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戦う理由
第18話
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フラニアに戻った。冷たい雨が降っていた。冬は近い。
司教館に出向いてモディウスを殺した。絹で着飾ってのんきに魚を食っていた。ベアを目にしたとたん恐怖に顔が歪んだ。
城に向かう。大地は荒れ果てていた。魔物だらけだった。緑色の巨人がうろついていた。なにも怖くない。戦い、傷つき、癒えた。なにも感じない。アデルは奴隷のように働いていた。小銭をやるとうれしそうに受け取った。
聖都でベアを抱いた。はじめて裸を見た。きれいだった。すべてが完璧だった。何度も絶頂に達した。震えながら抱き合って眠った。まだ心に愛はなかった。だいじょうぶ。やるべきことはわかっている。
城には王の兵士が暮らしていた。夜中に強襲して奪還した。なつかしいフラニアの城。楽しい生活がはじまった。セルヴは髭を剃った。みなで大笑いした。カイの読みは外れた。飲み、食い、歌った。飽きると魔物と王軍の討伐に出た。また剣の腕が上がる。
城館に入った。寝室は冷え切っていた。床にも調度にも埃が積もっている。手をつないでしばらく立ち尽くしていた。剥き出しの床に痩せた女が横たわっている。アデルは今日、村に帰る。
「ほら、豚さんが貴人になれた。気分はどう?」
なにも感じない。黒い水が心に満ちた。目からしずくがこぼれ落ちた。
司教館に出向いてモディウスを殺した。絹で着飾ってのんきに魚を食っていた。ベアを目にしたとたん恐怖に顔が歪んだ。
城に向かう。大地は荒れ果てていた。魔物だらけだった。緑色の巨人がうろついていた。なにも怖くない。戦い、傷つき、癒えた。なにも感じない。アデルは奴隷のように働いていた。小銭をやるとうれしそうに受け取った。
聖都でベアを抱いた。はじめて裸を見た。きれいだった。すべてが完璧だった。何度も絶頂に達した。震えながら抱き合って眠った。まだ心に愛はなかった。だいじょうぶ。やるべきことはわかっている。
城には王の兵士が暮らしていた。夜中に強襲して奪還した。なつかしいフラニアの城。楽しい生活がはじまった。セルヴは髭を剃った。みなで大笑いした。カイの読みは外れた。飲み、食い、歌った。飽きると魔物と王軍の討伐に出た。また剣の腕が上がる。
城館に入った。寝室は冷え切っていた。床にも調度にも埃が積もっている。手をつないでしばらく立ち尽くしていた。剥き出しの床に痩せた女が横たわっている。アデルは今日、村に帰る。
「ほら、豚さんが貴人になれた。気分はどう?」
なにも感じない。黒い水が心に満ちた。目からしずくがこぼれ落ちた。
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