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アタシは窓の方を見た。空は五月晴れで空気は澄み渡っている。その透き通った青い空にはくっきりと飛行機雲が尾を引いていた。
「この辺りでも時々、戦闘機が飛んでるの見られるよ」
「あぁ、轟音がするから空を見上げるんだけど、もういないのよね」
「日本の主力戦闘機Fー15の最高速度はマッハ2、5だからね。市街地だと全力で飛ばないらしいけど、それでも音で気付いた時には遥か彼方に飛んで行ってるよ」
岐阜基地の東西に伸びた広い滑走路を写した写真を見せてあげた。
「岐阜基地はね、運用されている飛行場では日本最古なんだよ。知ってた?」
首を振る3人。
「いや!はなっちは一緒に『かかみがはら航空宇宙科学博物館』見てきたんじゃないか!覚えてないの?入館料800円返せ!」
「えへへ、」と苦笑いするはなっち。興味が無いとこんなものなのか。
「私も小学校の頃ですけど、遠足で行った記憶がありますよ。確か、良く飛ぶ紙飛行機の作り方を教えてもらった気がします」
「小学校の遠足なんて、よく覚えてるね。かいちょ。でもあそこは2018年にリニューアルされたっていうから、小学生の頃の記憶とはだいぶ違ってると思うよ」
「そうなんですか」
「博物館の中は撮影OKだから、色々な戦闘機の写真を撮ってきたんだ」
世界で唯一現存する「飛燕」は博物館の目玉展示品だ。その他にも歴代の戦闘機が展示されている。その写真を順番に見せてあげた。
「随分、色々な飛行機があるのね」
「岐阜基地には自衛隊で唯一の飛行開発実験団と呼ばれる部隊があるんだ。だから航空自衛隊が運用する機種の大部分が配備されてるんだよ。あの飛行場で、かの有名な零戦の原型機も初飛行したんだよ」
「へぇ、ゼロセン・・・・・・」
ふーみんの表情が怪しい。そらした目が、空をさまよっている。もしかして知らないの?なら!
「あそこはジ○リ映画「風○ちぬ」にも登場したんだから。凄いでしょ?」
いくらふーみんがアニメに疎くてもジ○リなら知っているだろうと期待したけど、やっぱり返事はよろしくない。
「あぁ・・・・・・ジ○リね。赤い飛行機の出てくる、」
「それは紅○豚だよ!」
おかしい。夏休みは金曜ロー○ショーで3週連続ジ○リ祭りが毎年のように開催されているから、風○ちぬも放送されてた覚えがあるのに。ふーみん見てないの?
テレビが家に置いて無いかいちょは何の事か分からずポカーンとしているのは毎度の事として、はなっちがようやく私の話に合わせてくれた。
「あの映画って各務原が舞台だったんだねぇ。でも、飛行機を飛ばすシーンって周りは全部草原じゃなかった?家なんてほとんど描かれて無かったし、どこかの田舎の原っぱで飛ばしているのかと思ってた」
「岐阜は田舎だよっ!」
「えへへ」ごまかして笑うはなっち。
「日本で飛行機が始めて飛んだのは1910年の事だよ。ライト兄弟が人類初の有人飛行を成功させたのが1903年だから、わずか7年で日本でも飛行機を飛ばしたのは凄い事だよ。あたり前だけど、今みたいに欲しい情報がすぐ手に入る訳じゃないからね?実際に海外へ足を運んで学んで帰ってきて技術を広める。西洋の文化に追いつけと必死だったんだよ。日本での初飛行から7年後の1917には各務原に飛行場を開いて自前の飛行機を作り始めていたのさ。まだその頃の各務原は一面原野だから、あったのは小さな農村くらいだよ」
「1917年・・・・・・大体100年前か、」
イメージ出来ていないのか、ふーみんの目がまた空中を浮遊している。
「1917年は大正6年だよ」
「大正!?そんな大昔に飛行機なんてあったの?」浮遊していた視線がアタシの所へ急降下した。
「あったよっ!日本で初飛行を成功させた1910年なんて、明治43年だからね?」
「明治!?」更に驚くふーみん。
「これだから今の若いモンは。昔を馬鹿にしよる」
「アンタは誰目線よソレ」
どうやらふーみんは歴史に疎いらしい。この前もマイコーを戦国武将とひとまとめにしていたし、疎いと言うより昔の事は興味ないと言った方がいいのか。まったく。
アタシは窓の方を見た。空は五月晴れで空気は澄み渡っている。その透き通った青い空にはくっきりと飛行機雲が尾を引いていた。
「この辺りでも時々、戦闘機が飛んでるの見られるよ」
「あぁ、轟音がするから空を見上げるんだけど、もういないのよね」
「日本の主力戦闘機Fー15の最高速度はマッハ2、5だからね。市街地だと全力で飛ばないらしいけど、それでも音で気付いた時には遥か彼方に飛んで行ってるよ」
岐阜基地の東西に伸びた広い滑走路を写した写真を見せてあげた。
「岐阜基地はね、運用されている飛行場では日本最古なんだよ。知ってた?」
首を振る3人。
「いや!はなっちは一緒に『かかみがはら航空宇宙科学博物館』見てきたんじゃないか!覚えてないの?入館料800円返せ!」
「えへへ、」と苦笑いするはなっち。興味が無いとこんなものなのか。
「私も小学校の頃ですけど、遠足で行った記憶がありますよ。確か、良く飛ぶ紙飛行機の作り方を教えてもらった気がします」
「小学校の遠足なんて、よく覚えてるね。かいちょ。でもあそこは2018年にリニューアルされたっていうから、小学生の頃の記憶とはだいぶ違ってると思うよ」
「そうなんですか」
「博物館の中は撮影OKだから、色々な戦闘機の写真を撮ってきたんだ」
世界で唯一現存する「飛燕」は博物館の目玉展示品だ。その他にも歴代の戦闘機が展示されている。その写真を順番に見せてあげた。
「随分、色々な飛行機があるのね」
「岐阜基地には自衛隊で唯一の飛行開発実験団と呼ばれる部隊があるんだ。だから航空自衛隊が運用する機種の大部分が配備されてるんだよ。あの飛行場で、かの有名な零戦の原型機も初飛行したんだよ」
「へぇ、ゼロセン・・・・・・」
ふーみんの表情が怪しい。そらした目が、空をさまよっている。もしかして知らないの?なら!
「あそこはジ○リ映画「風○ちぬ」にも登場したんだから。凄いでしょ?」
いくらふーみんがアニメに疎くてもジ○リなら知っているだろうと期待したけど、やっぱり返事はよろしくない。
「あぁ・・・・・・ジ○リね。赤い飛行機の出てくる、」
「それは紅○豚だよ!」
おかしい。夏休みは金曜ロー○ショーで3週連続ジ○リ祭りが毎年のように開催されているから、風○ちぬも放送されてた覚えがあるのに。ふーみん見てないの?
テレビが家に置いて無いかいちょは何の事か分からずポカーンとしているのは毎度の事として、はなっちがようやく私の話に合わせてくれた。
「あの映画って各務原が舞台だったんだねぇ。でも、飛行機を飛ばすシーンって周りは全部草原じゃなかった?家なんてほとんど描かれて無かったし、どこかの田舎の原っぱで飛ばしているのかと思ってた」
「岐阜は田舎だよっ!」
「えへへ」ごまかして笑うはなっち。
「日本で飛行機が始めて飛んだのは1910年の事だよ。ライト兄弟が人類初の有人飛行を成功させたのが1903年だから、わずか7年で日本でも飛行機を飛ばしたのは凄い事だよ。あたり前だけど、今みたいに欲しい情報がすぐ手に入る訳じゃないからね?実際に海外へ足を運んで学んで帰ってきて技術を広める。西洋の文化に追いつけと必死だったんだよ。日本での初飛行から7年後の1917には各務原に飛行場を開いて自前の飛行機を作り始めていたのさ。まだその頃の各務原は一面原野だから、あったのは小さな農村くらいだよ」
「1917年・・・・・・大体100年前か、」
イメージ出来ていないのか、ふーみんの目がまた空中を浮遊している。
「1917年は大正6年だよ」
「大正!?そんな大昔に飛行機なんてあったの?」浮遊していた視線がアタシの所へ急降下した。
「あったよっ!日本で初飛行を成功させた1910年なんて、明治43年だからね?」
「明治!?」更に驚くふーみん。
「これだから今の若いモンは。昔を馬鹿にしよる」
「アンタは誰目線よソレ」
どうやらふーみんは歴史に疎いらしい。この前もマイコーを戦国武将とひとまとめにしていたし、疎いと言うより昔の事は興味ないと言った方がいいのか。まったく。
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