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ⅩⅠ.最悪の魔女・三門桜
しおりを挟む「お嬢さん、こんにちは」
「知らないおじさんこんにちは!わたしに何か用ですか?」
「お嬢さんは可愛いからおじさんがお菓子を買ってあげようねー。でも、おじさん今すっごく困ってて、少し手伝って貰いたい事があるんだよー?」
思い出しただけでも気持ち悪い。わたしも手伝うって言ってしまったから悪いけど。大人の男の人を1人"お星さま"にしただけなのに思い出すなんて・・・・・・
「桜ちゃん、大丈夫?少し顔色悪いみたいだけど?」
「奈菜お姉ちゃん、大丈夫だよ!わたしみんなをお星さまにかえすためにがんばるね!」
「うん!桜ちゃんは、ワンス最強の魔法使いって言われてるからきっと出来るよ!」
「奈菜お姉ちゃんだって、すごく強い弓使いじゃない!わたしはふつうの魔法使いだよ?」
「もう、桜ちゃんったら可愛いんだから!」
「えへへ♪」
そう言って万遍の笑みのを見せる桜に思わず「尊い」と言ってしまう奈菜。傍から見ると仲の良い姉妹みたいだ。
「所長、流石に子供たちも巻き込むのは残酷過ぎませんか!?」
「仕方ない事なんだよ絢瀬君。私たち大人とは違い子供たちの純真無垢な心は"この世界"では必要不可欠。国家一大のプロジェクトなんだ。失敗は許されない」
「確かにそうですけど・・・」
「それともあれかね?君の子供を消し去っても構わないのだよ?」
「・・・申し訳御座いません」
『最悪の魔女、隣国の大都市を一夜にして滅ぼす』
「おいおい、マジかよ・・・また"破滅"の記事じゃねーか。しかも隣国の大都市って言ったら殆ど何処か分かってるようなもんじゃね?俺っちの故郷じゃなきゃいいんだけど・・・親父、死んでねーといいんだが」
「あら?あんたの生まれ故郷って隣国だったのね?」
「あ?まあな、名前がペ・ドクって名前の地点で気付くと思ったよ。月詠のお嬢さん?」
「あたしは別に名前になんて興味無いね。そもそもこっちの言葉がそんだけ達者なら言われないと分かんないと思うけど?」
「俺っち幼少時代にはこっちの国に来てるからな?」
「ふーん」
背が高く少しひょろっとした青年と長い黒髪を靡かせた少女は、公園のベンチで男性の広げている新聞の記事を目で追いながら話す。
「それって、もしかしたらわたしの事じゃないかな?」
「!?」
新聞の下から見える細く小さな脚を見て二人の行動が止まる。
「おどろかせてしまってごめんね?わたしの名前は三門桜、まだまだこどもの10さい、小等部4年生!よろしくお願いします!」
そんな二人を気にしないかの様に、自己紹介を始める桜。深々と頭を下げた時にふわっとしたロングの髪が重力に反したように浮いてゆっくりと落ちる。
「なっ·····」
言葉が出てこない。俺っちとした事が警戒状態を完全に解いてしまっていた。しかし·····小等部·····?子供じゃねーか·····
一部の間で"最悪の魔女"とまで呼ばれてるんだぞ?少女一人で街一つを簡単に滅ぼす力があるだと·····?
