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03 甘夏カクテル
「なんか飲む? カクテル作るよ」
「かくてる……?」
「そ。趣味……かな」
立ち上がった唯人の指先が、カウンターに並んだ瓶を撫でる。しかしそう言われてポンと出てくるカクテルの名前などないので、美しい人間は趣味もお洒落らしいぞ、と沈黙するしかない。
「そうだな……灯真、甘口と辛口だったらどっちが好き?」
「あ、甘いの……?」
「おっけ。苦手な果物とか味とかある?」
「と、特には」
「酒は強い方?」
「あんま……い、いや、結構、強い、と思う」
弱い、と答えたら多分アルコール度数控えめなものが出てくるのだろう。だが今は思いきり酔いたかった。
カウンターの下から出てきたシェイカーに、手際よくお酒が注がれていく。シェイクの音の大きさに驚く灯真に、小さいグラスに入った山吹色の液体が差し出された。弾けるような爽やかな香りが広がる。
「はい、甘夏バレンシア」
「甘夏……?」
「ここの名産。来る時にも見たんじゃない? 白い花が咲いている木。店の前にも植わってるし……つっても、あれにはなぜか花が咲かないんだけど」
「あ、ああー……」
昼間、対岸に見えた果樹園を思い出す。漂っていた甘い花の香りも、言われてみれば柑橘っぽさがあった。
ともすると折れてしまいそうなグラスの茎を摘み、薄い縁に口をつける。ちょっとした酸っぱさの後に甘みが広がり、ほろ苦さを残して消えていった。
「お……おいしい」
そう口にしてから、ハンバーグに対してと同じ感想だということに気づいて居たたまれなくなる。一気に飲み干すと、カウンターの向こうで唯人が少しだけ口元を動かしたような気がした。
笑ったのかもしれない。
「じゃあ甘夏アレンジでもう一つ」
今度は赤と山吹色のグラデーションになったものが出てきた。甘夏ベースなのは一緒だが、混ざっていないので底に沈んだシロップの甘みが一口ごとに強くなっていく。
夢のようだ、と思った。
毛足の長い絨毯の上でも歩いているようにふわふわとして、幸せで。甘くて。少し渋いのがどこか切ない。
飲み干したくない。なのに、グラスの中身は減っていってしまうし、口に運ぶ手も止められない。
空になってしまったグラスに、夢の終わりを突き付けられた気がした。
嫌だ。明日なんていらないのに。なんで。思った瞬間、目が熱くなった。止める間もなく頬を水滴が転がり落ちていく。
「うあ……」
指先で目を押さえると、ティッシュを引き抜く音がした。
「ほら」
押し当てられたティッシュで涙を拭い、ぐすりと鼻をすする。いつのまにか椅子ごと唯人が隣に移動してきていた。
横合いから覗きこんでくる瞳に胸の中がぐずぐずにかき回され、心の殻が緩んでいく。
このまま自分の中の膿を吐き出してしまいたい。涙を堪える目元に、追加のティッシュが差し出される。
「いいよ、好きなだけ泣きな」
囁くような声に、何かを許された気がした。
「……あ、あのね」
しゃくりあげながら口にした言葉は、子供が先生を呼ぶときのようにだらしない。だが、一度口を開いてしまうと止まらなかった。
「朝……起きて、会社……行ったらですよ、『倒産しました』って張り紙、されてて。でもなんか僕だけ知らなかったみたいで、他の人と連絡つかなくて……社宅だから出てってください、って言われたんですけど、お給料しばらくなかったから、引っ越し代なんて、あるわけなくて」
笑おうとして、ふへっ、と変な声が出た。
「だから、一回実家頼ろうと思って、電話したんです。出ないなーとは思ったんですけど、まあ僕のこと好きじゃないし、仕方ないかと思って直接見に行ったらですね、見知らぬ家族が住んでたんですよ」
売られてたんです、家。驚きですよね、と呟く。
「そうか」
大仰な反応を示さない、淡々とした唯人の低い声が心地よい。
「で、次働くとこ、頑張って探したんですけど、誰も雇ってくれないんですよ。ほ……本当は、ハロワ? 市役所? とかに行くとか、日雇いバイトとかすればいいのかもしれないんですけど、でももうなんか……そこまで頑張る必要あるかな? って、思うじゃないですか。家族……はもう、僕のこといらなかったわけですし、友達とかもいるわけじゃないし……もう、いいかなって」
灯真の語尾が震えた。甘ったれた考えなのは分かっている。でも、とにかくもう疲れたのだ。
灯真のことを世界は必要としていないのだから、灯真にだってこの世界など必要ない。
お酒が回ってきたのか、自分のことを語るなんて慣れないことをしたからか、頭の中が火照って仕方ない。テーブルの上に突っ伏した灯真の肩に、唯人の手が置かれた。反射的に震えてしまった体を安心させるかのように撫でられる。
「……大変だったな」
「ん……うん……」
唯人の手が、ゆっくりと背中を上下する。怖い、と思うひやりとした気持ちが、大切なものを慈しむような手の動きに溶けていく。
人の手って、温かくて気持ちいいのか。
とろとろと、全身の力が抜けていく感覚に身を任せる。ずっと望んでいたものが、ようやく自分の手に入った気がした。
唯人の動きを意識すると、頭だけでなく体まで熱く溶けてくる。頬の涙を拭い、灯真の髪の上で指を滑らせる唯人の指先が、灯真の輪郭を優しく教えてくれる。
この人にもっと、触れてほしい。
渇望に突き動かされるように立ち上がろうとして、足がもつれる。転びそうになったところを唯人に抱きとめられた。トレーナーと同じ——それより強い唯人の匂いに包まれて、心がいっぱいになっていく。
「うわ、そんなに酒弱かったのかよ……おい、立てるか?」
「んー……」
立てる、とは思う。でも離れたくない。
「ああもう」
呆れたような声が聞こえ、手慣れた様子で肩を貸された。引きずられるように奥の部屋に連れていかれ、ベッドに降ろされる。
このままでは置いて行かれてしまう。指先を唯人のシャツに引っ掛けると、「なに?」と不思議そうな声がした。
「……あ、っ、と……」
「気持ち悪い? 水飲みたい?」
そういうのではない。灯真は首を振り、答えを探すように部屋の中に視線を彷徨わせた。古びた畳敷きの部屋に本棚。がらんとした部屋をしばし眺めてから、意を決して口を開く。
「も、もっと……触って……」
ほしい、とまで言い切れず、返ってきた大きなため息に体を縮こまらせる。言うんじゃなかった。おかしいと思われたに違いない。取り消そうとした瞬間、灯真の隣に唯人が腰を下ろした。唯人の長い脚が灯真をまたぎ、背後から回された腕が胸の前で交差する。
「ほら、これでいいか?」
「う、うん……」
全身を包み込む柔らかな匂いと温かさが、怖いことや嫌なことから灯真を守ってくれるようだった。背中に密着する唯人の体に、全身の体重を預ける。
「かくてる……?」
「そ。趣味……かな」
立ち上がった唯人の指先が、カウンターに並んだ瓶を撫でる。しかしそう言われてポンと出てくるカクテルの名前などないので、美しい人間は趣味もお洒落らしいぞ、と沈黙するしかない。
「そうだな……灯真、甘口と辛口だったらどっちが好き?」
「あ、甘いの……?」
「おっけ。苦手な果物とか味とかある?」
「と、特には」
「酒は強い方?」
「あんま……い、いや、結構、強い、と思う」
弱い、と答えたら多分アルコール度数控えめなものが出てくるのだろう。だが今は思いきり酔いたかった。
カウンターの下から出てきたシェイカーに、手際よくお酒が注がれていく。シェイクの音の大きさに驚く灯真に、小さいグラスに入った山吹色の液体が差し出された。弾けるような爽やかな香りが広がる。
「はい、甘夏バレンシア」
「甘夏……?」
「ここの名産。来る時にも見たんじゃない? 白い花が咲いている木。店の前にも植わってるし……つっても、あれにはなぜか花が咲かないんだけど」
「あ、ああー……」
昼間、対岸に見えた果樹園を思い出す。漂っていた甘い花の香りも、言われてみれば柑橘っぽさがあった。
ともすると折れてしまいそうなグラスの茎を摘み、薄い縁に口をつける。ちょっとした酸っぱさの後に甘みが広がり、ほろ苦さを残して消えていった。
「お……おいしい」
そう口にしてから、ハンバーグに対してと同じ感想だということに気づいて居たたまれなくなる。一気に飲み干すと、カウンターの向こうで唯人が少しだけ口元を動かしたような気がした。
笑ったのかもしれない。
「じゃあ甘夏アレンジでもう一つ」
今度は赤と山吹色のグラデーションになったものが出てきた。甘夏ベースなのは一緒だが、混ざっていないので底に沈んだシロップの甘みが一口ごとに強くなっていく。
夢のようだ、と思った。
毛足の長い絨毯の上でも歩いているようにふわふわとして、幸せで。甘くて。少し渋いのがどこか切ない。
飲み干したくない。なのに、グラスの中身は減っていってしまうし、口に運ぶ手も止められない。
空になってしまったグラスに、夢の終わりを突き付けられた気がした。
