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星々に包まれて海星(ヒトデ)の話とかを
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しじみさまの船の船橋。むやみと広いわけではないが、メアリさんは妙に落ち着かず、あっち行ってちょんちょん、こっち来てちょん。行ったり来たりしているよ。この異形のお姐さんを目の当たりにしてしじみさま、怯えるどころか大喜びなんだから、大したもんだぜ。姉御と呼ばせてください。
「てづるもづる」ってなんなんだ、結局。「きょくひ動物」もわからない。なぜ姉御は宇宙人にこんなに詳しいんだ。アミ族を召し使いのように従えてるし。まるで西遊記の三蔵法師みたいじゃないか。メアリさんもこの宇宙船も妖怪変化みたいだし、まさかこれから天竺目指すんじゃないでしょうね、なんて自分で言っておいて冗談とは思えなくなってきたなぁ。
お口が寂しいのか親指を舐めていたしじみさま、ひょいと私を見上げて……。
メアリさんを出汁にするのもごめんなさいなんだけど。
「いーよー、気にしないで」
棘皮動物にもたくさんの仲間がいるのね。「棘皮」というのは身体の表面に「棘」が生えているという意味で、ウニのことを指していたの。ヒトデやクモヒトデ、ナマコ、ウミユリ、みんな愉快な仲間たちです。結構姿が違うじゃないか、お疑いはごもっとも。ナマコなんて「海のキュウリ」ですよ、英語で。ウミユリなんかは「海の百合」です、英語で。あ、そのまんまやん。動かないと植物と間違えられます。でも枝だか花びらだかをゆっくり交互に打ち振って、泳いだり幹を引きずりながら歩いたりします。まったく違うようで、彼らには共通のボディプランがあります。✮星型です✮五放射相称といいます✮一般的に動物は左右対称(左右相称)ですが、彼らには対称面が五つあるのです✮
ナマコさん? 口のある方向から見て……わかりにくかったら包丁で輪切りにしてみましょう。野菜のキュウリなら三放射相称、葵の御紋になります。ウニさんの場合は棘々を全部むしってしまえばわかります。抵抗されて怪我をしても、あたしは知らんぷりですからね。ぷり。
お魚でもトリさんでもブタさんでも、食べる部位は、つまりはお肉です。ホタテの貝柱、貝殻の開閉に使う筋肉です。ホタテさん、筋肉隆々ボディビルダーってわけです。ウニさんの食べる部位はなんとも不思議な物質です。
「食材に『さん』つける方が不思議だわ。あ、いーよ続けて……」
ウニちゃんのは生殖巣、精子や卵子を作るところです。ほとんどそればっかりみたい。だからウニは増えに増え、昆布を食い尽くすのかしら? (磯焼けといいます。海の砂漠化ともいわれ、深刻な事態ですよ) あたしはウニさんのあの黄色いところがにがくて苦手でしたが、あれってウニ本来の味じゃないんですってね。型崩れや変色を防ぐために重曹で処理してるから苦味が出てしまうのです。あたしウニさん誤解してました。でも、スーパーで売るためにはそれもしかたのないこと。
そのひと手間かけないウニさん食べられるお店に誰か連れてってくれないかなと思う今日このごろ。(エビハラさんにお願いするかな?)
星型の代表選手、ヒトデさん✭ 必ずしも五本脚ではないけれど、やっぱり五芒星のイメージ。海の陰陽師と呼ばれていますね。
クモヒトデはとりわけ脚の細いヒトデといえましょうが、実はかなり相違点があります。ヒトデとクモヒトデは別の生き物です。メアリさんはクモヒトデに近いと思われます。
そうそう、ウミユリの茎の断面が五角形になってますねぇ。先ほどヒトデの五本脚といいましたが、実は裏側、海底に接する方に管足といって先が吸盤になった細かい脚がたくさん生えています。これでそろそろと歩いたり、貝の殻をこじ開けたり、垂直面に張り付いたりと、なかなかに多才な脚なのです。口は管足のある側、下をむいてるのです。
だからここでメアリさんを「えいやっ!」ひっくり返せばお口が見えるわけです。
「恐ろしげな口です」
「なんだ! 見たことあるのか」
「メアリさん、空中遊泳してたじゃないですか」
「あ、そうか」
クモヒトデのまんなか、胴体といいますか、ここは「盤」という名称で内臓の全てが収まってます。神経はネットワーク状になっていて、中枢といえる脳はありません。
「メアリさん、脳はないんですか」
「お前はあるのか」
「ありません。爪の先ほどのチップはありますが、私の魂はそこにはないような気がする」
ヒトデの脚というか腕というか、まわりに突き出している部分ですね、ここに生殖巣などが分散して収まってたりします。管足こそヒトデさんの脚ですから、その部分を「脚」と呼ぶのはやめましょう。ヒトデさんの口は下にあり、肛門は上に表側にあるんですね。その脇には海水の取り入れ口があって水管につながっています。管がやはりネットワークになって全ての管足にまで届くようになっています。管足は海水の収まった袋状になっているのですね。
「しじみさま、いつも『きょくひ動物』の研究をなさっているんですか」
「研究なんてしてへん」
メアリさんの口調が移ってきたかしらん。メアリさんのは何弁なの?
