260 / 942
第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第260話 奪われると心が痛い
しおりを挟む
森からの出口。
ドルフィーナに乗るスワンはまだ顔を赤くしていた。
荷船を牽くドルフィーナ。
気まずそうに歩くロードとハズレ。
ロードはコンパスを頼りに先頭に立っていた。
しかしようやく森から出られて安堵した3人だった。
▼ ▼ ▼
森から出て道を歩くと何かしらの建物が見えて来た。
3人は人のいる町に辿り着いたと安堵していた。
しかし、彼らが目にした現実は非情だった。
「ここでいいよな? ゴソって言ってた人の町」
ロードのすぐ後ろからついて来ていたハズレが訊く。
「そのはずだ。これにもタチクサ町って書いてある」
目的地に着いたロードはコンパスを仕舞い込み、木で出来た立札を読む。
「けどこれ、、、人のいない町じゃないか? 人のいる町って聞いたはずなんだが、あのゴソって人のことだし……」
ハズレの言う通り町は崩壊していた。天井なき家、崩れた家、瓦礫と化した木造の家。
「スワン着いたぞ」
ロードが後ろを振り返る。
「う~~~~、熱い恥ずかしくて熱い!!」
精霊の術であろう延々と顔を洗うスワンの姿がそこにはあった。
「と、とにかく人がいないか見てみよう……」
ハズレが気まずい空気の中で取り仕切った。
▼ ▼ ▼
入り口のみとなった壁のない家を拝見するロード。
こちらも階段が崩れて先に進めなくなっている家を拝見するハズレ。
「「はぁ~~~~」」
二人は溜息をつきながら、何の収穫もなくスワンの方へと戻っていく。
▼ ▼ ▼
「二人とも勝手にいなくならないでってば!!」
再会してそうそう叫ぶスワン。
「「――!?」」
元の状態に戻ったスワンを見て、
「姫がお美しい顔に戻られた」
「せ、洗顔修行の成果だな」
ロードはわけのわからないことを口にした。
「変に気を遣わなくていいから! 思い出すだろ! あと洗顔修行ってなんだ!?」
その時、ロードの首に掛けられた裏切りの瞳に反応があった。
「――――!?」
「ロード瞳が光ってるぞ!!」
「何!? 魔物がいるってこと!?」
「そのようだ、この街に何かいる」
その時だった。タタタと走りくる小さな足音が聞こえて来た。
首に掛けていた。裏切りの瞳を手に持った瞬間を狙われたのだろう。子供はそれをひったくった。
「「「――――!!」」」
「へへへ、チョロいぜ」
逃げ出そうとしたロードは軽く7才くらいの少年の首根っこを掴んで宙に浮かせた。
「うわっ!!」
「悪い人の真似はするな」
ロードが少年に言う。
「わかった! 分かったから降ろせよ!」
じたばたする少年。降ろすロード。
黒く光り輝く裏切りの瞳は取り返された。
「この異世界は大人から子供まで盗人根性が染みついているようだな」
ハズレが感想を漏らす。
「だから何だよ」
怖い物知らずの少年が叫ぶ。
「人の物は盗んではいけない。もうしないな?」
ロードが優しく言いつける。
「皆やってるじゃないか、何がいけないんだよ!」
聞き分けのない少年。
「分からないか?」
問い返すロード。
「だからなんでなんだよ!!」
「痛いからだ」
「ハァ! バッカじゃねーの! 痛くなるわけないだろ!」
「身体はな。だけど心は違う」
ロードが座り込む子供の目線になって教える。
「キミのこの腕が取られたらどうだ? 痛いか?」
「ハァ! い、痛いに決まってるだろ!」
ロードは優しく少年の右手を持っていた。
「それと同じさ、どんなものでも、持って行かれたら同じくらい心も体も痛いんだ」
「……わ、わかったもうしない」
立ち上がる少年とロード。
「うん、それでいい。キミ名前は?」
「ドタ……」
一連のやり取りを見ていたスワンとハズレが頷き合い会話に入ろうとする。
「ではドタくん。キミはこの町に住んでいるのか?」
ハズレが質問する。
「そうだよ、それも隠れ家にね」
「隠れ家?」
「一人で住んでいるのか?」
ロードが訊き返す。
「ううん、皆で……」
この時、
(言っていいのか? ソレは隠れ家何だろう……?)
心の内で突っ込んでいた。
「ねぇ、この町こんなありさまだけど何があったのか知ってる?」
スワンが子供目線で訊く。
「良く知らないけどこの前こうなった。何かが来てすぐに隠れ家に行ったからわからない」
「そっか」
「数日前まで町だったのか?」
「うん……」
(何かがやって来たか……やはり魔物の仕業か?)
