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第74話 イースト攻略ボス戦2
しおりを挟むジグザグと足止めしていた人達を躱し、地を滑るように殺到する3頭の炎狐。
マズいと思い、バックステップした時には既に体当たりモーションを終えている1頭の炎狐がちらりとスマホに写っていた。
更にバックステップで少しでも距離を取りつつ、ステータスを確認するとたった一撃でHPが14も持っていかれている。
―STATUS―
Name: さいとー
HP: 36 / 50
MP: 89 / 196
LC: 65
EP: 13
念のため、HP即時回復ポーションも一つだけ持っているが3頭に囲まれたら瞬殺だ。LCを防具ではなくポーションを持つために費やしている俺の装甲は相変わらず紙装甲だった。
広場を小幅なバックステップで戦線から離れつつあるが敵意は変わらず。再び赤い炎達が地を滑る。
しかし、俺はあえてのMP即時回復ポーションを使用する。
「さいとーさん!」
「なんとかします! ヒグマを!」
皆の心配する声も聞こえたが、今はここに集中だ。
1人後ろ向きに飛び跳ねながら、狙うは敵が重なる瞬間。
そう、攻撃の瞬間の今だ!
「レディ、ファイアアロー! レディ、ファイアアロー! レディ、ファイアアロー!」
攻撃の瞬間を見極め、バックステップで避けながら射線を確保し、ファイアアローを3連発。恐ろしい勢いでMPも減るが、3頭のうち1頭が沈黙。火の粉を散らした。
――イケる。やはり、ボスでなければ詠唱破棄でゴリ押しできる。
再び方向を変え、敵が重なるように誘うように移動する。残り2頭になり、先程までのプレッシャーはもう感じない。
「レディ、ファイアアロー! レディ、ファイアアロー! レディ、ファイアアロー!」
念のため3連発したが、炎狐の姿は綺麗さっぱり消え失せていた。
ふうと一息吐き、顔を上げるとみんなが口を開けてこちらを眺めていた。とがめるように視線を返すと、皆何かを思い出したようにきびすを返し一斉にヒグマに群がっていった。
◆◆◆
「モモちゃん、界主就任おめでとう! みんなもお疲れ!」
「「おめでとう!」」「お疲れー」
「あ、ありがとうございますっ! お疲れ様です!」
席が足らず、立ち飲み状態の餃子バーにビールジョッキを打ち鳴らす音が響く。
イースト攻略は完勝。無事、モモカがイースト界の主になったようだ。
何人か燃えてしまっていたが消火も余裕を持って間に合い、ポーションの使用数も想定より少なく済んだ。上出来だろうと思う。
「今日はMVPのさいとーさんの奢りだから! じゃんじゃん飲んで売上に貢献してね!」
心なしかマスターの機嫌が良い。これでイーストで活動するプレイヤーが増えるのかも知れない。多分そう。
「えーと、自分の奢りというか冒険者ギルドというものを立ち上げまして。そちらの話も少しさせていただければと……」
「よっ、社長!」
「「社長! ゴチになります!」」
……まぁ、今日は冒険者ギルドが何となくでも認知されればいいか。めでたい席だ。長々と無粋な真似はすまい。
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