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第348話
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銀翼館に戻る途中に、ライオットが『火』『水』『風』『土』の四大属性持ちだと教えてくれた。
それもすべての適正が高く、人並み以上に使用ができるらしい。
ライオット「羨ましいでしょう」と言うと、アンジュが「特徴がない」と一蹴する。
たしかにブックを購入するにしても、選択肢が多くなる。
購入できるだけの財力があれば、全部買ったとしても使用は可能だ。
リゼも羨ましいと思ったが、ライオットも苦労しているのだと感じていた。
先ほどまでの戦いも大規模な火属性魔法などを使用すると、遠くにいた商人に見つかる可能性もあり、面倒なことになると思い、あえて使わなかったと話す。
「ただの負け惜しみでしょうに」
アンジュの言葉が図星だったのか、ライオットは落ち込んでいた。
その後の話で一番驚いたことは、ライオットはアンジュの兄弟子だったことだ。
どこで上下関係が入れ替わったのか……兄弟子は敬うものだと思っていたリゼにとっては衝撃だった。
師匠であるマーリンは、その辺りの人間関係に興味がなく実力主義だと言っていたこともあり、実力でライオットを負かしたことで、アンジュの立場が上だということらしい。
歩いていると、レティオールとシャルルの二人と合流する。
改めて、ライオットのことを二人に紹介してから、反対に二人をライオットを紹介する。
これと言った話題もなかったがレティオールが気を利かせて、リゼに話を振る。
それにライオットが交ざると、いままでの重苦しい雰囲気がガラッと変わる。
話しやすいのかレティオールとシャルルは、ライオットとの距離が一気に縮まっているのが、リゼにも感じられた。
王都は物価が高いとシャルルが嘆く。
たしかに他も町などに比べて物価は高い。
リゼも王都に来たときは驚いていた。
だが、建国祭なので一部の食べ物などは、通常より高い設定なっていることをアンジュが教えてくれる。
高圧的な態度と感じたのか、シャルルは丁寧に礼を言う。
アンジュの言動から誤解されやすい。
再会してからは、とくにピリついている感じだった。
それも銀翼のリーダーという重みと、アリスから受け取った首飾りが、そうさせていることをリゼも気づいていた。
背負う重みが自分とは違うと感じているリゼは、アンジュをサポートできるようになりたいと改めて誓う。
「もう、アンジュの姉御もリゼの姉御も暗いですよ。ほら、建国祭前なんだから、少しくらい羽目を外しましょうよ」
「あんたは、いつも羽目を外しすぎて師匠に怒られていたじゃない」
「それは言いっこなしですよ」
アンジュの嫌味も、ライオットにとってはどこ吹く風という感じだった。
「リゼの姉御?」
シャルルが不思議そうに首を傾げると、ライオットが「待ってました」と言わんばかりに、先ほどの戦いを熱弁して、どうして自分がリゼのことを「リゼの姉御」と呼ぶ理由を話す。
アンジュは慣れているのか、歩きながらも気にすることなく周囲の店や建国祭の間だけ出店している露店などを見ていた。
リゼもライオットの話を聞くのが恥ずかしくなり、アンジュの横を歩いていた。
後ろのほうではライオットを中心にして、話が盛り上がっているようだ。
気づくとアンジュと二人っきりになっていた。
改めて認識する二年という月日。
二年前までは目線も同じくらいだったのに、今はアンジュの横顔を見るのに視線を上げる。
「ん? どうかした」
リゼの視線に気づく。
「なんでもないよ。大きくなったな……と思っただけ」
「外見だけじゃないわよ」
「分かっているよ。でも……一人で抱え込まないでね。私たちは仲間なんだから」
「そうね……ありがとう」
平静を装っていても、心身ともにかなり疲れていた。
昔もサブリーダーだったアリスの手伝いをしていたため、それなりに出来ると思っていたが現実は厳しかった。
アリスが面倒な仕事はアンジュに頼んでいなかったのだと、今になって気づくが、それはアリスやアルベルトの優しさだと分かっている。
だから、その優しさが余計と胸に響き辛かった。
二年間でクエストしてクランに入ってきた通貨は、さほど多くない。
そのほとんどがリゼだったことも、冒険者ギルドでの書類から知っていた。
自分は修行と言うことで、ほとんどクエストを受注していなかった。
銀翼館の維持費や、冒険者ギルドへの支払いなどは、あと数ヶ月は大丈夫だ。
だがクランの人数が増えれば、それだけいろいろなことが起きる。
