車いすの少年 VRに行く

Neet42

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VRが休みの日と家での一日

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今日はVRのメンテナンスの日だった

いつもVR施設に通い詰めていたので

家に一日中いるのは久しぶりだ

とはいえ 家でじーっとしているわけではない

車いすなので学校に通っているわけではないが 自宅学習やリモートなどで勉強などはしている

「はあ 今日もVRに行きたかったなぁ」

テキストに文字や数字を埋めつつ VRの事ばかり考えていた

こういうゲームってはまるとヤバいんだよね

ネトゲ廃人とか昔から聞くし 今日は出来るだけ考えないようにしよう

「ご飯だよ」

ドア越しに母の声が聞こえた

以前は二階に自分の部屋があったのだが車いすになってからは一階の部屋に引っ越した

なので 台所の母の声が聞こえるのは楽だと思っている

手に取っていたペンを置き 母の待つ台所に行く

「美味しいよ 母さん いつもありがとう」

この体になってからは両親に負担をかける事が多くなっていていつも感謝の気持ちを忘れないでいる

「勉強はどうだい 学校に行かなくても勉強が出来るようになるってのは便利でいいけど

 私はちょっと心配だよ

 ああ そういえば ゲームの方はどうなんだい 最近 毎日通っていたのに 今日はいかないから」

「今日は休みなんだよ VR施設も色々あるんだよ」

昼のラーメンを食べながら 詳しく説明しようと思ったが面倒くさくなったので 

色々という便利な言葉で省略した

後は軽い世間話をしながら完食したラーメンを母に任せて台所を後にした

「さてと今まであんまり進んでいなかった分 今日は頑張りますか」

昼も食べ終わり また勉強にとりかかる事にした

最近VRにかかりきりだった事もあり てこずりながらも少しずつ テキストを埋めていく

英語は リモートで講師の先生と会話のレッスンをした

今日のノルマをこなしながら ついつい明日の事を考えているとスマートフォンの呼び出し音が鳴り響いた

「おおっと 吃驚した」

他の事を考えていたもので急な音に体が反応できずにいたのだ

スマホの画面を見ると 達也の名前が浮かび上がっていた 昔の同級生だ

通話のボタンをタップし電話に出ると

「よぉ 今 大丈夫か」

「ああ 大丈夫だけど どうした」

「聞いたんだけど おまえ 今 VRにはまってるって聞いて電話したんだけど

 面白いか 俺もやってみようかなと思って」

どうやら自分がVRをやっているという事が噂になっていて 昔の友達が様子を聞きたいようだった

「病院の先生に勧められてな かなり面白いよ はまりすぎてヤバいくらい」

この体になってからは昔の友達とも疎遠になりつつあるが 達也だけはよく電話やメールをしてくれる

ただ勉強が忙しい達也のため VRの話は出来るだけしなようにしていたのだが

「俺もゲームをやりに行こうと思ってるんだけど 中々、時間がとれなくてな」

本当にやりたそうに声を出すのだが忙しいのも分かっているので無理に進めることは出来なかった

自分も出来れば一緒にやりたかった

その後はお互いの近況を報告したりしながら小一時間話をして電話を切った

夕飯までまだ時間があったので もうひと踏ん張りと机を前にしてペンを手に取った

苦手な数学を前にして うんうんと唸りながら少しず解いていくのだが集中力が途切れてしまい

近くにあった漫画を手に取ってしまい 夕飯までの時間を費やしてしまった

「ご飯だよ」

お昼の時と一緒で母の声で自分が勉強をやめて漫画を読んでいる事実を思い出した

「しまった つい 漫画を読んでしまった」

そう思いながらも一冊を読み終えてから母が待つ台所に向かった

「あれ 父さんは」

「父さんはまだ帰ってこないから先に食べてなさい」

父は忙しく 夕飯には間に合わない事が多い 今日は母と二人で食べる事になった

「明日はまたVRに言ってくるからお昼はいいよ」

「わかったけど、あっちでもお昼は取りなさいよ」

VR施設内にも食堂やコンビニがあるのでそこでお昼などを取る人は多い

「ごちそうさまもう少し勉強してからお風呂に入るよ」

食器を下げてから自分の部屋に戻る

マンガを読んですっかり白紙の数学のテキストとにらめっこをする

ううん ううん うううううう

頭を掻きながらも少しずつテキストを埋めていくのだが

時間がかかりすぎたのかいつの間にか風呂に入る時間を過ぎていた

ガチャとドアを開けて母が入ってきた

「さっさと風呂に入りなさい お父さん、待ってるよ」

どうやら父さんも帰ってきたらしく 自分が先に入るのを待っていたらしい

「ごめん 勉強に集中していて気が付かなかったよ 今 入るから」

家の風呂はバリアフリーになっていて 自分がこんな体になってから一人でも入れるように改装した

足が不自由でも手の力で湯船に入れるし簡単に出る事も出来る

お年寄りなどがいる家庭などでよく見る施設になっている

一日中、机にいたせいか肩や背中が張っている感じがしてゆっくり風呂につかる事にしたのだが

「はぁぁあ」 とため息が出るくらい 気持ちが良かった

お風呂に入り終わり 上がったよと両親に軽く声をかけ 自分の部屋に戻った

後は寝るだけなのだが 昼間、読んだ漫画が気になって漫画を一冊ほど読み終えてから就寝についた

寝ている間もゲームの夢を見ることが多く 今日もゲームの夢を見ていた

明日はまたVRに行こうと思う 何をやろうか 楽しみで夢に見るくらいだった





 
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