クモヒトデのこの、五方に伸びてる……腕には内臓は収まってません。管足はありますが、ヒトデほどには目立ちません。腕そのものが運動性が大きいので、これで歩くのです。クモヒトデさんは意外とすばしっこいのです。深海底で大繁栄してまして、海の底にびっしりと敷きつめられた写真を見たことがあります。足のふみ場もないほど、また、この状態のままで化石になったものが、発見されています。あたしたち脊椎動物の誕生以前から大繁栄しているのですね。
クモヒトデの眷属てづるもづるさんもよく動くし、漁網に絡みついたりしますね。彼らがよく動けるのは腕のなかを骨格様のものが貫いていて、筋肉と一体になっているからです。ヒトデさんにはない構造です。むしろ脊椎動物に近い。管足より速く走れるのです。海中を泳げる種もいるらしい。
大きな相違のひとつにクモヒトデさんには肛門がないということが上げられます。食べる口で、食べかすを吐くのです。肛門のない生物は棘皮動物に限らず意外に多いんですよ。
「メアリさんもお尻の穴はないんですか」
「デリカシーのない質問をするな」
海中を漂う有機物、沈み込んでいく有機物、懸濁物・沈殿物なんでも食べるそうです。デトリタス、有機物にバクテリアが増殖する、水槽内の汚染ともいえますが、そんなものを食してくれるので、いわば水槽のお掃除屋さん。熱帯魚を飼うときはクモヒトデもいっしょに飼いましょう! けんだく・ちんでん・デトリタス。なんかすごく語呂がいいわね! てづるもづるのあの腕、触手もそんなものを効率よくかき集めるために進化したんでしょうね。
さっき言った海底に広がるクモヒトデのカーペット。そんなところに弱ったイワシが沈み込んできて、群れがいっせいに襲いかかって食べつくしてしまった、なんてシーンも目撃されてるそうですから、沈殿物しか食べないわけじゃないですよ。健啖なのです。不思議なことにヒトデの幼生は左右対称の形をしています。星型じゃないんです。
よく生物の成長過程は進化の歴史をなぞるっていうでしょ。棘皮動物の祖先は左右相称の生物だったのかとも思えます。化石生物も含めて棘皮動物の系統をたどると古い方には左右相称さんが確かにいます。対称面がはっきりしない不思議ちゃんもいます。ラグビーボールのような姿で管足の生え口がらせん状に取り巻いているのもいました。歩くときはゴロゴロ転がるんですかね~?
やはり化石生物で、ウミリンゴというのがいて、あたしにはクモヒトデと魚が合体したように見えるんですけど、うーん、やっぱり不思議ちゃんねぇ。でもま、自分の主観で相手を決めつけるのはよくないですね、あたしも意地悪く「不思議ちゃんのお花畑」とか言われたりしてますからね、悲しいわ。
棘皮動物にはまだまだ面白い話がいっぱいあるんです、皮膚のなかにある骨片をがっちり組んで身体を硬くすることができる「キャッチ機構」だとか、あるいは……。切りがないので次の機会にしましょうねぇ。腕の先で光を感じることができるとか……。
「……棘皮動物の研究をなさってるんですね……」
「してへんって」
なにしろとっておきのネタがあるのよ。うふっ。これが言いたかったのよ。てづるもづるの学名はね、ラテン語で「ゴルゴンの頭」って言うのよ。
「……」
「……」
あれ、受けないな。実はあたし、ゴルゴン・メドウサと友だちなのよ!
