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第一章 幼少期
第九十話 看病
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「その、悪いんだけど、僕動けなくて食べれないんだ」
「知ってる……だから……私、食べさせる……」
「え、た、食べさせる!?」
『良かったなぁ、母親に食事の世話されなくて済むぞ。嫌がってたもんな』
ソルがからかうような声音でそう言う。
(何も良くない! セリアに食べさせてもらう方がよっぽど恥ずかしいよ!)
『じゃあな、楽しめよ』
ソルはそう言うと、感覚の共有を切ってしまった。朝食の時と同じだ。あの時もソルは逃げて、恥ずかしい思いをしたのは僕だけだった。
僕とソルがそんなやりとりをしている間に、セリアはベッドの横に椅子を持ってきて、そこに座った。
スプーンでスープを掬い、僕の顔に近づける。
「あーん」
「ちょ、ちょっと待って! 自分で、自分で食べるから!」
かなり近い距離にセリアの顔が来たことで昨日の出来事が頭をよぎり、顔が真っ赤になる。
セリアが近づいてきただけでもこんなに恥ずかしくなるんだ。この状態でセリアにご飯を食べさせてもらうなんて出来るわけがない。
僕は手をばたばたと振って拒絶を示す。もちろん、動かした両手には激痛が走る。
「――っ!! 忘れてた……!」
苦痛に顔を歪める僕を見て、セリアは少し頬を膨らませ、怒った表情を見せる。もちろん、よく見なければわからないほどの変化だが。
「無理……しないで……ほら、あーん」
うっ、ここで食べなかったらセリアは悲しむんだろうなぁ……。仕方ない、ここでいつまでもうだうだ言うのは男らしくないし、覚悟を決め用。
「あ、あーん」
僕はスプーンにかぶりつき、スープを喉に流し込む。
「美味しい……?」
「う、うん。とっても美味しいよ」
本当は緊張で味なんてわからなかったけど。
「よかった……頑張った甲斐……あった」
「え? これセリアが作ったの?」
「ん……ソレイユさん……手伝ってくれた、けど」
セリアが僕のためにわざわざ作ってくれたのか。そう思うと、なんだか胸の奥がじんわりと温かくなってくる。
セリアは、褒められてもっと食べてほしくなったのか、すぐにまたスープを掬って僕の口元に差し出す。
「はい……あーん……」
「あーん」
今度はしっかりと味わって食べた。なんだか優しい味がするスープだった。
「本当に美味しい」
今度は心の底からの感想を言う。セリアはまた少しだけ嬉しそうな表情になると、食事を差し出すペースをあげた。
その後も、セリアの「あーん」は続き、僕は幸せなような、恥ずかしいような食事を続けたのだった。
「知ってる……だから……私、食べさせる……」
「え、た、食べさせる!?」
『良かったなぁ、母親に食事の世話されなくて済むぞ。嫌がってたもんな』
ソルがからかうような声音でそう言う。
(何も良くない! セリアに食べさせてもらう方がよっぽど恥ずかしいよ!)
『じゃあな、楽しめよ』
ソルはそう言うと、感覚の共有を切ってしまった。朝食の時と同じだ。あの時もソルは逃げて、恥ずかしい思いをしたのは僕だけだった。
僕とソルがそんなやりとりをしている間に、セリアはベッドの横に椅子を持ってきて、そこに座った。
スプーンでスープを掬い、僕の顔に近づける。
「あーん」
「ちょ、ちょっと待って! 自分で、自分で食べるから!」
かなり近い距離にセリアの顔が来たことで昨日の出来事が頭をよぎり、顔が真っ赤になる。
セリアが近づいてきただけでもこんなに恥ずかしくなるんだ。この状態でセリアにご飯を食べさせてもらうなんて出来るわけがない。
僕は手をばたばたと振って拒絶を示す。もちろん、動かした両手には激痛が走る。
「――っ!! 忘れてた……!」
苦痛に顔を歪める僕を見て、セリアは少し頬を膨らませ、怒った表情を見せる。もちろん、よく見なければわからないほどの変化だが。
「無理……しないで……ほら、あーん」
うっ、ここで食べなかったらセリアは悲しむんだろうなぁ……。仕方ない、ここでいつまでもうだうだ言うのは男らしくないし、覚悟を決め用。
「あ、あーん」
僕はスプーンにかぶりつき、スープを喉に流し込む。
「美味しい……?」
「う、うん。とっても美味しいよ」
本当は緊張で味なんてわからなかったけど。
「よかった……頑張った甲斐……あった」
「え? これセリアが作ったの?」
「ん……ソレイユさん……手伝ってくれた、けど」
セリアが僕のためにわざわざ作ってくれたのか。そう思うと、なんだか胸の奥がじんわりと温かくなってくる。
セリアは、褒められてもっと食べてほしくなったのか、すぐにまたスープを掬って僕の口元に差し出す。
「はい……あーん……」
「あーん」
今度はしっかりと味わって食べた。なんだか優しい味がするスープだった。
「本当に美味しい」
今度は心の底からの感想を言う。セリアはまた少しだけ嬉しそうな表情になると、食事を差し出すペースをあげた。
その後も、セリアの「あーん」は続き、僕は幸せなような、恥ずかしいような食事を続けたのだった。
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