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第70話 イースト攻略前夜
しおりを挟む相変わらずカーテンのない部屋で朝日を浴びながら目を覚ました俺は、不安定な通信状況に苛つきながらも田辺さんに詠唱破棄について秘匿したまま報告を行い、再びイーストエリアの札幌当初の宿を取る。
中級エリアであるイーストエリアを拠点としてランニングで体力をつけ、火球や消火の詠唱破棄の取得とEP稼ぎを目指す事にしたのだ。
最早、ススキノエリアのこの自宅は住民票と郵便物のためだけの仮住まい扱いだ。
ただ、地下鉄駅徒歩2分の1LDKで月5.5万円は家賃相場的に安いのは確かなので、しばらくは様子見とする。ススキノエリア攻略後には良い住まいと変貌する可能性もあるからだ。
増え続けるタスクの優先度を思い耽っていると、不確かな電波を拾ったスマホがぶるりと震えた。田辺さんからの返信だ。
冒険者ギルドの新たな商売を歓迎するメッセージと、明日のイースト攻略を形式だけでも冒険者ギルドのオーダーとし、実績としてはどうかという提案であった。
なるほど、初期の実績とは創作するものなのだなと納得しながらも、冒険者ギルドのクエスト方式やギルド入会手続きも何も決まっていないのだ。
もう明日だ。
とりあえず、飯を奢るとかの報酬でみんなの同意を取ればいいだろうか。
もう明日なのだ。開き直るしかあるまい。
とりあえずリーダーとサブリーダーに話を通そう。
◆
「いいんじゃない?」
開店時間に餃子バーにやってきて事情を説明すると、あっさりとマスターの同意が得られた。
「明日はモモちゃんも増えたから11人か。たまにはウチの売上にも貢献して欲しいところだけどウチじゃキャパ的にキツイしなー」
「後の5人はどなたなんです?」
「ドーリで会ったことあるはずだよ。ポーター上がりのタンク5人組」
「ああー」
引きこもらないニートさん達か。
「あいつら、スキル足りなくて火力はないけど硬さはソコソコなんだよね。長期戦のサポートには向いてるのさ」
「なるほど。でも、11人なら屋根裏も使えばなるとかなるのでは?」
「イースト攻略記念に貸し切っちゃう? 土曜日だし貸し切りオッケーよ」
「冒険者ギルド旗揚げ記念もあるので貸し切りで」
「オッケー。1人3000円くらいでいい?」
「それでお願いします。サポートの方々にも事情を伝えておいていただけると助かります」
「商談成立。お任せあれ」
中級魔法書クラスの予算で、ガッチリと握手を交わす。色々、お任せだ。
最近、とても金銭感覚がおかしくなってきている気がする。
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