右手に持った裏切りの瞳を見ながら思案するロード。
「エミねーちゃんならオレより良く知っていると思う」
「エミねーちゃん?」
「オレたち一緒に皆で暮らしてるんだ……」
「そのエミねーちゃんに会わせてくれないか?」
ロードが提案する。
「いいよ、じゃあついて来て……」
ロードたちがドタについて行く。スワンはドルフィーナを指輪の形に戻し、隠者の指輪で荷船を隠すのだった。
ドルフィーナに乗るスワンはまだ顔を赤くしていた。
荷船を牽くドルフィーナ。
気まずそうに歩くロードとハズレ。
ロードはコンパスを頼りに先頭に立っていた。
しかしようやく森から出られて安堵した3人だった。
▼ ▼ ▼
森から出て道を歩くと何かしらの建物が見えて来た。
3人は人のいる町に辿り着いたと安堵していた。
しかし、彼らが目にした現実は非情だった。
「ここでいいよな? ゴソって言ってた人の町」
ロードのすぐ後ろからついて来ていたハズレが訊く。
「そのはずだ。これにもタチクサ町って書いてある」
目的地に着いたロードはコンパスを仕舞い込み、木で出来た立札を読む。
「けどこれ、、、人のいない町じゃないか? 人のいる町って聞いたはずなんだが、あのゴソって人のことだし……」
ハズレの言う通り町は崩壊していた。天井なき家、崩れた家、瓦礫と化した木造の家。
「スワン着いたぞ」
ロードが後ろを振り返る。
「う~~~~、熱い恥ずかしくて熱い!!」
精霊の術であろう延々と顔を洗うスワンの姿がそこにはあった。
「と、とにかく人がいないか見てみよう……」
ハズレが気まずい空気の中で取り仕切った。
▼ ▼ ▼
入り口のみとなった壁のない家を拝見するロード。
こちらも階段が崩れて先に進めなくなっている家を拝見するハズレ。
「「はぁ~~~~」」
二人は溜息をつきながら、何の収穫もなくスワンの方へと戻っていく。
▼ ▼ ▼
「二人とも勝手にいなくならないでってば!!」
再会してそうそう叫ぶスワン。
「「――!?」」
元の状態に戻ったスワンを見て、
「姫がお美しい顔に戻られた」
「せ、洗顔修行の成果だな」
ロードはわけのわからないことを口にした。
「変に気を遣わなくていいから! 思い出すだろ! あと洗顔修行ってなんだ!?」
その時、ロードの首に掛けられた裏切りの瞳に反応があった。
「――――!?」
「ロード瞳が光ってるぞ!!」
「何!? 魔物がいるってこと!?」
「そのようだ、この街に何かいる」
その時だった。タタタと走りくる小さな足音が聞こえて来た。
首に掛けていた。裏切りの瞳を手に持った瞬間を狙われたのだろう。子供はそれをひったくった。
「「「――――!!」」」
「へへへ、チョロいぜ」
逃げ出そうとしたロードは軽く7才くらいの少年の首根っこを掴んで宙に浮かせた。
「うわっ!!」
「悪い人の真似はするな」
ロードが少年に言う。
「わかった! 分かったから降ろせよ!」
じたばたする少年。降ろすロード。
黒く光り輝く裏切りの瞳は取り返された。
「この異世界は大人から子供まで盗人根性が染みついているようだな」
ハズレが感想を漏らす。
「だから何だよ」
怖い物知らずの少年が叫ぶ。
「人の物は盗んではいけない。もうしないな?」
ロードが優しく言いつける。
「皆やってるじゃないか、何がいけないんだよ!」
聞き分けのない少年。
「分からないか?」
問い返すロード。
「だからなんでなんだよ!!」
「痛いからだ」
「ハァ! バッカじゃねーの! 痛くなるわけないだろ!」
「身体はな。だけど心は違う」
ロードが座り込む子供の目線になって教える。
「キミのこの腕が取られたらどうだ? 痛いか?」
「ハァ! い、痛いに決まってるだろ!」
ロードは優しく少年の右手を持っていた。
「それと同じさ、どんなものでも、持って行かれたら同じくらい心も体も痛いんだ」
「……わ、わかったもうしない」
立ち上がる少年とロード。
「うん、それでいい。キミ名前は?」
「ドタ……」
一連のやり取りを見ていたスワンとハズレが頷き合い会話に入ろうとする。
「ではドタくん。キミはこの町に住んでいるのか?」
ハズレが質問する。
「そうだよ、それも隠れ家にね」
「隠れ家?」
「一人で住んでいるのか?」
ロードが訊き返す。
「ううん、皆で……」
この時、
(言っていいのか? ソレは隠れ家何だろう……?)
心の内で突っ込んでいた。
「ねぇ、この町こんなありさまだけど何があったのか知ってる?」
スワンが子供目線で訊く。
「良く知らないけどこの前こうなった。何かが来てすぐに隠れ家に行ったからわからない」
「そっか」
「数日前まで町だったのか?」
「うん……」
(何かがやって来たか……やはり魔物の仕業か?)
右手に持った裏切りの瞳を見ながら思案するロード。
「エミねーちゃんならオレより良く知っていると思う」
「エミねーちゃん?」
「オレたち一緒に皆で暮らしてるんだ……」
「そのエミねーちゃんに会わせてくれないか?」
ロードが提案する。
「いいよ、じゃあついて来て……」
ロードたちがドタについて行く。スワンはドルフィーナを指輪の形に戻し、隠者の指輪で荷船を隠すのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる