呪われた騎士に惚れられた夢魔は呑気にその腕の中で微睡んじゃう

おげんや豆腐

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魔族の習性 特性

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「まずどこから話そうか……」
「それだとまた話脱線するぞ」
弱肉強食、野蛮、邪悪の比喩とさえ言われる僕たち魔族というのは、一見簡単に聞こえるがその実どの種族よりも複雑で、恐らく人型の動物の中で一番生きにくいと思う。


「……そういうの駄目か」
「おう」
あれだね、初対面の人には普通に話せるけど多少仲良くなってくると逆に気を遣ってしゃべれなくなるやつ。

「……えっと、魔族の間にはね……超えられない壁…みたいなのがあるんだよね」
ぐすたふのお腹を背もたれ代わりに大きな膝に乗り、少しどもりながら言葉に出す。

「壁?」
「魔族に妥当する種族は多いけど力や才能、感情の基盤とか生まれもっての何ていう…地位?とか身分みたいのが生まれた瞬間に決まるんだよ」
「……ほーん?」
「かっこよく言うと絶対的な階級制」
「……おう」
「なんか今変に間がなかった?」
「ない、続けろ」
「いやでも」
「兎肉のハーブ蒸し」
「…へい」
何故料理名を……食べ物で全部釣れるとかチョロく思われてない……? ……続けるか。

「例えば……ゴブリン」
「数だけは多い緑の雑魚」
「言い方ひどい」
「事実だ、ゴブリンがどうしたって?」
「ああ、えっとね」
軽く左頬をつつかれ急かされる、。

「魔族の階級は大まかに分けて三つ、上から上級 中級 下級があって、この中で群れるけど知性も力も弱いゴブリンは下級の底辺辺りにいるの」
「その階級についてはよくしらんが、とりあえずゴブリンは雑魚だな」
「上級は純潔の吸血鬼に悪魔、実力と気品を兼ね備えた方々…力の強い魔人もこの中に含まれる」
「……へえ?」
「そっちで言う所の貴族階級王族階級の人だね」
「あぁ、そういう事か、分かりやすい」
「中級が一般市民感覚で、魔人に吸血鬼、一部の亜人巨人サキュバスインキュバスとかもろもろ? あとは良く知らない」
「そうか……よくわからん」
「僕も思う」
ここらへんの知識大体友人からの受け売り。

「……心配だな」
「なにが」
「ニールの危うさだ……今は関係ねえ、続きだ続き」
「ああはいはい」
「……ツッコミ所が多くて困るな」
「なに言ってるの」
ぐすたふは小さく言ったつもりなんだろうけど膝の上に座る僕には筒抜け、当然気になり振り返ろうと首を動かせばぐすたふの手に遮られる。

「いいから、次は下級の説明だろ?」
「あぁうん、うん? 」
「ん?」
「はい……」
無言の圧力反対……。

「……緑色の亜人ゴブリン、全身毛むくじゃらで猪顔のオーク、上半身は人、下半身は別のナにか、ケンタウロスとかが、下級の魔族とされてるね」
「オーク……ケンタウロスもか」
「他にもたくさんいるけど流石にそこまでは知らない」
「そうか」
「下級魔族、名の通り一番階級の低い種でほとんどは森とか洞窟、原っぱなんかに住み着いてる」
「おう、そうだな」
「上級は統治したり支配して、中級は上級に従い町を作り文明的な暮らしをするのに対して僕たち下級魔族はそれがどうしても”できない”」
「……ぼくたち?」
「非力で単純な思考しかできないゴブリンは身を守るために群れを作る、オークは力はあるけど難しい事を考えるより体が先に動く性質を持っているから村しか作れない」
「それは、知ってるな」
「……そもそも、下級の個体数の多い魔族は気持ち…感情…欲を細分化するためのなにかが発達してないんだよね……たぶん!よいしょ」
勢いをつけて立ち上がり、ぐすたふを見る。

「……ニール?」
ここは言い切らないとまたぐだぐだ先延ばしにしちゃうかもしれない、少し覚悟を決めて……よし。

「恋愛、恋が分からないって言ったよね」
「……おう」
「人間や他の種族は性欲 食欲 睡眠欲を満たし物欲 知識欲 承認欲求を満たそうと群れ…集団の中で競いあう、魔族もそれは同じなんだけど、この欲の感じ方が種族によって全然違っちゃう」
「……どういうことだ?」
「下級魔族の夢魔、人畜無害で相手を眠らせる”事しか”できない、ただ生き残った何もできない種族」
少し怖いかおのぐすたふに僕は口角を緩く上げる。

「相手を眠らせ眠気を頂き、眠らせた相手に安眠を与える、ただそれ”だけ”に特化した色欲関係の魔族の亜種みたいなもの」
「……」
「僕の中で性欲や食欲はとてもとても鈍い、ヤル前に安眠を、食べる前にまず睡眠を求めて与えるそれ以外の感覚は自分でもびっくりする位ぼんやりしててね、分からないんだ」
「……愛をか?」
ジッと僕の顔を見るぐすたふの表情は読み取れずその場しのぎの苦笑する。

「ぐすたふからすればふざけた事だと思うけど、僕にとってそれは道端の雑草に向ける感覚だから……だから教えてくれるかな」
我ながらこれは恥ずかしいと思うけど、伝えよう。

「ぐすたふから見て僕はどう見えてる? ぐすたふが僕に抱いてるその感情……感覚? かな……」
そっとぐすたふから視線を逸らしてもごもごと。
これは単なるわがままであって強制ではない……どうしよう、自信無くなってきた。

「まぁ、嫌なら別にいいけど……」
「そんなことねえよ、ニール」
「へい」
顔を上げれば口角を上げ柔らかく笑うぐすたふがこちらに手を伸ばすと頭に乗る。
瞬きを繰り返しぐすたふを見れば白い歯を出し笑うぐすたふは両手で僕の頬を包む。

「ニールが今何を思って怖がってるのかわかんねえけどよ、そっちが乗り気なら……」
「ふぉっ?」
一度言葉を切ったぐすたふは僕の脇腹に腕を差し込むとそのまま持ち上げ勢いよく立ち上がった。

「へっ? え?」
動けないでいると引き寄せられ気づくと抱きしめられ
ていた。

「お前はお前なりに悩んでくれてる、それだけで俺はどんなに嬉しいか…^わかるか?」
「……さあ」
「そうだよな、まだそれで良い、まだな」
目を輝かせ良い笑顔のぐすたふは抱きしめる強さを更に上げ、耳元に口を寄せると息を吹き掛けて言った


「俺が何を思ってるかだって? 教えてやるよ、ゆっくりと、な………」



やべぇ流されるかも。








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