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とき 7
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「出張ですか?」
私が聞き返すと、輝さんは軽く頷いてから説明してくれた。
「主要都市には退魔師が常駐しているけど、地方は要請があれば出張して対応しているのよ」
「そうなんですね。で!どこにいくんですか?」
少しワクワクして聞いた。出張って事は旅行のようなものでしょ?そりゃあ、普通の会社員にとっての出張なら意味合いは変わってくるだろうけど、邪気を祓うくらいもう慣れてしまった私にはどこかに出かけられるチャンスでしかない。それはちょっとしたイベントのようなモノ。
輝さんには私の考えがお見通しなのか、頭を軽く振ってため息までつかれてしまった。
「ハァ、、、遊びじゃないのよ」
(うっ!心を読まれてる)
輝さんは退魔師全体を管理する仕事も任されているので(なんたってあの源の子孫だから!)毎日仕事に追われて大変そうではある。けど、私なんてまだ学生だからと(この前、学校辞めちゃったけど)特に何か任されることは無いし、唯一のお仕事であるお祓いも週に1回くらいだ。だからとても暇。暇すぎて輝さんに『仕事増やして』と言ったら『私の仕事まで増えるじゃない』と言われてしまった。だって退魔師の仕事って慣れてしまえば簡単なんだもん。(輝さんが言ったように誰でもできる簡単なお仕事というのは間違ってなかったのかも)
それに週1回に午後から少し踊るだけであんなに沢山お金貰っていいの?と、申し訳なさも感じていたんだから、出張は願ったり叶ったりだ。どこへでも行きますよー。
なにより輝さんと一緒に居られる、、、
これまで持て余した時間は東京観光に向けてきた。けれど、一人では張り合いが無いというか、ちょっと寂しい。私はもっと輝さんと一緒に何かしていたい、、、と、思うようになってしまった、、、所存でございます。ハイ。これって、、、やっぱり、、、
(あーーーーーっ!はずかしい!)
輝さんとは仕事のパートナーとして一緒に暮らし始めたから、毎日一緒に居る事には変わりはないんだけど、生活の時間が会わないというか、朝は早くに出て行っちゃうし、夜は疲れていそうだからゆっくりさせてあげたいし、、、放っておかれるのがとても寂しい(私ってかまってちゃんだったの⁉)
こんな恋愛ビギナー状態に陥ったのは輝さんのせいでもある!
私が初めて輝さんの舞を見たあの日、あの時の光景がずっと頭から離れない。怖くもあり、怖いもの見たさもあり、とにかく興奮しすぎて頭が真っ白で、その空白を埋めようと記憶をたどっているのだけど、やっぱり思い浮かぶのは鬼の手よりも、私を介抱してくれた輝さんの手の方!その記憶が強烈に残っている。
(アレもお仕事のうちなの⁉)
もうパワハラどころではない。あんなの恥ずかしすぎる!けど、、、嫌じゃなかった。輝さんの手は、怯える私をなだめてくれるようだった。全てさらけ出して、ゆだねてしまった時の解放感ときたら、、、私はすっかり退魔師の仕事というものにはまってしまった。踊った後に輝さんにしてもらうアノ解放感を求めて。
(輝さんは私の事、なんとも思ってないのかな?)
