私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

文字の大きさ
264 / 372

第264話

しおりを挟む
 起床して外を見ると雨が降っていた。

(やっぱり雨か……)

 夢から現実に意識が戻ろうとした時に聞こえた音の正体だった。
 レティオールとシャルルは、リゼがバビロニアに戻って来たため、リャンリーの仲間たちと今後について話をする。
 今まで世話になっていた恩もあるので、簡単には抜けることは出来ないことはリゼも理解していた。
 なにより自分のせいで揉めることをリゼは嫌だった。
 背伸びをして、外出の用意を始める。
 今日はドワーフ族御用達の宿屋に行き、イズンを訪ねるつもりだ。
 ドヴォルク国から戻ったことを報告するためだ。

 部屋の外が騒がしい。
 人々が活動し始める時間になったようだ。
 リゼも部屋を出て受付まで歩いて行くと、レティオールとシャルルがいた。
 その後ろにはリャンリーが立っていた。
 リゼと目が合うと、再会の合図を目と手で挨拶する。
 頭を下げてリャンリーに応えた。
 どうやらリゼが来る前に、リャンリーたちとレティオールとシャルルの間で話がついていたようだった。
 その証拠にリャンリーの仲間たちの姿はない。

「お仲間は返すぜ」

 笑いながら、リゼの頭を軽く二回叩くと宿屋から出て行った。

 改めて三人になったリゼたちは、話し合いをする。
 とりあえず、リゼは今日の予定を二人に話す。
 まさか、昨日の今日で三人での行動が可能になると思っていなかったから、申し訳ない気持ちだった。
 二人からはリゼの用事を済ませてから行動すると快い言葉を受け取る。
 リゼは礼を言い、自分の用事が終わったら冒険者ギルド会館に寄り、クエストを確認してから、迷宮ダンジョンに向かうかを決めることにした。

 雨のせいか、噂のせいか分からないが、昨日よりも人が少ない。
 いつものこの時間であれば、全ての店が開いているが、まだ閉まっている店や準備うしている店も多かった。

「最近は、いつもこんな感じだよ」

 リゼの視線に気付いたレティオールが教えてくれた。
 昨日の話では知らなかったことだ。
 町を歩くことで、新たに気付くこともある。


 ドワーフ族御用達の宿屋に到着すると、ナングウに案内されたように裏にある別の入口の扉を叩く。
 しかし、建物内から返事はない。
 もう一度、扉を叩くと扉の向こうで物音がした。

「どちら様でしょうか?」
「以前、ナングウさんとカリスさんと一緒に来たリゼです」

 扉越しに名を名乗ると、暫くしてから扉が開く。

「お戻りになられたのですね」

 イズンが丁寧な言葉のあと、軽く頭を下げた。
 部屋へ案内しようとするイズンだったが、簡単な報告をするだけだったので、イズンの申し出を断る。
 ナングウとカリスは、ドヴォルク国に用事が出来たため残ったことを伝えるだけだった。
 ナングウやカリスに頼まれた訳では無いが、イズンに伝えるべきだと考えていた。
 イズンは感情を表に出すことなく、同じ表情のまま礼を述べる。

「他に御用はありますか?」

 淡々と話すイズンに応えるように、リゼも用件だけ話し終えるとイズンに挨拶をして別れる。

 そのまま、リゼたちは冒険者ギルド会館へと向かった。
 以前に訪れた時よりも冒険者が多い。
 やはり、迷宮ダンジョンへの影響が関係しているのだと実感する。
 いままで冒険者ギルドもクエストに力を入れていなかったため、クエスト数は少ない。
 その結果、クエストよりも冒険者の数の方が多い状態になる。
 オーリスや王都にある冒険者ギルドの通常運営に戻っただけだ。

「おすすめってある?」

 リゼはレティオールとシャルルに聞くが、二人とも目ぼしいクエストは残っていないと答える。
 他の都市同様に、クエストが貼りだされると同時に我先にと受注しようとする冒険者たちが多く殺到するからだ。

迷宮ダンジョンに入るしかないね」

 レティオールの言葉に、リゼとシャルルは頷き迷宮ダンジョンに向かって移動を始める。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「レティオール、御願い!」
「任せて‼」