「おにいさんはNo.17のぺさんだよね?おとなりはNo.18のつきよみのお姉ちゃんでしょ
「何故名前を·····?」
「えへへ♪わたしってNo.10000までの人の顔と名前をすべて記憶してるの!おべんきょう大好き♪」
おいおいおいおい、こいつやべーぞ。なんて記憶力なんだ。その地点でこの子はタダモンではないな·····何とかやり過ごさなければ。
「そんなにわたしから逃げようとしないで?もうわたしおうちに帰るし、おにいさんたちと戦おうとも思わないし、わたしが倒そうとしてるのは"ワンス"の人たちだけだから。あと·····わたしは人の考えてる事ぜーんぶ分かるからヤバイ子とか思われるのは嬉しくないかな?じゃあね!さようなら!」
公園を楽しそうに走り去っていく彼女の姿が段々遠のいていく。何か直接的な攻撃はされていないにも関わらず、ドクは安堵の表情を浮かべていた。
「あんた、情けないわね。たかが"子供"一人に怯えるなんて。あたしみたいにもっと正々堂々としなさいよ。それでもあんた男?なっさけない」
「ははっ·····俺っちは月詠のお嬢さんとは違ってメンタル弱いからな·····すまねぇな」
「まったくもう·····」
そう言って月詠は立ち上がりドクに手を差し伸べる。
「もう夕刻だしお腹も空いたわ。早く帰りましょ?」
隣国の大都市プティング
「鳴海、大丈夫か·····?」
「あなた·····私は大丈夫。でももうこの街は·····」
「なんて力なんだ·····俺達でも歯が立たないなんて·····」
「えへへ♪オジサンにオバサンもすっごく強いね♪わたし凄く嬉しい!この街の人達がもう"お星さま"になってるのに2人だけ輝けないなんて可哀想·····早く死ねよ」
そう言うと"彼女"は目をすっと閉じて詠唱を始める。
「A person controlling. Absolutely retain power of God Zeus in my hand! (大地を司る者よ。絶対神ゼウスの力を我が手に宿せ!)」
「鳴海·····!これ以上は危険過ぎる!戦線離脱するぞ·····!」
「桜ちゃん、おかえり!」
「奈菜お姉ちゃんただいま!んー♪夕ごはんのいい香りがするぅ♪」
「今日は桜ちゃんの大好きなハンバーグオムライスだよ!」
「やったー!奈菜お姉ちゃんのハンバーグオムライスだーいすき!、」
日も沈み始めた大都市、京(きょう)。和をイメージした街並みで家屋も日本家屋の建築物が殆どだ。住宅街にも拘っていて、全てが和風一色の街である。内装にもかなりの拘りがあり、全ての家が和室や居間など、今の日本ですら殆どお目にかからなくなった程の拘りよう。
「ほんと桜ちゃんって可愛いんだから!」
着物姿の奈菜はにこにことしながら桜の事を玄関で眺める。
「えへへ♪ありがとう♪」
「さあ、早く着物にお着替えしてご飯にしましょ?」
「うん!」
日が沈む。やがて街には灯りが燈り始める。優しい蝋燭の火が街並みをより一層幻想的にさせてくれる。しかし、この街の縛りは他の街と違う一見変わった縛りがあった。
市民は街の外へ出る以外は基本和服を身に着ける事。
少し縛りが厳しい街ではあるが環境もよく、風習さえ守れば非常に住みやすい街である。
「最悪の魔女?」
「そっ、最悪の魔女三門桜。茉莉奈はあいつ大っ嫌いなの。糞ガキのくせに魔法は滅法強いし、No.7なのも納得出来るけど。召喚魔法を主とする茉莉奈にとっては遣りづらいかな。ゆうみたいに物理タイプなら勝算はあるかもだけど」
「そっか·····出来れば僕は戦いたくないな·····」
「裕太が仮に戦っても厳しいと思うよ?」
「モモさん、起きてたんですね」
「なかなか寝付けなくてね·····No.7の側近にいる香川奈菜っていう女性がいるんだけど、彼女は世界最強の弓使いなの。1キロ以上離れた相手の心臓を一発で的中させる程の腕前。だからそもそも接近戦に持ち込もうとする地点で無理。物理と魔法、まさに最強タッグよね」
「あら、お詳しい事。確かにあの香川奈菜っていう女はNo.がいくつかも分かってないし、腕前考えたらかなり上位にいる事は間違えないだろうけど。正直あの2人がいる限りはこの世界は改変されたままの感じもするし。ホントイヤになっちゃうわね·····」
気がつくと夜が明け、辺りが段々と明るくなってきていた。
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