全然反応ないわ。うーん。
もしかしてあたし、みんなを退屈させてました? じゃあね、クラゲの話でもしましょうか。
「え~と、素朴な疑問なんですが」
自分で素朴なんていうなよ。はい、質問はいつでも受け付けておりますよ。
「しじみさまの話されていたことは地球の海の生き物のことでしょ」
はい、棘皮動物もゴルゴンも地球の生物ですよ。あれ、月の生物だったっけ。
「メアリさんは宇宙人ではないですか。血のつながりはないと思いますが」
あらま真っ当な疑問ですこと。よく気がつきましたね。ヒトデに血が流れているか知らないけど。何かしら流れているはずね。メドウサという名前のクラゲはいます。
「そうねぇ、昔々あるところに……」
「うちが教えてあげようか」
「メアリさん、教えて教えて」
何十光年も離れた惑星で生まれた生命体だ。遺伝子的につながりがあるわけ、ないわな。収斂進化という概念はあるが、ここでは考えなくてもいい。単なる偶然? 宇宙では偶然事案が常に生起している。あたかも量子空間における、対生成・対消滅のごとしだ。わかるな。
「はい、よく……」
「はい、さっぱり」
……。ぐーぜん、形が似ちゃうってことはあるけどさ、実はうちらと地球の「ゴルゴンの頭」との相似はぐーぜんじゃないんだよね~。つながりはある。あまりにもよく似てるだろ。サイズ的にはまあ、だいぶ違うけどさ。
「メアリさんサイズだと、やっぱり怪物ですよね」
貴様! 食うぞ、コノヤロ。……知能を発達させるためにはやはりある程度の身体のサイズが必要だからね。ミジンコに知能があるとは思えないだろ。
「脳がないのに?」
貴様! お前ホントに性格悪いな! メアリさんはそんなふうにお前を育てた覚えはないぞ。それはさておき、地球のゴルゴンとうちらとどちらが先にこの世界に誕生したのか。
それは明確に地球のゴルゴンなんだ。
オルドビス紀にはいたはずですとか、しじみなら注釈加えるところだが……。
「おい、おい」
「てづるもづる」ってなんなんだ、結局。「きょくひ動物」もわからない。なぜ姉御は宇宙人にこんなに詳しいんだ。アミ族を召し使いのように従えてるし。まるで西遊記の三蔵法師みたいじゃないか。メアリさんもこの宇宙船も妖怪変化みたいだし、まさかこれから天竺目指すんじゃないでしょうね、なんて自分で言っておいて冗談とは思えなくなってきたなぁ。
お口が寂しいのか親指を舐めていたしじみさま、ひょいと私を見上げて……。
メアリさんを出汁にするのもごめんなさいなんだけど。
「いーよー、気にしないで」
棘皮動物にもたくさんの仲間がいるのね。「棘皮」というのは身体の表面に「棘」が生えているという意味で、ウニのことを指していたの。ヒトデやクモヒトデ、ナマコ、ウミユリ、みんな愉快な仲間たちです。結構姿が違うじゃないか、お疑いはごもっとも。ナマコなんて「海のキュウリ」ですよ、英語で。ウミユリなんかは「海の百合」です、英語で。あ、そのまんまやん。動かないと植物と間違えられます。でも枝だか花びらだかをゆっくり交互に打ち振って、泳いだり幹を引きずりながら歩いたりします。まったく違うようで、彼らには共通のボディプランがあります。✮星型です✮五放射相称といいます✮一般的に動物は左右対称(左右相称)ですが、彼らには対称面が五つあるのです✮
ナマコさん? 口のある方向から見て……わかりにくかったら包丁で輪切りにしてみましょう。野菜のキュウリなら三放射相称、葵の御紋になります。ウニさんの場合は棘々を全部むしってしまえばわかります。抵抗されて怪我をしても、あたしは知らんぷりですからね。ぷり。
お魚でもトリさんでもブタさんでも、食べる部位は、つまりはお肉です。ホタテの貝柱、貝殻の開閉に使う筋肉です。ホタテさん、筋肉隆々ボディビルダーってわけです。ウニさんの食べる部位はなんとも不思議な物質です。
「食材に『さん』つける方が不思議だわ。あ、いーよ続けて……」
ウニちゃんのは生殖巣、精子や卵子を作るところです。ほとんどそればっかりみたい。だからウニは増えに増え、昆布を食い尽くすのかしら? (磯焼けといいます。海の砂漠化ともいわれ、深刻な事態ですよ) あたしはウニさんのあの黄色いところがにがくて苦手でしたが、あれってウニ本来の味じゃないんですってね。型崩れや変色を防ぐために重曹で処理してるから苦味が出てしまうのです。あたしウニさん誤解してました。でも、スーパーで売るためにはそれもしかたのないこと。
そのひと手間かけないウニさん食べられるお店に誰か連れてってくれないかなと思う今日このごろ。(エビハラさんにお願いするかな?)
