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第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者
第280話 人助けにブレないロード
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フォックスグリード国・森の中。
幾日か歩いて旅をしていたロードたち。目的地のアリバレーへはまだ着きそうになかった。
歩き疲れた一行は切り株の多く見晴らしのいい場所で休憩を取っていた。
切り株に座り、木に縛られたグラスを見守るロード。
スワンは喉が渇いたのか水を流して潤した。
「フーーーー」
スワンが一息つく。
「この前の橋……あの崖……フツーじゃなかったな」
ロードが話題を振る。
「思っていた崖と全く違った」
ハズレが答える。
「ああ、あれだけの幅がありながら、底が見えないほど深かった。地割れにしても大きすぎる」
「何か……地盤そのもが無くなったみたいな空間だったな」
「このフォックスグリードを囲む崖だっけ? 地割れじゃなかったら、何が起きたらああなる?」
スワンがハズレと同じ切り株に座り話しかけてくる。
「分からない……だが普通じゃないのは明らか、忘れられない不気味さだ」
ハズレが言う。
「一緒に橋を渡って来た人たちは普通の反応だったな。この異世界ではあの崖は普通の事なんじゃないか?」
ロードが発言する。
「それを考える余裕はこの異世界の人たちにないと思うが……グラスに何か訊けないか?」
「相変わらずの態度だ」
「そうか」
ハズレは肩の力を抜く。
「休憩は終わりだもうひと歩きしよう」
ロードが提案する。そして一行は移動する。
▼ ▼ ▼
難民村。
テントのようなものがいくつも張り巡らされ、人々が力なく座ったり寝転がったりしている。
堂々と道端を荷船を牽いて歩いていくロードたち。
「ここの人たちは?」
スワンが呟く。
「飢餓や貧困に苦しむ人たちだ。あまりジロジロ見るな絡まれるぞ」
ハズレがまっすぐ前を見て言う。
「ぜぇーーはぁーーぜぇーー」
やせ細った少年がテントの中で寝ていた。
「くっ」
見かねたロードが動き出すが――
「よせロード!」
ロードの手を取るハズレ。
「止めるなハズレ!」
「よせ一人に何か与えると他の連中まで寄ってくる……どころかその一人に与えた物をめぐって争いが起きるだけだ。こっちだって食料は殆どない! ここの人たち全員の面倒を見る気か? 見過ごせないのはわかるが何の解決にもならないぞ!」
「……………………」
ロードは止まって固唾を飲む。そして捕まれていた手を振り払うロード。
「それでも見過ごしてはいけないんだ」
ロードははっきり言う。
「――――!!」
ハズレはそれ以上何も言わなかった。
「せめて、自分の足で立ち生きる手助けができるくらいのは回復させる」
ロードが手のひらを地面に当てた。そして道の秘宝玉の効果で地面に生命力を流し出す。
「……!!」「うっ……」
テントで寝ていた老若男女が目を覚まし起き上がる。ロードの生命力が地面を伝って難民たちの全員に行き渡ったのだ。
この時、
(さっきよりはマシみたい)
スワンは改めてロードの力に感心する。
そして、
(生命力を分けたのか? こんな何十人もの人たちに?」
ハズレは逆に心配していた。
そしてガクッと膝を落とすロード。
「ロード!」
スワンが叫ぶ。
「問題ない、少しめまいがしただけだ」
ロードの顔色はかなり悪かった。落ちたロードに肩を貸したのはハズレだった。
「止まっている暇はないだったな? ロード」
「ああ、行こう」
肩を借りながら歩いていくロード。
「ハズレはグラスを見張って――」「確かに――じゃあスワン、ロードを支えるのは任せる」
「ちっ」
様子を見て舌打ちをするグラス。そしてグラスをテントの陰から見る男たちがいた。
「よ、よし」
スワンがロードに肩を貸す。
「くすぐったいな~~」
「知らん」
「ロードグラスのリードを……」
ハズレが手を伸ばす。
「ああ……頼む」
リードをハズレに渡そうとするロード。それを流れるままに見るグラス。
その時――バカラバカラっと馬の走る音が聞こえて来たそれはロードたちの後方から来て、
リードを渡す瞬間を狙って、馬に乗っていた男がグラスをさらって行った。
