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破滅の騎士
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事件は唐突に起きた。
王宮内の訓練場での出来事だった。アルフォンスが和馬に挑んできたのだ。
「貴様に国を守る資格などない!」
怒りと悲しみが混じった叫び。
しかし和馬の返答は冷酷だった。
「君さぁ、自分がどれだけ惨めかわかってる?」
「……!」
アルフォンスは怒りに任せて斬りかかる。
だが和馬は余裕を持ってかわし、剣を叩き落とす。
そして……
「ちょっと痛いけど我慢ね。これも教育だから」
「ぐっ……!?」
和馬の一撃はアルフォンスの左腕を切断した。
かろうじて致命傷ではない。
この世界であれば、切断された腕も治療する方法はある。
だがしかし、和馬は意地の悪い表情を見せ……
「アリシアちゃんお願いできる?」
アリシアは刹那の一瞬だけ双眸に戸惑いの色を浮かべたが、
和馬の意図を叶える為に炎の魔法を使い、恋人であったアルフォンスの
切り落とされ地面に転がる左腕を、再生不能なまでに焼き尽くした。
さらに追い打ちをかけるように……アルフォンスの全身を魔法で焼いた。
鎧で守られた身体はかろうじて無事だったが、アルフォンスの端正な顔の
左側と左目が焼き爛れてしまった。
「アリシア……お前……どうして……」
痛みに耐えるアルフォンスは、
愛するアリシアを信じられないような表情で見つめる。
「アリシア……俺を裏切ったのか……?」
アリシアは和馬と同じような不自然な笑みが顔に浮かべ、
アルフォンスが信じられない言葉を投げかけた。
「いいえ、私は裏切ってなんかいないわ……」
アリシアの声には微かな震えがあったが、
すぐに和馬にしなだれかかり甘えるような調子に戻った。
「本来の私は……あなたの婚約者じゃなくて、勇者様の“パートナー”なの」
アルフォンスの胸が引き裂かれるようだった。
かつて彼女は剣と魔法の鍛錬に励む自分を誇りに思い、支えてくれた女性だった。
だが今は別人のような目で和馬を見つめている。
「俺が……何をしたというんだ……」
血が止まらず意識が遠のいていく中で、アルフォンスは呟いた。
この世界では高位僧侶の治癒魔法や高級ポーションがあれば、
切断された腕を繋げることはできただろう。
だが彼の左腕はアリシアにより完全に炭化された……もはや希望はない。
-------
アリシアの魔法で焼き尽くされたアルフォンスの左腕と血の匂いに
気持ち悪くなりながらも和馬は思う。
(これで、コイツが俺の敵として立ちふさがる気力も失せただろう。
テンプレの逆転ざまぁは阻止しとかないとな……)
テンプレ阻止の為なら、止めを刺すほうが良いわけだが……
所詮はヘタレ高校生の和馬にとって、人相手ではここまでが限界だった。
-------
その光景を見た他の騎士団長達や高位貴族たちの態度も一変した。
彼らはカズマを恐れ、媚びへつらい始めた。
「勇者様のご決断は正しい」
「アルフォンス団長……いや、アルフォンスには身の程を知らせなければ」
数週間後——
左腕を失い、顔の左側を火傷し、隻眼となったアルフォンスは
街外れの貧民街で細々と生活していた。
帝国からは「不要品」として放逐され、かつての部下達とは会わせてもらえない。
唯一残った剣さえもカズマにより取り上げられた。
食料を買う金もなく、夜は空腹で眠れない。
(俺は……何のために生きてきたんだろう……)
心の中で何度も呟き続けた疑問。
そして彼の中のある感情が芽生える。それは憎悪でも恨みでもなく“絶望”
そして……
王宮内の訓練場での出来事だった。アルフォンスが和馬に挑んできたのだ。
「貴様に国を守る資格などない!」
怒りと悲しみが混じった叫び。
しかし和馬の返答は冷酷だった。
「君さぁ、自分がどれだけ惨めかわかってる?」
「……!」
アルフォンスは怒りに任せて斬りかかる。
だが和馬は余裕を持ってかわし、剣を叩き落とす。
そして……
「ちょっと痛いけど我慢ね。これも教育だから」
「ぐっ……!?」
和馬の一撃はアルフォンスの左腕を切断した。
かろうじて致命傷ではない。
この世界であれば、切断された腕も治療する方法はある。
だがしかし、和馬は意地の悪い表情を見せ……
「アリシアちゃんお願いできる?」
アリシアは刹那の一瞬だけ双眸に戸惑いの色を浮かべたが、
和馬の意図を叶える為に炎の魔法を使い、恋人であったアルフォンスの
切り落とされ地面に転がる左腕を、再生不能なまでに焼き尽くした。
さらに追い打ちをかけるように……アルフォンスの全身を魔法で焼いた。
鎧で守られた身体はかろうじて無事だったが、アルフォンスの端正な顔の
左側と左目が焼き爛れてしまった。
「アリシア……お前……どうして……」
痛みに耐えるアルフォンスは、
愛するアリシアを信じられないような表情で見つめる。
「アリシア……俺を裏切ったのか……?」
アリシアは和馬と同じような不自然な笑みが顔に浮かべ、
アルフォンスが信じられない言葉を投げかけた。
「いいえ、私は裏切ってなんかいないわ……」
アリシアの声には微かな震えがあったが、
すぐに和馬にしなだれかかり甘えるような調子に戻った。
「本来の私は……あなたの婚約者じゃなくて、勇者様の“パートナー”なの」
アルフォンスの胸が引き裂かれるようだった。
かつて彼女は剣と魔法の鍛錬に励む自分を誇りに思い、支えてくれた女性だった。
だが今は別人のような目で和馬を見つめている。
「俺が……何をしたというんだ……」
血が止まらず意識が遠のいていく中で、アルフォンスは呟いた。
この世界では高位僧侶の治癒魔法や高級ポーションがあれば、
切断された腕を繋げることはできただろう。
だが彼の左腕はアリシアにより完全に炭化された……もはや希望はない。
-------
アリシアの魔法で焼き尽くされたアルフォンスの左腕と血の匂いに
気持ち悪くなりながらも和馬は思う。
(これで、コイツが俺の敵として立ちふさがる気力も失せただろう。
テンプレの逆転ざまぁは阻止しとかないとな……)
テンプレ阻止の為なら、止めを刺すほうが良いわけだが……
所詮はヘタレ高校生の和馬にとって、人相手ではここまでが限界だった。
-------
その光景を見た他の騎士団長達や高位貴族たちの態度も一変した。
彼らはカズマを恐れ、媚びへつらい始めた。
「勇者様のご決断は正しい」
「アルフォンス団長……いや、アルフォンスには身の程を知らせなければ」
数週間後——
左腕を失い、顔の左側を火傷し、隻眼となったアルフォンスは
街外れの貧民街で細々と生活していた。
帝国からは「不要品」として放逐され、かつての部下達とは会わせてもらえない。
唯一残った剣さえもカズマにより取り上げられた。
食料を買う金もなく、夜は空腹で眠れない。
(俺は……何のために生きてきたんだろう……)
心の中で何度も呟き続けた疑問。
そして彼の中のある感情が芽生える。それは憎悪でも恨みでもなく“絶望”
そして……
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