レジェンドオーブ・ロード~物語に憧れて最強への道を歩み始めるオレは、魔王達の根源たる最魔の元凶を滅ぼし全ての異世界を平和へと導きます~

丹波 新

文字の大きさ
279 / 942
第六章 盗み、奪い、取る、緑色の襲撃者

第279話 難民救済のために

しおりを挟む
 ロードたちはモタナイさんを見ていた。

「シーちゃんが言うには~~私たちがこの人と離れた後、別の道に行って先回りして宝物を別の出口から持って行ったんだって」

「モタナイさん、話が違うじゃないか」

 ロードが言う。

「くっ、最初っから怪しまれていたのか……」

 モタナイさんが観念したように吐露する。

「当然さ……あなたは魔物がいて取りに行けないダンジョンの宝があるということに確信を持っていた」
「取り分の二割は妥当だったが、見たこともない宝にしては確信できることじゃない」
「下手をしたら宝はなかったはずだ」
「あるか分からないと言えば、オレたちが協力しないと思い」
「あると言い切った」
「つまりあなたは知っている」
「宝物の正体を、どれくらいの価値かを」
「そしてあなたは最初からそれを根こそぎ持ち去る予定だった」
「腕と足の怪我は嘘、無くしてなんていなかった」
「オレたちに、この人は先回りして宝を持ち去れるような人ではないと偽装した」
「信じ込ませようとした」
「腕は服の内側の腹部にでも隠しておけば腕がないように見える」
「足は膝の所で折り曲げて縛り付ければないように見える」

 ハズレは全てを見透かしていた。

「最初から手も足もあると見抜いていたのか? どうして……?」

 モタナイさんは訊いた。

「靴の紐さ、両腕がなければチョウチョ結びは出来ない」
「失敗だったのはその腕を隠したということ」
「だったら足まで偽装だったら?」
「容易にオレたちを出し抜き宝を持って行けるだろう……?」

 ハズレは答えた。

「しかしそれは最初からダンジョンの内部を知らないとできない計画だ」

 ロードが指摘する。

「だから知っていたんだ。あそこはアンタが妄言したダンジョンなんだろ?」

「くっ、そうさこいつをどっかから盗んできた時、疑いが晴れるまでどっかに隠しておこうと思ったのさ」
「それがここ、ダンジョンにする前はただの洞窟だった」
「だが一年後取りに来ると、魔物が居た」
「ただの洞窟だったここを入り口だけはダンジョンの様にして魔物狩りに話を持って行った」
「やっと足止めが利くような連中が来たと思ったんだが」
「まさかバレちまうなんて」

「それは盗品だったのか……」

「違う! オレの財産だ! 命を懸けてこれだけ集めた! オレの価値そのものだ! 誰にも渡さない!」

 叫ぶモタナイさん。

「命そのもの……言ったな……では、騙したお詫びにその命、財産とやらで買ってもらおうか」

 ハズレが剣を抜いてその切っ先を向ける。

「ふざけるな! せめて二割は持って行く! 最初にそう言っただろ!」

「そうだしかしオレたちが話していたのは、片腕と片足のないモタナイさんだ」
「残りの二割はこの二つのない人が持つべきだ」
「手も足もあるモッテルさんじゃない」
「何なら、本物のモタナイさんになるかい?」

