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二コ・タケナカ

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「まだ何かあるの?」
「うん。実は電子出版物の場合、寄贈は未開封の物でないと受け付けてくれないんだ。ウイルスに感染していてはいけないという理由でね」
「ちょっと待って。未開封でレトロなゲームって、」
「そう。投機対象になり始めているから値段も上がっているし、海外流出も始まっている」
アタシはチカ丸に話を振った。さっきから喋っていないから、もしかしたら日本語に付いてこれていないのかな?
「もしボスが世界に1つしかない未開封のゲームを手に入れたとして、それは日本のお宝だから図書館にぜひ!寄贈してほしいと言ったら、してくれると思う?」
彼女はニヤリと口の端を上げ言った。
「ムリ」
どうやらこちらの話は理解してくれている様だ。

「アタシもね、レトロゲームを手に入れる為にオークションやフリマサイトをよく覗いているんだ。たまに『引退するから売ります』って100本、200本単位でまとめてお宝が出品されることがあるんだよ」
「まさか買ったの?そんなに沢山」
「買おうとした。自分のおこずかいだけじゃどうにもならないから、とーさんに無理を言ってお金を出してもらってね。けど、こちらが用意した額なんて軽く飛び越えて取引されていったよ。どこかの王族専任運転手が買っていったのかもね」
チカ丸の方を見たらニヤリとした。
「引退する方だって高値で売れた方が嬉しいだろうからね。今はみんなが欲しがっていて値段が上がっているし、わざわざ無償で寄贈なんてしないよ。よっぽど奇特な人でもない限りは。そこで!残された希望はかいちょだけだ!」

彼女はやっと自分の番が来たのかという様にニッコリした。
「私の出番ですね。どういう事でしょう?」
「かいちょにはぜひとも国政へ打って出て、当選した暁には国会図書館法をもう一度改定してもらいたいんだよ」
「そういう事でしたか」
「未開封じゃなきゃダメなんて、新発売なら同時に納本されるから未開封だろうけど、昔の物にもそれを求めるのは現実的じゃないよ。ウイルスが懸念されるという理由ならウイルス対策すればいいんだ」
「それくらい図書館に勤めている人も分かってるんじゃない?」
「分かっているだろうね。でもあそこは普通の図書館じゃないから。務めている人は法律に従う国家公務員なんだよ。法律で明文化されていないと勝手には動けないんだ」

かいちょがまたニッコリ笑って言う。
「私の目標は国政への進出ですから、議員になれたのなら要望は聞きますよ。それで、こちらへの見返りは?」
(コヤツ!やっぱりあなどれないな。・・・・・・悪魔との取引にならなければいいけど、)
「もちろん、かいちょを当選させるために票の取りまとめをしてあげるよ。まずはここにいる5人、5票は確定だ。」
「ちょっと!なんでアンタが勝手に決めるのよ!」
「ふーみんはかいちょに投票してあげないの?」
「してくれないんですか?」
「いや、もちろんしてあげるわよ」
「じゃあ、決定。各自それぞれのパパさんママさんにもかいちょへ投票する様に仕向ける様に。これで15票は確定だよ。それから、ふーみんはクラスのみんなの票を取りまとめてね」
「私⁉」
「してくれないんですか?」
「いや、してあげるけど、」

「後はあおたんにもお願いしよう。もし教え子が議員になるなら、先生達も協力してくれるに違いない。先生達で呼びかければこの高校の卒業生全員とはいかないまでも、かなり影響力はあるはずだよ」
「あ、教職員の選挙活動は禁止されていますよ」
「む!そうなのか。使えないな、あおたん」
「人を使うばかりで、アンタはどうなのよ」
「アタシ?アタシはネットでの広報活動を担当してあげようじゃないか」
「あぁ、ごめん。アンタの友達ここにいるので全員だもんね」
ふーみんが哀れみの目で見てくる。バカにしやがって!
「ふっふっふっ、私の力を見くびってもらっては困りますねぇ。ツ○ッターのフォロワー数を忘れたのですか?私の戦闘力は1万です」
「フッ!」チカ丸が珍しく吹き出した。この娘、ドラ○ンボールもいける口だな?
「私が呼びかければ1万が2万、2万が4万と拡散され53万も夢ではないでしょう。ウフ、当選は確実と言って差し支えありません。ですが、開票前に当確が出てはつまらないですからねぇ。もちろんフルパワーで戦う気はありませんからご心配なく、」
「フフッ!」またチカ丸が吹き出している。
「え?なんですか⁉今のアニメのセリフだったんですか?先輩!私、ソレおススメされていません!」
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