なによりも銀翼館の部屋にも限りがある。
帰ってくると信じて、そのままにしてある八部屋。
ジェイドは銀翼館の管理をしていたので、換気もあり何度か各部屋に足を踏み入れている。
辛かっただろうが、自分の仕事だと……戻ってきたときに喜んでもらおうと、自分の気持ちを表に出さずにいただろう。
再び銀翼館に戻ると、まだジェイドとフィーネは戻っていなかった。
とりあえず、レティオールとシャルルには金狼のリーダー三人が立会人をしてくれることと、その後に金狼のリーダー三人と銀翼のメンバー三人が一対一で戦うことを伝える。
「それ、僕も見学していい?」
「……全員の承諾が取れたらね」
珍しく興味を示すライオットにたいして、怪訝な表情をするアンジュ。
ライオットの後ろに師匠マーリンの姿が見え隠れして、自分たちの行動がマーリンに読まれているような気がしたからだ。
一年以上、一緒に過ごしたからこそマーリンの凄さを知っていたからだ。
ライオットの時折見せる、やる気がなくふざけた態度がオプティミスを思い出させる。
先輩とはいえ、不真面目な態度をアリスに幾度となく叱られていた。
自分とライオットの関係も似たようなものだと思っている。
だが、アンジュは知らない……そのオプティミスこそが、大事な場所だった銀翼を破滅へ導いたことを――。
夕食の時間前になると、ジェイドとフィーネが銀翼館に帰ってきた。
昨夜は居なかったライオット。
初めて、銀翼館にいる全員が同じ食卓につく。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十八』
『魔力:三十三』
『力:三十三』
『防御:二十一』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百四十三』
『回避:五十六』
『魅力:三十一』
『運:五十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・エルガレム王国国王の殺害阻止。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(五増加)
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
・インペリアルガードへエルガレム王国国王の殺害阻止協力。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(二増加)
それもすべての適正が高く、人並み以上に使用ができるらしい。
ライオット「羨ましいでしょう」と言うと、アンジュが「特徴がない」と一蹴する。
たしかにブックを購入するにしても、選択肢が多くなる。
購入できるだけの財力があれば、全部買ったとしても使用は可能だ。
リゼも羨ましいと思ったが、ライオットも苦労しているのだと感じていた。
先ほどまでの戦いも大規模な火属性魔法などを使用すると、遠くにいた商人に見つかる可能性もあり、面倒なことになると思い、あえて使わなかったと話す。
「ただの負け惜しみでしょうに」
アンジュの言葉が図星だったのか、ライオットは落ち込んでいた。
その後の話で一番驚いたことは、ライオットはアンジュの兄弟子だったことだ。
どこで上下関係が入れ替わったのか……兄弟子は敬うものだと思っていたリゼにとっては衝撃だった。
師匠であるマーリンは、その辺りの人間関係に興味がなく実力主義だと言っていたこともあり、実力でライオットを負かしたことで、アンジュの立場が上だということらしい。
歩いていると、レティオールとシャルルの二人と合流する。
改めて、ライオットのことを二人に紹介してから、反対に二人をライオットを紹介する。
これと言った話題もなかったがレティオールが気を利かせて、リゼに話を振る。
それにライオットが交ざると、いままでの重苦しい雰囲気がガラッと変わる。
話しやすいのかレティオールとシャルルは、ライオットとの距離が一気に縮まっているのが、リゼにも感じられた。
王都は物価が高いとシャルルが嘆く。
たしかに他も町などに比べて物価は高い。
リゼも王都に来たときは驚いていた。
だが、建国祭なので一部の食べ物などは、通常より高い設定なっていることをアンジュが教えてくれる。
高圧的な態度と感じたのか、シャルルは丁寧に礼を言う。
アンジュの言動から誤解されやすい。
再会してからは、とくにピリついている感じだった。
それも銀翼のリーダーという重みと、アリスから受け取った首飾りが、そうさせていることをリゼも気づいていた。