「「「――――!?」」」
「えっ――!!」「なっ――!?」「グラスが――!!」
「「「さらわれたーーーー!!」」」
三人が唖然としていた。
幾日か歩いて旅をしていたロードたち。目的地のアリバレーへはまだ着きそうになかった。
歩き疲れた一行は切り株の多く見晴らしのいい場所で休憩を取っていた。
切り株に座り、木に縛られたグラスを見守るロード。
スワンは喉が渇いたのか水を流して潤した。
「フーーーー」
スワンが一息つく。
「この前の橋……あの崖……フツーじゃなかったな」
ロードが話題を振る。
「思っていた崖と全く違った」
ハズレが答える。
「ああ、あれだけの幅がありながら、底が見えないほど深かった。地割れにしても大きすぎる」
「何か……地盤そのもが無くなったみたいな空間だったな」
「このフォックスグリードを囲む崖だっけ? 地割れじゃなかったら、何が起きたらああなる?」
スワンがハズレと同じ切り株に座り話しかけてくる。
「分からない……だが普通じゃないのは明らか、忘れられない不気味さだ」
ハズレが言う。
「一緒に橋を渡って来た人たちは普通の反応だったな。この異世界ではあの崖は普通の事なんじゃないか?」
ロードが発言する。
「それを考える余裕はこの異世界の人たちにないと思うが……グラスに何か訊けないか?」
「相変わらずの態度だ」
「そうか」
ハズレは肩の力を抜く。
「休憩は終わりだもうひと歩きしよう」
ロードが提案する。そして一行は移動する。
▼ ▼ ▼
難民村。
テントのようなものがいくつも張り巡らされ、人々が力なく座ったり寝転がったりしている。
堂々と道端を荷船を牽いて歩いていくロードたち。
「ここの人たちは?」
スワンが呟く。
「飢餓や貧困に苦しむ人たちだ。あまりジロジロ見るな絡まれるぞ」
ハズレがまっすぐ前を見て言う。
「ぜぇーーはぁーーぜぇーー」
やせ細った少年がテントの中で寝ていた。
「くっ」
見かねたロードが動き出すが――
「よせロード!」
ロードの手を取るハズレ。
「止めるなハズレ!」
「よせ一人に何か与えると他の連中まで寄ってくる……どころかその一人に与えた物をめぐって争いが起きるだけだ。こっちだって食料は殆どない! ここの人たち全員の面倒を見る気か? 見過ごせないのはわかるが何の解決にもならないぞ!」
「……………………」
ロードは止まって固唾を飲む。そして捕まれていた手を振り払うロード。
「それでも見過ごしてはいけないんだ」
ロードははっきり言う。
「――――!!」
ハズレはそれ以上何も言わなかった。
「せめて、自分の足で立ち生きる手助けができるくらいのは回復させる」
ロードが手のひらを地面に当てた。そして道の秘宝玉の効果で地面に生命力を流し出す。
「……!!」「うっ……」
テントで寝ていた老若男女が目を覚まし起き上がる。ロードの生命力が地面を伝って難民たちの全員に行き渡ったのだ。
この時、
(さっきよりはマシみたい)
スワンは改めてロードの力に感心する。
そして、
(生命力を分けたのか? こんな何十人もの人たちに?」
ハズレは逆に心配していた。
そしてガクッと膝を落とすロード。
「ロード!」
スワンが叫ぶ。
「問題ない、少しめまいがしただけだ」
ロードの顔色はかなり悪かった。落ちたロードに肩を貸したのはハズレだった。
「止まっている暇はないだったな? ロード」
「ああ、行こう」
肩を借りながら歩いていくロード。
「ハズレはグラスを見張って――」「確かに――じゃあスワン、ロードを支えるのは任せる」
「ちっ」
様子を見て舌打ちをするグラス。そしてグラスをテントの陰から見る男たちがいた。
「よ、よし」
スワンがロードに肩を貸す。
「くすぐったいな~~」
「知らん」
「ロードグラスのリードを……」
ハズレが手を伸ばす。
「ああ……頼む」
リードをハズレに渡そうとするロード。それを流れるままに見るグラス。
その時――バカラバカラっと馬の走る音が聞こえて来たそれはロードたちの後方から来て、
リードを渡す瞬間を狙って、馬に乗っていた男がグラスをさらって行った。
「「「――――!?」」」
「えっ――!!」「なっ――!?」「グラスが――!!」
「「「さらわれたーーーー!!」」」
三人が唖然としていた。
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