私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第239話

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 戸惑うリゼの様子を見ていたナングウは少しだけ考えていた。
 ただの偶然ではないと感じていたからだ。
 話の流れを遮らないように自然な感じで、リゼに質問をする

「他にも同じようなことがあったのかい?」
「はい」

 リゼはサンドリザードと爪と、短刀を机の上に置く。

「おいおい」

 カリスがリゼの許可を取らずに短刀に触れて、目を輝かせていた。

「こんなところで再会するとはな……リゼ、これをどこで手に入れた」
「この町の武具店です」

 リゼの言葉にイデスが目を開いて驚く。

「そ……そんな、この町にある武器や防具に道具を取り扱っている店は、何度も確認していました」
「武具店の隅にあった特売品と書かれた箱の中にありました」
「えっ‼」

 イデスはリゼの証言に思わず叫ぶと、呆然としていた。

「――そこまでは確認していませんでした。ナングウ様、申し訳御座いません」

 自分の不手際を認めたイデスは、ナングウに謝罪する。

「よいよい。それより……」

 ナングウは、リゼの短刀をいろいろな角度から眺めていた。

「カリスよ。それはリゼちゃんのじゃから、勝手に分解などしたらいかんぞ」
「……そうだったな。リゼ、これ分解していいか?」
「えっ‼」

 いきなりの要望に驚くとともに、そんなことを言うカリスにも驚きを隠せなかった。

「見た目は変わっているが、これは間違いなく私の作品だ。」

 戸惑うリゼにカリスは短刀を振りながら言い切った。

「カリスが、そこまで言うのであれば本当じゃろうが、それは国に戻ってからにしたほうが良いじゃろう。なにより、リゼちゃんの承諾を得ておらぬじゃろうに」

 暴走気味のカリスを諫めると、冷静にな短刀をリゼに返して椅子に座る。

「それよりも、これはサンドリザードの爪では無いの」
「たしかに、これはダークドラゴンの爪じゃな。幼体じゃからサンドリザードの爪と大きさは同じじゃから間違えたのじゃろうな」

 ナングウはリゼに爪の付け根を見せて、サンドリザードとダークドラゴンの見分け方を教えてくれた。

「しかもかなり古いものじゃな。イズンよ、ちょっと見てくれるか?」
「はい、かしこまりました」

 ナングウの指示に従い、イズンがダークドラゴンの爪を手に取り状態を確認する。

「ナングウ様の言われる通り、百年以上は経っていると思われます」
「やはり、そうか。ダークドラゴンが暴れたと報告があったのは百六十年ほど前じゃ。当時は暴れた原因は不明だったが、各国での被害も大きかったからの」

 いきなり百六十年前の話をされても、リゼには実感が湧かなかった。
 ただ、暴れたダークドラゴンが暴れるのを止めた理由があったのか? と疑問を抱く。
 幼体ということは暴れたダークドラゴンは、爪を剥がされた親だと推測できるが……。

「そもそも、ドラゴンは知能の高い魔物じゃ。我らの言葉を理解して会話をするドラゴンもいるからの。どこかの国が犯人をダークドラゴンに差し出したのじゃろう」
「それも多分、本当の犯人じゃないだろうがな」
「まぁ、そうじゃろうな」

 リゼの考えていることが分かったのか、少し間をおいて話を続けると、カリスがナングウの言い辛そうなことを代わりに話す。
 ダークドラゴンの怒りを収めてもらおうと、犯人でない者を差し出したのだろうが、簡単に犯人など見つかるはずもない。
 適当な身代わりでも立ててでも、国を守るためには必要があった。
 聞こえはいいが必要な犠牲なのだろう。

「それと、この玉石じゃが苔を取っても良いかの?」
「はい、構いません」

 ナングウの代わりにイズンが苔を取り、部屋にあった布で石を磨く。

「これは”ダマスカス”じゃ。バビロニアの迷宮ダンジョンで稀に発見される珍しい鉱石で、特徴としては丸い状態で発見されることが多いんじゃが、最近は階層の攻略も進んでおらぬせいか、市場に出回ることさえ無くなっておる」

