私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第344話

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 アンジュの部屋に入るのは初めてだった。
 本棚に多くの本が並んでいる。
 机の上には書類のような紙が置かれている。
 冒険者ギルドからも、クランの書類を書き留めていたと冒険者ギルド会館を訪れた時に聞いた。
 銀翼館に戻ってきてから、この二年間の資料に目を通していたのだろう。
 クランリーダーとして、自分の知らない間も時間を費やしていたことを知る。
 頭の良さでは到底、アンジュには敵わない。
 簡単に「手伝う」などとは言えない。
 それだけでなく、よく見ると積まれた本の頁の間から、いくつも紙が飛び出している。
 気になる箇所か、重要な頁が分かるようにしているのだろう。
 常日頃から勉強していたのだと気づく。
 そして、それらは全て尊敬する冒険者に近づこうとするための努力ということも……。

「なによ。人の部屋をジロジロ見て。珍しいものなんてないわよ」
「あっ、ゴメン」
「別にいいわよ」

 部屋を物色していると思われたリゼは思わず謝るが、気持ちを切り替える。

「まぁ、座りましょう」

 アンジュに促されて二人で床に座る

「それで話ってなに?」

 リゼは意を決して口を開く。

「アンジュ」

 アンジュを凝視して名前を呼ぶ。
 もしかしたら、アンジュとの関係が変わってしまうかもしれない。
 そう思いながらも、アリスから託されたものをアンジュに渡さないという選択肢はなかった。

「な、なによ」

 いつもと違う雰囲気のリゼに戸惑いながらも、こんな表情をする意味があるのだとリゼから視線を逸らさなかった。

「何も聞かないで受け取って欲しいものがあるの」
「……どういうこと?」

 切羽詰まった表情で語るリゼを見て、かなりの事情があるのだろうと感じていた。
 リゼのことだから、問題を大きく考えているのだろうと安易に考えてもいた。

「質問や……どうやって入手したかも含めて何も答えられないの。ただ、黙って受け取って欲しいの」
「なにかも分からないのに。そんな――」
「お願い、約束して……お願い」

 言葉を遮ったリゼは鬼気迫る表情でアンジュに迫る。
 自分の思っていたよりも深刻なことなのかもしれないと、アンジュは考えを改めた。

「いいわ。なにも聞かないわ。それでいい」
「うん、ありがとう」

 言質を得たリゼだったが、不安を拭い去ることはできないままだった。

「なにを勿体ぶっているのよ?」

 なかなか行動を起こさないリゼにアンジュが急かす。

「ごめん」

 意を決してアイテムバッグに手を伸ばして、目当ての物を取り出す。

「これを受け取って」

 アンジュの目の前にアリスから受け取った首飾りをおく。

「アーリンという人から預かったの」

 アンジュの目が大きく開く。
 首飾りを手に取り自分の知っているものと同じものかを確認する。

「リゼ、これどこで! それにアーリンって!」

 アンジュの質問にリゼが無言のままだった。
 質問には答えられないということを思い出し、「冷静になれ……冷静に」と自分に言い聞かせる。

(そう……そういうことでしたか)

 アーリンという名前……アリスが偽名として使っている名前の意味に気付く。

(アリスお姉様……ご無事だったんですね)

 首飾りを胸の前で大事そうに握る。

「……リゼ」
「なに?」
「ありがとう」

 小さく掠れる声だった。

「もう、行くね」

 この場に自分がいるべきではない……一人にしてあげるべきだとと判断したリゼは、アンジュの部屋を出て静かに部屋の扉を閉める。
 扉を閉め終えると、部屋の中から「アリスお姉様」と何度もアンジュが呟く声が聞こえた。
 今まで誰にも言えずに貯めていた感情が一気にあふれ出しているかのようだ。
 そのまま数秒の間、動かずに……正確には動けなかった。
 泣いているが「アリスの思いがアンジュに伝わったのだ」と、そしてアリスに、こんなに思ってくれているアンジュの思いが届けば……と天井を見る。
 聞き耳を立てている罪悪感を感じていると、体が軽くなる。
 先ほどまでの動けなかったのが嘘のようだったが、リゼは音をたてないように静かに自分の部屋へと戻った。


――――――――――――――――――――


■リゼの能力値
 『体力:四十八』 
 『魔力:三十三』
 『力:三十三』 
 『防御:二十一』
 『魔法力:二十六』
 『魔力耐性:十三』
 『敏捷:百四十三』
 『回避:五十六』
 『魅力:三十一』
 『運:五十八』
 『万能能力値:零』
 
■メインクエスト


■サブクエスト
 ・ミコトの捜索。期限:一年
 ・報酬:慧眼けいがんの強化

■シークレットクエスト
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