 四階層にある地底湖中央の道を進み、ケルピーと戦っていた。
 盾でシャルルを守りながら、ケルピーの攻撃を防ぐ。
 攻撃を受け止めるのではなく、受け流したりと盾さばきが上手くなっていた。
 リゼも決して広いとは言えない場所で、所狭しと動き回りながらケルピーを追い詰めていく。
 少し前なら、この中央の道を進むという選択肢などなかった。
 四階層まで進むと、レティオールからの提案だった。
 リゼに話していなかったが、レティオールとシャルルはリャンリーの仲間と、二度ほど、この道を通っている。
 その時にケルピーの対策を聞いていた。
 レティオールは仲間を守るための盾の使い方を、シャルルは全方位に視線を集中させてリゼたちに指示を出す。
 守られるだけでなく、戦闘での自分の役割をリャンリーの仲間たちから学んだようだ。
 その時に、一緒にいたリャンリーからはリゼがいれば、この道を三人で通ることは出来るだろうと言われていた。
 少人数のパーティーだからこその言葉だ。
 中央の道を通ることに不安だったリゼと対照的に、レティオールとシャルルの顔に自信があったのは、この裏付けがあったからだ。
 目の前で戦うリゼの姿は、以前と同じだと感じ「任せて大丈夫」と自分の役割を全うする。
 ケルピーが水を集めて球体を作り始める。
 強力な水属性魔法で攻撃自体を相殺させたりして応戦する。

「リゼ。とどめは出来るだけ地上で!」

 レティオールの言葉にリゼが攻撃を躊躇う。
 ケルピーの素材は貴重だった。
 出現場所も分かっているし、討伐の難易度も高くない。
 ただ、上手く地上で仕留めないと、死体が地底湖に沈んでしまうため、入手が難しいとされていた。
 ケルピーの素材は魔核と、たてがみが高価な素材だ。
 他の部位は利用価値がなく、地底湖に沈められる。
 攻撃を一瞬だけ遅らせたリゼは、ケルピーを絶命させる。
 リゼは地上に倒れるように攻撃をしたつもりだったが、攻撃の反動で地底湖の方へと飛んでいた。
 リゼは無意識に闇糸を出して、ケルピーの前足に闇糸を縛る。
 縛ろうと意識すれば、闇糸は意識に応じて発動するのだと知る。
 それと同時に意識していないため太い。
 細い糸でも強度は同じだと、ハンゾウから聞いていたので無意識に出すことの重要さを再認識する。
 縛り付けたはいいが、リゼ一人の力でケルピーを引っ張ることが出来ずに地底湖へと引きづり込まれそうになる。
 シャルルがリゼの腰を掴むと、少し遅れてレティオールもシャルルとリゼの体を引っ張る。
 三人がかりで地底湖からケルピーを引き上げる。
 他の場所でもケルピーと冒険者が戦闘している。
 以前は地底湖の中心部辺りでしか攻撃をしてこなかったケルピーが、中央の道を通る冒険者に対して、場所を問わずに攻撃していた。
 当然、先行者が攻撃されれば、後ろにいる冒険者たちは立ち止まるしかない。
 その立ち止まった冒険者をケルピーが攻撃する。
 レティオールたちも、一度に何匹も出現するケルピーに異常性を感じていた。
 今朝、リャンリーから迷宮ダンジョンに入るなら気を付けるようにと忠告される。
 今まで冒険者が多く、保たれていた魔物と冒険者の均衡が崩れたのか、日を追うごとに魔物の数は増え凶暴さを増していた。


――――――――――――――――――――

■リゼの能力値
 『体力:四十三』
 『魔力:三十二』
 『力:二十七』
 『防御:十九』
 『魔法力:二十五』
 『魔力耐性:十二』
 『敏捷:百七』
 『回避:五十五』
 『魅力:二十三』
 『運:五十七』
 『万能能力値:五』
 
■メインクエスト



■サブクエスト
 ・瀕死の重傷を負う。期限:三年
 ・報酬:全ての能力値(一増加)

 ・殺人(一人)。期限:無
 ・報酬:万能能力値:(十増加)

■シークレットクエスト
 ・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
 ・報酬:万能能力値(五増加)
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~

ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。 その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。   その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。    近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。 更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?   何でもできるけど何度も失敗する。 成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。 様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?   誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!   2024/05/02改題しました。旧タイトル 『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』 2023/07/22改題しました。旧々タイトル 『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』 この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。  『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』  『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』  『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』  『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香
ファンタジー
ある日、リィカの住む村が大量の魔物に襲われた。恐怖から魔力を暴走させそうになったとき前世の記憶が蘇り、奇跡的に暴走を制御する。その後、国立の学園へと入学。王族や貴族と遭遇しつつも無事に一年が過ぎたとき、魔王が誕生した。そして、召喚された勇者が、前世の夫と息子であったことに驚くことになる。 【改稿】2026/02/20、第一章の40話までを大幅改稿しました。 これまで一人称だった第一章を三人称へと改稿。その後の話も徐々に三人称へ改稿していきます。話の展開など色々変わっていますが、大きな話の流れは変更ありません。 ・都合により、リィカの前世「凪沙」を「渚沙」へ変更していきます(徐々に変更予定)。 ・12から16話までにあったレーナニアの過去編は、第十六章(第二部)へ移動となりました。

今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜

束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。 そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。 だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。 マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。 全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。 それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。 マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。 自由だ。 魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。 マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。 これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。

処理中です...