星型の代表選手、ヒトデさん✭ 必ずしも五本脚ではないけれど、やっぱり五芒星のイメージ。海の陰陽師と呼ばれていますね。
クモヒトデはとりわけ脚の細いヒトデといえましょうが、実はかなり相違点があります。ヒトデとクモヒトデは別の生き物です。メアリさんはクモヒトデに近いと思われます。
そうそう、ウミユリの茎の断面が五角形になってますねぇ。先ほどヒトデの五本脚といいましたが、実は裏側、海底に接する方に管足といって先が吸盤になった細かい脚がたくさん生えています。これでそろそろと歩いたり、貝の殻をこじ開けたり、垂直面に張り付いたりと、なかなかに多才な脚なのです。口は管足のある側、下をむいてるのです。
だからここでメアリさんを「えいやっ!」ひっくり返せばお口が見えるわけです。
「恐ろしげな口です」
「なんだ! 見たことあるのか」
「メアリさん、空中遊泳してたじゃないですか」
「あ、そうか」
クモヒトデのまんなか、胴体といいますか、ここは「盤」という名称で内臓の全てが収まってます。神経はネットワーク状になっていて、中枢といえる脳はありません。
「メアリさん、脳はないんですか」
「お前はあるのか」
「ありません。爪の先ほどのチップはありますが、私の魂はそこにはないような気がする」
ヒトデの脚というか腕というか、まわりに突き出している部分ですね、ここに生殖巣などが分散して収まってたりします。管足こそヒトデさんの脚ですから、その部分を「脚」と呼ぶのはやめましょう。ヒトデさんの口は下にあり、肛門は上に表側にあるんですね。その脇には海水の取り入れ口があって水管につながっています。管がやはりネットワークになって全ての管足にまで届くようになっています。管足は海水の収まった袋状になっているのですね。
「しじみさま、いつも『きょくひ動物』の研究をなさっているんですか」
「研究なんてしてへん」
メアリさんの口調が移ってきたかしらん。メアリさんのは何弁なの?
クモヒトデのこの、五方に伸びてる……腕には内臓は収まってません。管足はありますが、ヒトデほどには目立ちません。腕そのものが運動性が大きいので、これで歩くのです。クモヒトデさんは意外とすばしっこいのです。深海底で大繁栄してまして、海の底にびっしりと敷きつめられた写真を見たことがあります。足のふみ場もないほど、また、この状態のままで化石になったものが、発見されています。あたしたち脊椎動物の誕生以前から大繁栄しているのですね。
クモヒトデの眷属てづるもづるさんもよく動くし、漁網に絡みついたりしますね。彼らがよく動けるのは腕のなかを骨格様のものが貫いていて、筋肉と一体になっているからです。ヒトデさんにはない構造です。むしろ脊椎動物に近い。管足より速く走れるのです。海中を泳げる種もいるらしい。
大きな相違のひとつにクモヒトデさんには肛門がないということが上げられます。食べる口で、食べかすを吐くのです。肛門のない生物は棘皮動物に限らず意外に多いんですよ。
「メアリさんもお尻の穴はないんですか」
「デリカシーのない質問をするな」
海中を漂う有機物、沈み込んでいく有機物、懸濁物・沈殿物なんでも食べるそうです。デトリタス、有機物にバクテリアが増殖する、水槽内の汚染ともいえますが、そんなものを食してくれるので、いわば水槽のお掃除屋さん。熱帯魚を飼うときはクモヒトデもいっしょに飼いましょう! けんだく・ちんでん・デトリタス。なんかすごく語呂がいいわね! てづるもづるのあの腕、触手もそんなものを効率よくかき集めるために進化したんでしょうね。
さっき言った海底に広がるクモヒトデのカーペット。そんなところに弱ったイワシが沈み込んできて、群れがいっせいに襲いかかって食べつくしてしまった、なんてシーンも目撃されてるそうですから、沈殿物しか食べないわけじゃないですよ。健啖なのです。不思議なことにヒトデの幼生は左右対称の形をしています。星型じゃないんです。
よく生物の成長過程は進化の歴史をなぞるっていうでしょ。棘皮動物の祖先は左右相称の生物だったのかとも思えます。化石生物も含めて棘皮動物の系統をたどると古い方には左右相称さんが確かにいます。対称面がはっきりしない不思議ちゃんもいます。ラグビーボールのような姿で管足の生え口がらせん状に取り巻いているのもいました。歩くときはゴロゴロ転がるんですかね~?
