分からなかったが、ヘリの燃料の種類は第2石油類?と言って、灯油と変わらない種類のケロシン(灯油)系と言われていて、燃料タンク満タンで約100ガロン?リッター計算だと380リットルも入るらしい。

二人の男達は、なんでそんな初歩的なことを聞くの?みたいな感じで、それでも私が質問的な会話をすると、律儀にも真面目に丁寧に話してくれた。

そして、例の簡易トイレの酷い状態を自嘲的な笑いを込めて話していた。

そんな会話の矢先に、やはり桐山千賀子も尿意?便意を我慢していたのか?簡易トイレへと足早に向かって行った。
私は、小出しにだが、東京首都圏の状況情報を話しながら、ギブアンドテイク方式で、出来れば彼らにより多くの情報を引き出すように会話した。

彼らの話では、現在!北宇都宮駐屯地には彼ら二人しか駐在していなく、殆どの職員?自衛隊員達は宇都宮駐屯地に配備されていたが、もはや統制は取れていなく、ぶっちゃけると地元自衛隊員以外の自衛隊員達は一時的だが実家に帰省したり、家族の安否確認に自宅待機している者が殆どで、彼ら佐藤氏と加藤氏の二人は地元!栃木県宇都宮市在住で、実家も宇都宮市だから、二人で広大な駐屯地を管理?していたが、あくまでもメインは宇都宮駐屯地だった。

ただし、ここ3日くらい前から東京からの情報?テレビやラジオ、そしてインターネット(SNS)までも情報が滞り、何と言ってもテレビが今の処、ローカル放送だけしか放送されていなく、しかも、決まった時間での放送がメインと成っていた。

嫌な予感!なのか嫌な予知映像が、桐山千賀子があの異常に汚くて臭いのする簡易トイレから戻る姿を見ながら、現実では朝の北宇都宮駐屯地の滑走路の多い広々とした風景を見続け、その風景と重なるように、昨夜の宇都宮駐屯地上空からのヘリの迂回シーンを思い出していた。

昨夜は宇都宮駐屯地に集まった多くの宇都宮市民により何度もヘリを上空で迂回し、その都度、ヘリを左右に傾けた。

その時、一瞬だが見えてしまったのが、AH‐1Sベルヘリコプターの右横窓ハッチ部分したの搭乗タラップ部分やヘリ下の支える脚の部分!名称はスキッド部分に付いていた感染者の体液!?多分、昨夜の朝霞駐屯地ヘリ倉庫内で執拗にぶら下がっていた女?の体液がそこから、宇都宮駐屯地下(した)で集まっている市民達に落ちて付着したのでは?と言う、なんとも恐ろしい予知映像を見せられていた。

それが事実なのなら(哀しいかな、この予知映像は恐ろしいぐらいに真実だろう)、先程、彼らの一人が携帯無線で宇都宮駐屯地の仲間に連絡したのに応答が無い理由では?

と、納得している私がいた。

顔の表情が強張っている私に気付くことは無く、桐山千賀子は簡易トイレの酷いアンモニア臭と汚さを大袈裟に話しながら苦笑した顔で近付いてきて、自衛隊員3人は、その話に笑い合っていたが、その笑い声さえも私の耳には殆ど入ってはいなかった。

「簡易トイレの中に今まで観たこともない位に大きな蠅が壁に張り付いていたから怖かった」

桐山千賀子の話しに3人は爆笑していた。
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