細川ガラシャと南蛮混血美女軍団

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昔から定められていた大いなる宿命

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「ガラシャ様は、もはや自分一人で、お江戸に向かわれようとお考えでしたか?」

「そ、それは・・・」

「確かに、今のガラシャ様の状態、能力的には可能?かもしれません。
実際、肉体的な変化は若返りだけではなく、その身体能力の開花も日に日に目覚ましくなっているのでしょう。
ガラシャ様も、常人の身体の動きがゆっくりと動いて見えることはありませんか?」

「どうして、そんなことを?」

「さなえやようこから相談を受けましてね!鬼首村から帰って来て、日に日に、肉体が強靭化していき、今ではガラシャ様の家来たちの太刀筋もゆっくりとした姿で見えてしまう、なんてね」

「やはり、そうでしたか!お二人にも確かに鬼の様な力が備わった?そう遠くから観ていても感じていました」

「そして、人間と言うのはホント面白いですね。
肉体の強靭化と精力を身に付けると、自分たちだけで、出来ると、そんなことを平気で考えるようになります」

「と言いますと、まさか?さなえ殿とようこ殿が、私と同じことを」

「ええ、言っていましたよ!ようこなどは一人ででも出来る、なんて言って、今にも江戸に向かう勢いで話していましたよ。
でもね、これはそんなに簡単なことではありませんし、もはやガラシャ様だけの、ガラシャ様の私闘だけの話ではなくなったのです。と言いますか、初めから、そう言う風に宿命として天から決められていたことだったんでしょうね!」

「宿命?
私が、この東北の地、隠れキリシタンの里、黒川村に来ることも?いえ、私がキリシタンになったことも宿命として、初めから決められていた?と、言うのですか智恵さまは?」

「ガラシャ様、この世の中は、あらゆる生き物の思いで形成され、動いております。
確かに時の権力者や、力のある者による一時的な支配や、時代の流れの様なことは起きるでしょう。
例えば、今は徳川幕府が戦国の世を統一し、圧倒的に平民である、商人、職人、農民たちの支持を得ております。
この流れでいけば、武士の支配ではありますが、ある日突然の戦の時代ではなくなっていますから、万人が願っていた穏やかな日々が訪れた、と、その幸せを授受し、喜び合っているでしょう。
が、その穏やかな日々、例えるなら武士に都合の良い偽りの穏やかな日々の矛盾を、また、万人は探り始め、この戦国なき世として崇めていた徳川の世でさえも、やがて憎み始めるでしょう!」

「それが、以前に智恵さまが話していた、大規模な一揆?ですか」

「それもあります。
まだ先の話ではありますが、必ずや起きるでしょう。
残念なことに!
そこには、弱き者!虐げられてきた者の弱き肉体によって増幅させられた歪んだ魂!の叫びが共感し合い、その拠り所として、このキリスト様を欲し、利用するのかもしれません」


「利用?ですか!」

「考えてもみてください、もしもガラシャ様が、男であり、徳川家康であったなら、遥(はるか)遠くから来た異国のバテレンの宗教を欲すると思いますか?」

「そ、そ、それは、わたしは考えたこともございません」

「そうでしょう。
私だって自分のことを考えるだけで、自分のことだけで精一杯ですから、そんな、暇な、そしてバカな考えを考えることすら不謹慎?かもしれません。
しかし、人間は歳を重ねるうちに、この、人の気持ちに立って物事を考えることが出来るようになるものです。
しかし、そこには条件がございます。
肉体的に弱き者!経済的に弱き者!知識欲、向上心が無き者には、この能力は育たないのです」

ガラシャは智恵の話し、例え話に一瞬、はっとしてしまった。

正に、自分自身のことを言われているような、指摘されているような、そんな風に捉えてしまっていたのだ。

「あの、先程、智恵さまがおっしゃいました、
私だけのことだけでは無い、とはどう言うことでしょうか?」

「ガラシャ様は、ここ奥州の奥、東北の地、仙台藩統括の黒川村に来て、どう思われましたか?」

「は、はい!ここは、今まで、私が感じたことが無い、女性にとってのあるがままの生き方が出来る、理想郷の様な、そして、太閤秀吉の頃から虐げられてきたキリシタンが生きられる場所かと」

「そう思われますか?そう、見えますよね。しかし、ことはそう簡単ではありません。
ここは、簡単に言うと仙台藩!伊達正宗公の実験の場であり、ここと万石浦(まんごくうら)村を奥州の出島にすることをお考えなのです。
そして、もう一つの黒川村の存在価値は、伊達正宗公の側室、南蛮美女の側室を育成する為の場所でもあるのですよ!」

ガラシャには、その辺はなんとなく、薄々と感じてはいた。

それは、さなえやようこの無邪気な明るさや、人懐っこさの奥深くに時折見せるせつない表情が、正室だったころの細川ガラシャ時代に何度となく観て来た側室女性達の表情や仕草に似ていたからに今思うと納得していた。

「ガラシャ様、この黒川村もまた、ある意味では不完全であり不幸です。
さなえやようこ、そして他の黒川村の男たち、女たちは近隣の村の民との婚姻など出来ず、ここでしか生きられないのです」

「は、はい!それは多少ながら存じ上げています。
しかし、それと私との私闘とが、私だけのことではなくなってきた、と」

「今は、黒川村のさなえとようこ、そして、私が育て上げて来た黒川村の女性達の思いだけなのかもしれません。
しかし、その思いを受け継ぎ、この世の歯車を、時代を変える潮流となるべく者が、ガラシャさま、あなただったのかもしれません!
世の人々の声にならない思いを、形にならない思想を具現化することが出来る、いや、行う為にガラシャ様はここ黒川村に大いなる者!
あるいはキリスト様に導かれていたのかもしれませんね!
遠い昔から、あなたが生まれる前から!」

「私は恐れ多くも、生き神のようなキリスト様みたいな者ではありません。
ただ、この世の不憫(ふびん)さを、この世の権力を握り続ける武士!侍たちや男たちに復讐するだけです」

「なるほど、ガラシャ様は、若返り!その憎悪の炎がまた一段と激しく燃え盛ってきていましたか?ま!仕方が無い事ではありますね。しかし、この辺で、もう一つ上の!魂の次元の階段を登って見ては如何なものでしょう?」

照井智恵はそう言って微笑みながら、月明かりで照らされている頑丈そうな木製の机の上に白い絹?の、ような布で隠されていた球体の・ような物から布を取り、月明かりで青く光り輝く透明な球体、水晶のある机へガラシャを手招きし、水晶が乗っている西洋の机、テーブルの椅子に座るように指示した。

「ガラシャ様、そろそろ、今後のこの国の未来のことを真剣に考えて、構築していかなければならない時期に差し掛かってきましたね。それも、我々、この国の女性の時代と未来を構築することを、ね!」
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