私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵

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第323話

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「俺の待ち伏せは可愛い女の子か、綺麗な女性って決まっているんだがな」

 ロッソリーニは目の前の男たちの集団に向かって、ため息交じりに文句を言う。
 集団の一番前に居るのはアルカントラ法国が誇る四葉の騎士の一人シャジクだった。

「俺に負けた腹いせに、こんな人数で襲ってくるとは四葉の騎士が呆れるね。まぁ、アルカントラ法国ってのは、こういったことを悪びれもなくする国ってことなんだろうな」

 ロッソリーニはシャジクを馬鹿にする。

「何とでも言え。私がお前に負けたのは時の運が少しだけお前に味方しただけだ。優勝賞品の聖剣クラウ・ソラスを渡してもらおうか」
「負けたうえに強奪とは、女神ユキノの教えってのは、こういうことかよ」
「黙れ。お前如きがユキノ様を語るな。なによりも崇高な我らの教えを侮辱することなど万死に値する」

 シャジクが剣を抜くと、従えていた四葉騎士団も揃って剣を抜いた。

「ん? まてよ……お前ら、もしかして他の優勝者の所にも同じように奪いに行っているのか?」
「ふっ、我らこそが使用者に相応しいからこそ、取り戻しに行っているだけだ」
「既にブック魔法書が使用されたかもよ」
「それはない。優勝者には監視をつけてある。二人とも道具屋に立ち寄った形跡はない」
「そうかそうか。回復の方の優勝者が居なくなって慌てているんだろう?」

 図星といわんばかりにシャジクの表情が一瞬変わる。
 後衛職の優勝者ケアリーラは、姿が違えどともにアランチュートだということをロッソリーニだけが知っていた。

「お前、あの者の行方を知っているのか?」
「もちろん知っているが、お前達に教えるつもりはないぞ」
「別に構わん。体に聞けば済むことだ」
「体に聞く? 面白れぇことを言うな。まぁ、俺に殺されるお前たちは運がいいぞ」

 見下されたことによる怒りなど無く、闘技大会で負けたにもかかわらず、馬鹿なことを言い続けるシャジクが滑稽に感じ、笑う。

「恐怖で頭が可笑しくなったようだな。長話にも飽きた。そろそろ――」

 シャジクが言い終わる前にロッソリーニの斬撃が当たる。
 その斬撃を寸前で止める。

「神の代弁者でもある私の話は最後まで聞くものだ」
「手加減しすぎたか?」
「手加減だと‼」

 首元で防いでいたロッソリーニの剣を弾くと、そのまま斬り付けると闘技大会の続きかのように二人で戦い続ける。
 四葉の騎士団は手を出すことさえ出来ず、二人の戦いを見守るしかなかった。
 笑いながら戦うロッソリーニとは対照的に、シャジクは必死の表情だった。
 徐々に押され始めるシャジク。

「お前は何者だ‼」

 これだけ強ければ、名前くらいは知っていてもおかしくはない。
 警戒すべき者か、粛清すべき者か……を。

「物忘れが激しいのか? それとも馬鹿なのか?」

 自分の名前を聞かれたと思ったロッソリーニは、シャジクを馬鹿にする。
 それを挑発だと受け取るシャジクの剣は怒りに満ちていた。
 だが、感情に身を任せた剣が通用するほど、ロッソリーニは弱くない。

「やっぱり、つまらねぇよお前」

 綺麗な剣筋で予想通りの動きしかしないシャジクの攻撃に飽きてきたロッソリーニは、戦いながらも予選会でのリゼや本戦で戦ったミコトのことを思い出す。

「あの世で女神にでも慰めてもらえ」

ロッソリーニは戦いを終わらそうとすると、シャジクが不敵に笑う。

「残念でしたね。貴方の思惑は外れたようですよ」

 シャジクの視線の先には、ベニバナの姿がある。
 目的のものを、すでに回収して合流してきた。

「ベニバナ! 何をしている。早く加勢をしなさい」
「へぇ~、四葉の騎士様には騎士道精神ってやつが、ないようだな」
「何を言っているのです。これは女神の裁きですよ」

 二対一になり、戦況をひっくり返したとシャジクに余裕の表情が戻る。
 形勢が不利になったはずのロッソリーニは、全く動揺する様子もなく冗談を返す。
 ベニバナが魔法を放つ……が対象はロッソリーニでなく四葉騎士団だった。

「な、何をしているのです、ベニバナ‼」

 仲間を攻撃された焦りと怒りをぶつける。

「お止めください、ベニバナ様‼」

 シャジクの言葉が聞こえなかったかのように、ベニバナは何発も四葉騎士団に魔法攻撃を繰り返す。

「もう少し、俺と遊ぼうぜ」

 仲間を助けようとするシャジクを、ロッソリーニが笑いながら行先を阻む。
 ほんの一瞬で四葉騎士団が全滅した。

「気でも狂ったか、ベニバナ‼」

 シャジクの咆哮が周囲に響き渡る。

「うるせぇよ」

シャジクの視界が歪む。

「ユキノ……さ……ま」

 ロッソリーニの剣が、シャジクの首と胴を分断した。

「お見事」

 ベニバナがロッソリーニに拍手をして賛美を贈る。

「その体は使えそうなのか?」
「そうだな……前の魔術師よりも魔法に関しては優秀だ。なによりもこの杖がいい。多分、アルカントラ法国の神具”女神の杖”だろう。それになによりも、アルカントラ法国の評判を落とすには最適な体だろう」
「これも使うか?」
「もちろんだ。その男が所持している剣も”十字剣”は聖剣には劣るが、アルカントラ法国でも認められた者にしか与えられない希少な武器だ。体同様に利用価値はある」

 ベニバナと話すロッソリーニだったが、ベニバナの中身がアランチュートだと知っているようだ。

「しかし、よく分からねぇな。お前のスキルと、ブライトの職業“死霊魔術師”って何が違うんだ? 死体を操るのは同じだろう?」
「全然、別のものだ。私のスキルは、契約した死体に自分の精神を移して自由に操ることが出来るだけだ、ブライトの死霊魔術は、そこに死体があれば契約などせず魔法を発動して命令だけすれば、何十何百体という死体が目的のためだけに行動を起こす。そこに細かな命令など必要ないというか出来ないはずだ。俺から言わせれば、そこに美学など無い」
「ふ~ん、よく分からんな」

 質問をしておきながら、あまり興味がないのか途中から真剣に聞いていなかった。
 興味はアランチュートのスキルだけだった。
 会うたびに姿が違うアランチュートの素顔をロッソリーニは知らない。
 虹蛇のメンバーでさえ、何人が知っているだろうか。

「それよりも、この体はお前が所望していたからだがどうだ?」

 プルゥラのような女性の肉体を希望していたことを覚えていたのか、自分の胸を両手で掴み「どうだ?」とロッソリーニに見せる。

「だから、俺は生きている女にしか興味は無いんだよ!」

 揶揄われていると思ったロッソリーニはアランチュートに怒りをぶつける。
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