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人間を捕食すると強大な力を得ることができる。………らしい。
本にはそう書いてあったが、果たしてそれは本当か。だがどの描写も中毒性が高いようで暴走している挿絵が後を絶えない。
僕にはこの子しかいないし、少し握っただけで潰れてしまいそうな見た目のやつにそれを試すつもりは今の所なかった。
それに僕は花びらと魔物の血肉を主食として生きてきた。今更これを変える気はない。
「僕はここの土地を管理している吸血鬼……レグウィン・テオールだ。」
「吸血鬼!?」
そうか人間の世界に今魔族は住んでいないことを思い出しつつ、震え出した目の前の子供に安心させるかのように一通りの説明をする。
「信じられないようだけど吸血鬼…言葉通りの種族だが、僕は先ほどの約束通り君の血は吸わない。そこは安心してくれ。ただ、この敷地の外には敵がそこら中にいる上、君のような者だと簡単に食われてしまうからこの中で暮らすように。……何か聞きたいことは?」
「…それは信じます。もう色々とここに来るまでに見せられたし………えっと、一つだけ。俺、家に帰れますか?」
「今の所は出来ないとしか言いようがないが…そこはこちらで調査しよう。なにしろ前例が存在しないからな。とりあえず80年ほど待ってほしい。各地から聞き込みを……」
「ッ80年!?」
オドオドしていた人間が突然驚いたような声をあげるから僕まで目を見開く。
「…?」
「そんなんじゃもう死んでるかも…」
「……君いくつだ?」
「………今は10歳だけど…90歳になっちゃう…」
その発言に今度はこちらが驚く番だった。
「なんと、人間の赤子だったか………」
「え、?えっと、赤ちゃんって歳じゃないですよ、多分…あの…?」
しかし、赤子の割にはしっかりしているように見える。怯えられているのは間違いないが、その辺の雑魚よりも肝は座っている。
「とりあえず今日は休むといい。疲れているだろう。」
「?…………あれ、すごく、眠くなってきた」
手に魔力を込め、元々あった睡魔を増幅させれば簡単に横になる。怖がられていたらいつまでも眠れないだろうから配慮だ。
睡魔があるなら人間は僕らと同じく眠る必要があると頭にメモをした。まあ正確には僕らは睡眠は必要としない。ただ日光がダメだからなんだけども目を瞑って動かなくなるあたり同じようなものだろう。
光がダメな可能性もあるから、光を通さないよう真っ暗にする。ふむ…分からないことが多すぎるがこれはこれで未知の物を育てるゲームみたいで面白いかもしれない。
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「吸血鬼!?」
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