また心を読まれないうちに話を進める。
「退魔師を県ごとに常駐させる訳にはいかないんですか?」
「この仕事、表立って出来るようなものではないでしょ?国家機密にしているくらいだし」
「そうですよね、、、退魔師がホイホイいたらバレちゃいますもんねー、」
「それに見えない人には邪気なんて見えないんだから、効果があるのかどうか半信半疑な上、お金は請求されるし、いかがわしい商売だと思われかねないのよ。だから昔から縁のある地域や神社仏閣のつてで依頼を受けてるの」
「そういうもんなんですか、」
神社にお祓いを受けに来るような人は重度の肩こりや倦怠感に見舞われている。そういうのはまずお医者さんにかかるのだけれど、異常ナシで済まされてしまう。体は健康なのになぜか健康じゃない状態。憑かれているのだ『疲れとは憑かれ』おばばがよく言っている。
邪気によってそんな憑かれている人が増えたらどうなるだろう?生活は乱れ、家は荒れる。そういう家が増えれば地域は活気を失う。そしてさらに広まれば街の治安は悪くなる。少しづつ、少しづつ、邪気は人の生活を侵食していくのだ。と、おばばから教えてもらった。案外、犯罪の多い地域というのは邪気が溜まっているのかもしれない。
輝さんが言った。
「今回行くのは伊勢神宮よ」
私が聞き返すと、輝さんは軽く頷いてから説明してくれた。
「主要都市には退魔師が常駐しているけど、地方は要請があれば出張して対応しているのよ」
「そうなんですね。で!どこにいくんですか?」
少しワクワクして聞いた。出張って事は旅行のようなものでしょ?そりゃあ、普通の会社員にとっての出張なら意味合いは変わってくるだろうけど、邪気を祓うくらいもう慣れてしまった私にはどこかに出かけられるチャンスでしかない。それはちょっとしたイベントのようなモノ。
輝さんには私の考えがお見通しなのか、頭を軽く振ってため息までつかれてしまった。
「ハァ、、、遊びじゃないのよ」
(うっ!心を読まれてる)
輝さんは退魔師全体を管理する仕事も任されているので(なんたってあの源の子孫だから!)毎日仕事に追われて大変そうではある。けど、私なんてまだ学生だからと(この前、学校辞めちゃったけど)特に何か任されることは無いし、唯一のお仕事であるお祓いも週に1回くらいだ。だからとても暇。暇すぎて輝さんに『仕事増やして』と言ったら『私の仕事まで増えるじゃない』と言われてしまった。だって退魔師の仕事って慣れてしまえば簡単なんだもん。(輝さんが言ったように誰でもできる簡単なお仕事というのは間違ってなかったのかも)
それに週1回に午後から少し踊るだけであんなに沢山お金貰っていいの?と、申し訳なさも感じていたんだから、出張は願ったり叶ったりだ。どこへでも行きますよー。
なにより輝さんと一緒に居られる、、、
これまで持て余した時間は東京観光に向けてきた。けれど、一人では張り合いが無いというか、ちょっと寂しい。私はもっと輝さんと一緒に何かしていたい、、、と、思うようになってしまった、、、所存でございます。ハイ。これって、、、やっぱり、、、
(あーーーーーっ!はずかしい!)
輝さんとは仕事のパートナーとして一緒に暮らし始めたから、毎日一緒に居る事には変わりはないんだけど、生活の時間が会わないというか、朝は早くに出て行っちゃうし、夜は疲れていそうだからゆっくりさせてあげたいし、、、放っておかれるのがとても寂しい(私ってかまってちゃんだったの⁉)
こんな恋愛ビギナー状態に陥ったのは輝さんのせいでもある!
私が初めて輝さんの舞を見たあの日、あの時の光景がずっと頭から離れない。怖くもあり、怖いもの見たさもあり、とにかく興奮しすぎて頭が真っ白で、その空白を埋めようと記憶をたどっているのだけど、やっぱり思い浮かぶのは鬼の手よりも、私を介抱してくれた輝さんの手の方!その記憶が強烈に残っている。
(アレもお仕事のうちなの⁉)
もうパワハラどころではない。あんなの恥ずかしすぎる!けど、、、嫌じゃなかった。輝さんの手は、怯える私をなだめてくれるようだった。全てさらけ出して、ゆだねてしまった時の解放感ときたら、、、私はすっかり退魔師の仕事というものにはまってしまった。踊った後に輝さんにしてもらうアノ解放感を求めて。
(輝さんは私の事、なんとも思ってないのかな?)
また心を読まれないうちに話を進める。
「退魔師を県ごとに常駐させる訳にはいかないんですか?」
「この仕事、表立って出来るようなものではないでしょ?国家機密にしているくらいだし」
「そうですよね、、、退魔師がホイホイいたらバレちゃいますもんねー、」
「それに見えない人には邪気なんて見えないんだから、効果があるのかどうか半信半疑な上、お金は請求されるし、いかがわしい商売だと思われかねないのよ。だから昔から縁のある地域や神社仏閣のつてで依頼を受けてるの」
「そういうもんなんですか、」
神社にお祓いを受けに来るような人は重度の肩こりや倦怠感に見舞われている。そういうのはまずお医者さんにかかるのだけれど、異常ナシで済まされてしまう。体は健康なのになぜか健康じゃない状態。憑かれているのだ『疲れとは憑かれ』おばばがよく言っている。
邪気によってそんな憑かれている人が増えたらどうなるだろう?生活は乱れ、家は荒れる。そういう家が増えれば地域は活気を失う。そしてさらに広まれば街の治安は悪くなる。少しづつ、少しづつ、邪気は人の生活を侵食していくのだ。と、おばばから教えてもらった。案外、犯罪の多い地域というのは邪気が溜まっているのかもしれない。
輝さんが言った。
「今回行くのは伊勢神宮よ」
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