 ハズレは本気ではなかったが怖かった。

「くう、わかった……どうせ盗品だよ。持っていっけ……橋の向こうへ行けるならそれでいい」

「交渉成立だ」

 この時スワンは、
(この役者め、手も足も持って行く気なんてさらさらないくせに)
 そう思っていた。

「ロード」

 ハズレが財宝の入った大きな荷物をロードに渡した。

「――!!」

「必要だろ?」

「ハズレ、お前その為に?」

「何を驚く一芝居うったくらいで……遠慮なく使ってくれ」

「ありがとうハズレ」


 ◆ ◆ ◆ ◆


 フォックスグリード入国の西の橋の門。
 相変わらず何百人もの難民を抱える広場。
 その中を堂々と歩いていくロードたち。

「どいてくれ」

 ロードが言う。

「そこを通してくれ」

 ハズレが言う。

 荷船をドルちゃんで牽くスワンが通る。
 
「またお前達か」

 役人が言う。

「下がれ、金のない者は通さん」

 ロードがジャラッと荷物を置いた。そして大きな袋の口を開けていく。

「こ、これは財宝!」

「これだけあれば十分だろう? ここにいる難民全員に橋を渡らせてくれ」

 ロードが宣言する。

「ば、ばかな」「聞き違いか?」「全員、まだ二日酔いか?」

「どうした出来るはずだ」

 ロードが急かす。

「で、出来るが……」「し、しかし本当にそんなことを?」

「やるぞ金はあるんだ文句はない」

 とある役人が言う。

「は、はぁ」「か、開門だ!」「全開だ! 全開!」

 ゴゴゴゴゴゴゴと門が限界まで開いていく。

 人々がざわめく。

「何だ! 行ってもいいのか?」「おおーー」「魔物のいない地だ!」「オレもまだやり直せる」「まだ天に見放されてないんだ」

 人々が開かれた門をくぐっていく。

「押すな……ゆっくり行け」「運のいい奴らめ」「そこさっさと並べ入国できなくするぞ」

 ロードたちも並ぶすると、

「兄さん兄さん!」

「――――!!」

 難民たちに話しかけられるロード。

「本当に返す必要はないのか」「助かるよ……オレ実は、家も財宝もなくて……」「向こうで新たな生活を始めるんだ」「盗賊も魔物も多すぎて死ぬかと思った」「アンタは救いの神だ」「うう~~なんてお礼をしたらいいか」「お、おれ……人に優しくされたのなんて初めてだ」「ゆ、夢じゃないんだよな」

「あ、ああ、役に立てて何よりだ」

「ぜひ名を聞かせてくれ」

「ロード……だ」

「おおロードさん」「アンタは大物だよロードさん」「ありがてーありがてーよ」「生涯語り継いでいきますロードさん」「おお、ロード~~メシアよ~~」「ロードの兄さんあんがとよ」「金はないがいつか何かのお返しがしたいです」

 ざわざわと寄ってたかられるロードだった。

「ハズレとロードがやっぱり最高のコンビかなぁ」

 スワンが呟く。

「何を言うんだい、キミも最高の働きだったよ」

 ハズレが褒めるという褒美を与える。

「お褒めにあずかり光栄です」

「変わった奴だなぁ」

 モタナイさんが言う。

「ちっ」

 ロードの近くにいたグラスは舌打ちする。

「ロード! オレたちもそろそろ進もう!」

「ああ、今行く。グラス前を歩け」

「おい通るなら顔を見せろ! そう言う決まりだ!」

 役人にグラスが呼び止められる。

 しかしグラスは無視して進んで行く。

「おい、貴様顔を」

「構いやしないさ……これだけの金があるんだ面倒起こして上の連中に没収されたくはね~~」

 とある役人が言う。

「確かに人数分以上はあるな」

「通っていいいぞ」

「感謝する」

 ロードが言う。

「――ちょっと待てそのバッチ」

 とある役人がロードを呼び止めた。

「?」

「いや、何でもねー行け」


 ▼ ▼ ▼


 西の橋。
 門をくぐって橋を進むロード一行。

「どうした? 何か揉めてたか?」

 ハズレが訊いてくる。

「大したことじゃない」

 ロードが言う。

「何、これ……」

 スワンが唖然とする。

「どうしたスワン」

 ハズレが訊く。が、その意味はすぐに分かる。

「――――!!」

「何だこれは――――」

 ロードも驚く。

「何が起きたらこんなことに……」

 スワンが言う。

「世界が奪われている」

 ロードは長く続く橋を見た。何キロあるか分からないほど長い橋だった。そして下を見る。底の見えない闇が広がっていた。

「……………………」

 そんな珍しい光景を見ていた3人を見るグラスだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...