自宅警備員はゾンビの夢を見る

Neet42

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少なくなって帰ってきた避難民と土下座

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その一行は朝早くに戻ってきた

人数が少なくなって戻ってきたとはいえ 確かにここを出て行った人たちだった

「だから 他の避難所に行ったけどだれもいなかったのよ しょうがいないじゃない」

「向こうにいたってどうしようないと思って戻って来たんだ」

「行く途中でゾンビに襲われたんだ 襲われた人たちは置いてきた でもどうしようもないじゃないか

 俺たちに責任はない 文句あるか」

何て人たちだ 自分たちで出て行ったくせに 向こうで誰もいなかったからって

こっちに戻ってくるわ 犠牲者を出して戻ってきたくせに自分たちは何も悪くないなんて

「何言ってるんだ 出て行ったのは君たちだろう そりゃ犠牲になった人たちもその覚悟をもって

 他の避難所に向かったかもしれないが」

戻って来なかった人たちに知り合いでもいたのか 木下さんがやけにかみついている気がする

「まぁまぁ 木下さん 落ち着いて この人たちは命、からがら逃げてきたようですし

 落ち着いてからまた話し合いましょう」

戻ってきたグループを中に入れて 椅子や床に敷いた毛布で休ませる

「で どうします 戻ってきた人たちの事ですけど 助けないわけにもいかないでしょ

 それに 情報は必要です 向こうの避難先がどうなっているか聞いておきましょうよ」

「私は反対だ 食料だって残り少ないんだ 出戻った人たちに渡してやる必要なんてない」

「木下さん どうしたんです そんなに怒って いつもならすぐに入れてやろうとか言うのに」

「いや 戻ってきた人達に知り合いがいなくなっていもので 少し」

「そうですか ・・・・・・ それは残念でしたね」

涙ぐむような声で そして それを押し殺すようだった

「とりあえず 今日は様子を見ましょう 食料は後 一週間分はあります やりくりすれば何とかなりますって」

相談している人たちを聞いていたのだが そろそろ朝食の時間だ

ゾンビを倒してカロリーを消化した自分は お腹が鳴っている

僕のお腹はとても正直です

「篠原さん 木下さん お腹減りました 腹が減っては怒りっぽくなるといいますし

 みんなで朝食にしましょう」

「ははは 君は相変わらずだね わかった 朝食にしよう 戻ってきた人たちにも分けてあげてください」

今日の朝食はカップラーメンになった

自分のお勧めはどんべぇだ 赤か緑、どちらが好きかと言えば 緑の方が好きだ

他の人たちも自分の好きなカップラーメンも手に取り お湯を注ぎにいった

お腹を膨らまし 気持ちが落ち着いてきたのか 戻ってきた人たちと話し合いをまた始めた

「それで ここを出て行ってから 何があったんですか」

ここは篠原さんが 先頭に立って話を切り出した

「ここを出て町営の体育館に向かったんだ 中学校や高校も選択肢にあったが学校はこりごりだった

 途中で何度もゾンビにあったが 道中では襲われた人は誰もいなかった」

ゆっくりと気持ちを落ち着けるように話し始めた

「それで 体育館には全員で着いたんだが 中に誰もおらず みんなで避難している人たちや職員が

 いないか探し始めたんだが 戻ってくる人が少なかった

 おかしいと思い 今度は戻ってこな人たちをみんなで探し始めたんだが 職員の詰め所の扉を開けたら

 急にゾンビが襲ってきたんだ そのゾンビは職員の服を着ていたし 職員がゾンビに襲われて

 ゾンビ化したんだと思う その部屋の中では詰め所を見に行った人たちがゾンビに襲われて倒れていたんだ

 こちらも噛まれそうになったりして助けてる余裕が全然なく 逃げる事しかできなかった」

唇をかみながら悔しそうに助けられなかった事をしゃべりはじめる

「他の部屋でも同じだったようで 何グループかは帰ってこなかった

 戻ってきた人たちが言うには 避難してきた人たちが噛まれた人たちを隔離したんじゃないかって事だ」

ううん そういう事なら 体育館に避難した人たちは他の避難所に行ったかもしれないな

もしくは僕たちみたく自衛隊や警察に助けられたかのどちらかだろう

「それで 戻ってきた人たちを集めて 恥を忍んでここに戻って来たんだ」

そう言って 話をしていた人は椅子から降りて急に土下座を始めた

「ここを出てった身で申し訳ないとは思う だが ここを追い出されてはゾンビに襲われるか

 餓死するしかないんだ 頼む ここにいさせてくれ」

頭を地につけながら その姿勢を崩さず頼みこんでくる

その態度にはそこにいた人たちが反対できるはずもなく

「立ってくださいよ そんな事されたら追い出せるわけないじゃないですか」

土下座してる人を立たせようとしながら 優しい言葉をかけていく

「すまない すまない 助けようとしたんだよ でも助けれらなかった ううう」

助けれらなかった人たちの事を思い出したのか 立とうとせずにその場に泣き崩れてしまった

そんな人を追い出せといえる人でなしがいるはずもなく

泣き崩れる人をその場に残して 一人にしてあげた

「これは しょうがないよ 木下さん 戻って来なかった人たちには悪いが どうしようもなかったって」

「そうですね 私もスーパーでは一緒に行った人たちを助けることが出来なかったですし

 彼の気持ちは痛いほど、わかります」

そうだった 僕たちもスーパーで食料を探しに行った人たち二人をゾンビに襲われ助ける事ができなかった

その点では彼と僕たちは似てるのかもしれない

「それなら もういいでしょ 戻ってきた人たちはまた ここで助けがくるまで一緒にいる事 決まり」

女性のまとめ役の人がそう話して この話は終わった

土下座していた人も落ち着いてきたのか 泣きじゃくりながらも

「ありがとうございます 本当にありがとうございます」

とつぶやきながらも このことを戻ってきた人たちみんなに伝えに戻った

しょうがないとはいえ これからの事を考えなくてはならない

出来れば自分がどうにかするという事は考えたくはないのだが

もう自分のスキルを隠している場合ではないのかもしれないと 心に思うのであった







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