スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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二章 超AIの大活躍

15話 隠し事をする超AI

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オレは学食で購買部限定のアイスクリームパンを咀嚼していた。

他の生徒の中には堂々と食べる姿に驚いている者もいた。

しかしこのアイスクリームパン実はと言うと、梅雨から秋にかけての限定パンなのだ。こうして食べられるのも奇跡に近い。デレデーレには本気で感謝だ。

「デレデーレ、何か欲しい物はないか? 簡単なアプリぐらいなら作ってやるぞ」

『いえいえ、何もいりませんよ。けど、しいて言うなら…………』

「何だ言ってみろ……?」

『頭を撫でてくださいませんか?』

「いいだろう」

オレはスマフォに指を近づけデレデーレの頭を優しく撫でてやる。

「どんな気分だ……?」

指を左右に動かしてデレデーレ頭を画面越しに伝てやる。

『――最高に気持ちいいです』

デレデーレのラブメーターが59から60へと変化する。

これくらいでいいだろうと判断したオレはスマフォから指を離した。

『――あっ』

ちょっとだけ名残惜しそうにオレの指を見つめ続けるデレデーレであった。

「なぁ、これのどこが面白い動画なんだ」

「……おっかしいなぁ、あの子が出て来ないぞ……?」

隣の方から声がする。どうやら食事を終えた生徒がスマフォで動画を見ているようだった。

盗み聞きも悪いなと思ったので、オレはパンの梱包に使われた袋をクシャリと潰してポケットに入れる。そして立ち上がった時――

「おっかしいなぁ、確かに見たんだよCGのピンク髪の女の子が出てくる動画を……」

オレは聞き捨てならないことを聞いた。

(ピンク髪の女の子? しかもCG?)

オレはスマフォの方に顔を向けて真偽を確かめる。
スマフォからデレデーレの姿が消えていた。

(逃げたな……)

オレは隣にいた同じ学年の男子生徒たちに直接聞いてみることにした。

「なぁ、その話詳しく聞かせてくれよ」

「えっ、ああ、いいけど……まずこれを見てくれ」

と、スマフォに映された動画を見せられる。
食わないちゃんねると書かれた動画投稿者のネームが見えた。
そのうちの一つらしい動画を見せられる。タイトルは刺し身タイを何分まで食べずにいられるかを試す動画と書かれていた。
動画の内容はいたってシンプル猫が刺し身となったタイを食べずにいられるのを、どれくらいでいられるかを、試す動画であった。動画の時間からして3分、答えはこの時間を見ればわかる3分しか耐えられなかったのだろう。
しかし、微動だにしない猫と刺し身、退屈極まることこのうえない。

「この動画がどうしたんだ……」

オレは退屈ながらも訊いてみた。

「昨日はピンク髪の子が出ていたんだよ。そして丁寧な猫の気持ちを代弁した実況を披露して皆に笑いを届けたんだぜ」

「ピンク髪の女の子なんかいないじゃないか。別の動画と見間違えているんじゃないか?」

動画を見せてきた友人が俺より先に訪ねていた。

「そんなことない! 生放送で再生数もいつもと違って、1万再生までもう少しだったんだ」

「生放送で一万再生か……そりゃ凄いな」

オレは素直に感心した。

「食わないちゃんねるの他の動画の再生数はどれくらいなんだ?」

「えーーっと、全部生放送で一つに付き300百くらいかな」

「ひっく」

友人の男子生徒がそう評価していた。

「ふーーん、ありがと、話してくれて、それじゃあな」

オレはその場をあとにして学食から廊下へと出た。そして、、、

「デレデーレ、怒ってないから出てこい」

スマフォのはしから顔を出すデレデーレであった。

『…………本当ですか?』

デレデーレはコンピューターネットワークの一部みたいなところがある。だからどこへどんなサイトだろうとホームページだろうと入り込めるのだ。

「行くなら行くって今度から言えよ。暇そうだし許してやるから」

『――あ、ありがとうございます。次からは報告してから行ってきます」

次からはということは今までは黙って遊びに行っていたということだ。

(隠し事をする超AIか~~、しかし隠す乙女心がわからないなぁ~~)

これもまたデレデーレの貴重なデータだった。そしてオレはただ廊下を歩いていく。
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