背負う重みが自分とは違うと感じているリゼは、アンジュをサポートできるようになりたいと改めて誓う。
「もう、アンジュの姉御もリゼの姉御も暗いですよ。ほら、建国祭前なんだから、少しくらい羽目を外しましょうよ」
「あんたは、いつも羽目を外しすぎて師匠に怒られていたじゃない」
「それは言いっこなしですよ」
アンジュの嫌味も、ライオットにとってはどこ吹く風という感じだった。
「リゼの姉御?」
シャルルが不思議そうに首を傾げると、ライオットが「待ってました」と言わんばかりに、先ほどの戦いを熱弁して、どうして自分がリゼのことを「リゼの姉御」と呼ぶ理由を話す。
アンジュは慣れているのか、歩きながらも気にすることなく周囲の店や建国祭の間だけ出店している露店などを見ていた。
リゼもライオットの話を聞くのが恥ずかしくなり、アンジュの横を歩いていた。
後ろのほうではライオットを中心にして、話が盛り上がっているようだ。
気づくとアンジュと二人っきりになっていた。
改めて認識する二年という月日。
二年前までは目線も同じくらいだったのに、今はアンジュの横顔を見るのに視線を上げる。
「ん? どうかした」
リゼの視線に気づく。
「なんでもないよ。大きくなったな……と思っただけ」
「外見だけじゃないわよ」
「分かっているよ。でも……一人で抱え込まないでね。私たちは仲間なんだから」
「そうね……ありがとう」
平静を装っていても、心身ともにかなり疲れていた。
昔もサブリーダーだったアリスの手伝いをしていたため、それなりに出来ると思っていたが現実は厳しかった。
アリスが面倒な仕事はアンジュに頼んでいなかったのだと、今になって気づくが、それはアリスやアルベルトの優しさだと分かっている。
だから、その優しさが余計と胸に響き辛かった。
二年間でクエストしてクランに入ってきた通貨は、さほど多くない。
そのほとんどがリゼだったことも、冒険者ギルドでの書類から知っていた。
自分は修行と言うことで、ほとんどクエストを受注していなかった。
銀翼館の維持費や、冒険者ギルドへの支払いなどは、あと数ヶ月は大丈夫だ。
だがクランの人数が増えれば、それだけいろいろなことが起きる。
なによりも銀翼館の部屋にも限りがある。
帰ってくると信じて、そのままにしてある八部屋。
ジェイドは銀翼館の管理をしていたので、換気もあり何度か各部屋に足を踏み入れている。
辛かっただろうが、自分の仕事だと……戻ってきたときに喜んでもらおうと、自分の気持ちを表に出さずにいただろう。
再び銀翼館に戻ると、まだジェイドとフィーネは戻っていなかった。
とりあえず、レティオールとシャルルには金狼のリーダー三人が立会人をしてくれることと、その後に金狼のリーダー三人と銀翼のメンバー三人が一対一で戦うことを伝える。
「それ、僕も見学していい?」
「……全員の承諾が取れたらね」
珍しく興味を示すライオットにたいして、怪訝な表情をするアンジュ。
ライオットの後ろに師匠マーリンの姿が見え隠れして、自分たちの行動がマーリンに読まれているような気がしたからだ。
一年以上、一緒に過ごしたからこそマーリンの凄さを知っていたからだ。
ライオットの時折見せる、やる気がなくふざけた態度がオプティミスを思い出させる。
先輩とはいえ、不真面目な態度をアリスに幾度となく叱られていた。
自分とライオットの関係も似たようなものだと思っている。
だが、アンジュは知らない……そのオプティミスこそが、大事な場所だった銀翼を破滅へ導いたことを――。
夕食の時間前になると、ジェイドとフィーネが銀翼館に帰ってきた。
昨夜は居なかったライオット。
初めて、銀翼館にいる全員が同じ食卓につく。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:四十八』
『魔力:三十三』
『力:三十三』
『防御:二十一』
『魔法力:二十六』
『魔力耐性:十三』
『敏捷:百四十三』
『回避:五十六』
『魅力:三十一』
『運:五十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・エルガレム王国国王の殺害阻止。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(五増加)
■サブクエスト
・ミコトの捜索。期限:一年
・報酬:慧眼の強化
■シークレットクエスト
・インペリアルガードへエルガレム王国国王の殺害阻止協力。期限:建国祭終了
・報酬:魅力(二増加)
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