嫌だ。明日なんていらないのに。なんで。思った瞬間、目が熱くなった。止める間もなく頬を水滴が転がり落ちていく。
「うあ……」
指先で目を押さえると、ティッシュを引き抜く音がした。
「ほら」
押し当てられたティッシュで涙を拭い、ぐすりと鼻をすする。いつのまにか椅子ごと唯人が隣に移動してきていた。
横合いから覗きこんでくる瞳に胸の中がぐずぐずにかき回され、心の殻が緩んでいく。
このまま自分の中の膿を吐き出してしまいたい。涙を堪える目元に、追加のティッシュが差し出される。
「いいよ、好きなだけ泣きな」
囁くような声に、何かを許された気がした。
「……あ、あのね」
しゃくりあげながら口にした言葉は、子供が先生を呼ぶときのようにだらしない。だが、一度口を開いてしまうと止まらなかった。
「朝……起きて、会社……行ったらですよ、『倒産しました』って張り紙、されてて。でもなんか僕だけ知らなかったみたいで、他の人と連絡つかなくて……社宅だから出てってください、って言われたんですけど、お給料しばらくなかったから、引っ越し代なんて、あるわけなくて」
笑おうとして、ふへっ、と変な声が出た。
「だから、一回実家頼ろうと思って、電話したんです。出ないなーとは思ったんですけど、まあ僕のこと好きじゃないし、仕方ないかと思って直接見に行ったらですね、見知らぬ家族が住んでたんですよ」
売られてたんです、家。驚きですよね、と呟く。
「そうか」
大仰な反応を示さない、淡々とした唯人の低い声が心地よい。
「で、次働くとこ、頑張って探したんですけど、誰も雇ってくれないんですよ。ほ……本当は、ハロワ? 市役所? とかに行くとか、日雇いバイトとかすればいいのかもしれないんですけど、でももうなんか……そこまで頑張る必要あるかな? って、思うじゃないですか。家族……はもう、僕のこといらなかったわけですし、友達とかもいるわけじゃないし……もう、いいかなって」
灯真の語尾が震えた。甘ったれた考えなのは分かっている。でも、とにかくもう疲れたのだ。
灯真のことを世界は必要としていないのだから、灯真にだってこの世界など必要ない。
お酒が回ってきたのか、自分のことを語るなんて慣れないことをしたからか、頭の中が火照って仕方ない。テーブルの上に突っ伏した灯真の肩に、唯人の手が置かれた。反射的に震えてしまった体を安心させるかのように撫でられる。
「……大変だったな」
「ん……うん……」
唯人の手が、ゆっくりと背中を上下する。怖い、と思うひやりとした気持ちが、大切なものを慈しむような手の動きに溶けていく。
人の手って、温かくて気持ちいいのか。
とろとろと、全身の力が抜けていく感覚に身を任せる。ずっと望んでいたものが、ようやく自分の手に入った気がした。
唯人の動きを意識すると、頭だけでなく体まで熱く溶けてくる。頬の涙を拭い、灯真の髪の上で指を滑らせる唯人の指先が、灯真の輪郭を優しく教えてくれる。
この人にもっと、触れてほしい。
渇望に突き動かされるように立ち上がろうとして、足がもつれる。転びそうになったところを唯人に抱きとめられた。トレーナーと同じ——それより強い唯人の匂いに包まれて、心がいっぱいになっていく。
「うわ、そんなに酒弱かったのかよ……おい、立てるか?」
「んー……」
立てる、とは思う。でも離れたくない。
「ああもう」
呆れたような声が聞こえ、手慣れた様子で肩を貸された。引きずられるように奥の部屋に連れていかれ、ベッドに降ろされる。
このままでは置いて行かれてしまう。指先を唯人のシャツに引っ掛けると、「なに?」と不思議そうな声がした。
「……あ、っ、と……」
「気持ち悪い? 水飲みたい?」
そういうのではない。灯真は首を振り、答えを探すように部屋の中に視線を彷徨わせた。古びた畳敷きの部屋に本棚。がらんとした部屋をしばし眺めてから、意を決して口を開く。
「も、もっと……触って……」
ほしい、とまで言い切れず、返ってきた大きなため息に体を縮こまらせる。言うんじゃなかった。おかしいと思われたに違いない。取り消そうとした瞬間、灯真の隣に唯人が腰を下ろした。唯人の長い脚が灯真をまたぎ、背後から回された腕が胸の前で交差する。
「ほら、これでいいか?」
「う、うん……」
全身を包み込む柔らかな匂いと温かさが、怖いことや嫌なことから灯真を守ってくれるようだった。背中に密着する唯人の体に、全身の体重を預ける。
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