アサシンの僕と魔導師のオレが融合した結果〜銀髪美少女の幼馴染と行く異世界漫遊記〜

ティムん

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第一章 幼少期

第五十七話 戦い前日

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 しばらくの間フューの飛行練習に付き合った後、僕は避難場所になっている、村の中央の集会所に来ていた。
 やらなくちゃいけないことは大体終わったけど、出来ることはまだまだあるからね。休んでいる暇はない。

 集会所は元々避難場所にすることを想定して作られていたのだろう。石で出来た、頑丈な造りの建物だった。とはいえ、大量の魔物が押し寄せてきても耐えられるかと言われれば、首をかしげざるを得ない。

「フュー、この建物を補強できないかな? 土魔法で鉄を出して覆うだけでもだいぶ変わると思うんだけど」

 僕がそう言うとフューは僕の頭から飛び降り、体を急速に膨らませ始めた。フューの姿はみるみるうちに大きくなっていく。
 数十秒後、見上げるほどの大きさになったフューは集会所を呑み込んだ。

「フュー!?」
『スライムが体積を自由に操れるってのは知っていたが……ここまでとはな。いや、コイツがおかしいだけか』
「そこも驚いたけど、そうじゃなくて! なんで呑み込んだの!?」
『あぁん? 針金を出したときも体内からだっただろうが。魔法を使うなら体内の方がやりやすいんじゃねぇか? なんにせよ、もう少し待てばわかるだろ』

 ソルの言葉通り、数秒後にフューに動きがあった。土属性の魔力を練り始めている。かなりの魔力が一点に集められていく。
 そして魔力の収束が終わると、建物が下から徐々に鉄に覆われ始めた。

 最終的に、鉄に集会所が完全に覆われるとフューは、今度は逆にその体を縮ませていった。元の大きさに戻ったフューは僕にの胸元に飛び込んでくる。
 僕はフューを受け止め腕に抱くと、フューの魔法で補強された集会所を見る。

 形はそのままだが鈍い光を放つ鉄に覆われた集会所は、前とは受ける印象が全く違い無機質な冷たさを感じさせる。
 集会所としては失敗かもしれなが、避難場所としてみると要塞のようでなんとも頼もしい限りだ。

「すごいよフュー! これならばっちりだ!」

 僕の賞賛にフューは嬉しそうに体をくねらせる。

『まぁ、これなら魔物が建物を壊そうとしても、そう壊れることはねぇだろ。フラムは質より量を重視するヤツだから、強い魔物は多くないはずだしな』

 ソルのお墨付きも頂いたし、避難場所の補強はこれで完成でいいだろう。僕らは強度のチェックを軽くしたあと、扉がスムーズに開くように作り直し、家に帰った。

 昼に帰らず、昼食を食べなかったことを母さんに怒られたが、母さんも僕が頑張っていたことをわかっているのか軽い注意ですんだ。
 母さんのお説教の後は家族みんなで豪勢な食事を摂った。明日が魔物の襲撃日だということで、二人が緊張しているかと考えたりもしたが、そんな様子は一切なかった。

 二人は元々冒険者だったのだから、このくらいのことはよくあったのかもしれない。僕も前世ではこのくらいのピンチはよくあったが、どうしても不安が残る。
 前世では自分のことと任務のことだけを考えていればよかったが、今回はみんなを守るということも考えなければならないのだ。
 いつもとは勝手が違う。だけど、失敗は許されない。誰一人として死なせるわけにはいかないのだ。今回のことは僕が原因なのだから。僕が何とかしないと――

「お前は一人じゃないんだぞ? 俺もいるし、ソレイユも村のみんなだっているんだ。一人で焦らなくてもいい」

 ぐるぐると考え込んでいた僕の頭に、父さんが手をポンと乗せる。父さんの手の温もりと優しい言葉が心に染みていく。すると、背中から何か柔らかいものに抱きしめられた。

「ソーマちゃん。無理しなくていいのよ。お母さんやお父さんに頼ってくれてもいいんだから」

 母さんは僕を抱きしめながらそう言ってくれる。

 ……はは、僕が原因なのに二人共自分達を頼ってくれと言ってくれるなんて。僕は本当に素晴らしい両親を持ったんだね。

 気がつくと、不安や焦りは綺麗さっぱりなくなっていた。

「うん、二人共ありがと。そうだね、周りに頼らなくちゃダメだってわかってるのに、また一人で抱え込もうとしていたみたい。困ったら頼らせてもらうからね」

 二人は笑顔で頷いてくれた。僕は、二人の助けるのが当然だと言いたげな態度に心が温まるのを感じる。

「明日は大変なんだから、もう寝ろ」
「ちゃんと眠って明日に備えるのよ~? 休めるときはしっかり休む。冒険者になるなら必要な心得よ~」
「うん、わかった。おやすみ」

 二人からおやすみと返ってくるのを聞いた後僕は部屋に戻り、すぐに眠りについた。
 それは、両親に全てを打ち明けたときと同じくらい深い眠りだったかもしれない。
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