 ナングウや先程のカリスの話から時間の流れが、自分と違うことに気付く。
 ドワーフ族は、人間よりも長寿な種族だから聞いていて、違和感があったのだろう。

「出来れば、譲って貰いたいところじゃが……もし、この中から気にった物があったら、それらと交換と言うのはどうじゃろうか? もちろん、儂らも価値は分かっておるから、それなりの等価交換を考えておる。無理なら買取ってことでも良いのじゃがな」

 リゼは机の上に並べられた物を見るが、その価値が分からない。
 もっとも購入した苔の生えた丸い石の価値も分かってはいなかったが……メインクエストを達成できるチャンスだとも感じる。

「おっと、そうじゃったの。イズンよ、頼めるかの?」
「はい、承知致しました」

 イズンはナングウの指示に従い、机の上に置かれた物に手を掛けると同時に破壊し始めた。
 民芸品の人形の体の中にはスクロール魔法巻物が隠されていた。
 他の物も土台にブック魔法書が隠されていた。
 模造品の剣も唾の部分を回転させると、模造品の剣身の中から素晴らしいが剣身が現れた。
 全ての品から隠されたであろう物が出てくるのでリゼは驚く。

「なにか気になるものはあるかの?」
「いいえ、特には……」

 スクロール魔法巻物ブック魔法書にしても、魔法属性が分からないので自分で使用できるかさえ分からない。

「リゼちゃんは魔法について、どう思っておるかの?」

 突然の質問に即答できないリゼだったが、ナングウが話を続ける。

「魔法書が、この世界が出来てからあるとして、どうして無くならないのじゃろうな」
「あっ……たしかに」

 ナングウに言われるまで気が付かなかったが、ブック魔法書迷宮ダンジョンで発見される。
 いままで、何人の人間……いいや、ゴブリンメイジなどの魔物でもブック魔法書を使用するので、かなりの数のブック魔法書が消費されていることになる。
 それなのにどうして無くならないのか……考えたこともなかった。
 たしかに探索しつくされた迷宮ダンジョンで、極稀にブック魔法書が発見されることがある。
 それに突如、発見される迷宮ダンジョン
 消費する数に対して、圧倒的に供給が追い付いていない。

「そういうことじゃ。魔法書は世界で一定数にされている。そして、使用されている数に対して、不足数量をなにかしらの方法で供給している。つまり、神が介入しておる……と儂らは考えておる」

 いきなり神を口にするナングウに、話が飛躍しすぎでは無いかと思ったが、それを否定出来るだけの情報を持っていない。

「ただの仮説じゃがな」

 真剣な話が嘘だったかのようだった。
 だがナングウの言葉は、リゼの胸に大きなくさびを残していた。

「望みの物が無いようじゃったら、買取ということで良いかの?」
「はい、出来ればですが……」
「承知した。イズンよ、どれくらいになるかの?」
「そうですね……金貨」


 即答は出来ないので、暫く待ってもらうことにした。

「これを見てもらってもいいですか?」

 リゼは一縷の希望に掛けるように折れた小太刀を見せる。

「触っても良いかの?」
「はい」

 ナングウは小太刀を手に取り状態を確認すると、そのままカリスに渡す。

「駄目だな。これは役目を終えている」

 分かっていたっことだったが、はっきりと答えを言って貰ったことで、諦めが……心の整理がついた。

「ただ、大事に使っていたのは伝わってくる。こいつも幸せだっただろう」

 ドワーフ族は武器の声が聞こえるのか? とも思ったが、カリスの言った言葉は、小太刀が自分に向けてでなく、クウガに言った言葉だと感じていた。

「ありがとうございます」

 リゼは礼を言って、小太刀をアイテムバックに仕舞う。


――――――――――――――――――――

■リゼの能力値
 『体力:四十一』
 『魔力:三十』
 『力:二十五』
 『防御:二十』
 『魔法力:二十一』
 『魔力耐性:十六』
 『敏捷:百一』
 『回避:五十三』
 『魅力:二十四』
 『運:五十八』
 『万能能力値:零』
 
■メインクエスト
 ・購入した品を二倍の販売価格で売る。
  ただし、販売価格は金貨一枚以上とすること。期限:六十日
 ・報酬:観察眼の進化。慧眼けいがん習得

■サブクエスト
 ・瀕死の重傷を負う。期限:三年
 ・報酬:全ての能力値(一増加)

■シークレットクエスト
 ・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
 ・報酬:万能能力値(五増加) 
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