やはり化石生物で、ウミリンゴというのがいて、あたしにはクモヒトデと魚が合体したように見えるんですけど、うーん、やっぱり不思議ちゃんねぇ。でもま、自分の主観で相手を決めつけるのはよくないですね、あたしも意地悪く「不思議ちゃんのお花畑」とか言われたりしてますからね、悲しいわ。
棘皮動物にはまだまだ面白い話がいっぱいあるんです、皮膚のなかにある骨片をがっちり組んで身体を硬くすることができる「キャッチ機構」だとか、あるいは……。切りがないので次の機会にしましょうねぇ。腕の先で光を感じることができるとか……。
「……棘皮動物の研究をなさってるんですね……」
「してへんって」
なにしろとっておきのネタがあるのよ。うふっ。これが言いたかったのよ。てづるもづるの学名はね、ラテン語で「ゴルゴンの頭」って言うのよ。
「……」
「……」
あれ、受けないな。実はあたし、ゴルゴン・メドウサと友だちなのよ!
全然反応ないわ。うーん。
もしかしてあたし、みんなを退屈させてました? じゃあね、クラゲの話でもしましょうか。
「え~と、素朴な疑問なんですが」
自分で素朴なんていうなよ。はい、質問はいつでも受け付けておりますよ。
「しじみさまの話されていたことは地球の海の生き物のことでしょ」
はい、棘皮動物もゴルゴンも地球の生物ですよ。あれ、月の生物だったっけ。
「メアリさんは宇宙人ではないですか。血のつながりはないと思いますが」
あらま真っ当な疑問ですこと。よく気がつきましたね。ヒトデに血が流れているか知らないけど。何かしら流れているはずね。メドウサという名前のクラゲはいます。
「そうねぇ、昔々あるところに……」
「うちが教えてあげようか」
「メアリさん、教えて教えて」
何十光年も離れた惑星で生まれた生命体だ。遺伝子的につながりがあるわけ、ないわな。収斂進化という概念はあるが、ここでは考えなくてもいい。単なる偶然? 宇宙では偶然事案が常に生起している。あたかも量子空間における、対生成・対消滅のごとしだ。わかるな。
「はい、よく……」
「はい、さっぱり」
……。ぐーぜん、形が似ちゃうってことはあるけどさ、実はうちらと地球の「ゴルゴンの頭」との相似はぐーぜんじゃないんだよね~。つながりはある。あまりにもよく似てるだろ。サイズ的にはまあ、だいぶ違うけどさ。
「メアリさんサイズだと、やっぱり怪物ですよね」
貴様! 食うぞ、コノヤロ。……知能を発達させるためにはやはりある程度の身体のサイズが必要だからね。ミジンコに知能があるとは思えないだろ。
「脳がないのに?」
貴様! お前ホントに性格悪いな! メアリさんはそんなふうにお前を育てた覚えはないぞ。それはさておき、地球のゴルゴンとうちらとどちらが先にこの世界に誕生したのか。
それは明確に地球のゴルゴンなんだ。
オルドビス紀にはいたはずですとか、しじみなら注釈加えるところだが……。
「おい、おい」
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