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第47話 東京出張1日目
しおりを挟む二泊の予定で取った宿は東急蒲田駅近くの温泉旅館の様なホテルだ。レトロな昭和の雰囲気がある、古くとも味のあるホテルで意外と気に入っていた。
ブラックコーヒー色の湯に浸かりながら、ざわめく心を落ち着かせる。
掛け流され、オーバーフローしていく黒い湯を眺めるも考えがまとまらない。
二千万と言っても人を雇う必要がある。その金額でチームの人数を抱えるなんて到底無理だ。
少し休憩を挟み、サウナに入る。
しかし、ススキノ攻略後はどちらにせよ発注が途絶えるだろう。
自分が手を挙げなければ他の人に注文を出すだけだ。他のアテがないとは思えない。
頭から冷水をかぶり、水風呂に入る。
水温は北海道より緩めだ。吐息が冷たく感じるまで座禅を組み、頭の中を空にする。
⋯⋯やるしかないのだ。
独立起業する前提でどう実現していくかを考えよう。
手拭いを肩に掛け休憩する。冷えて縮こまっていた身体中の毛細血管がじわりじわりと開いていく。
「⋯⋯後、2ターンは行けるな」
減量するボクサーの様に身体の水分を絞り出した後は線路の向こう側のバーボンストリートに向かった。今日は少し元気の出るものが食いたい。
看板にうなぎ串焼と肝焼きと書いてあるのを見つけて暖簾をくぐる。前に一回来たことがあるなここは。
「生とモツ煮込みと、うなぎ串下さい」
まずはカラカラの体に水分を補給せねばなるまい。
「はい、生ぁ」
ビールジョッキを受け取るとそのまま二口で飲み干す。
目を瞑るとビールがぐんぐんと身体を巡っていくのを感じる。立ち飲み屋をチョイスしたのは失敗したかも知れない。回りが早い。
「生お代わりと肝焼きも追加で」
「はいよぅ」
やがて、やってきたうなぎ串には山椒をたっぷりと掛け、香ばしく焼き上げられたうなぎをビールで流し込んでゆく。濃い目の味付けのタレがビールを誘っているかの様だ。
記憶のうなぎ串より小ぶりになっている気がしないでもないが、うなぎの高騰を鑑みると仕方のない事なのかも知れない。
時代は移り変わるのだ。
変化を拒んだところで取り残されるだけだ。
「冷酒とうざくも下さい」
常識など一旦捨てて考えよう。自分から変化を起こすのだ。
しかし、酔った頭では考えはまとまらないまま、座りたくなったのでホテルに戻るとそのまま寝落ちしてしまうのだった。
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