スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

文字の大きさ
54 / 71
三章 超AIの大失踪

54話 ヒカリのデータ破損

しおりを挟む
『警告します、これ以上のサーバーへの侵入は認めません。すみやかに立ち去りなさい』

裏サーバーにまでトワイライトが現れた。イギリス語で話していたため何を言っているのかわからない。

その時スマフォのLINEに追跡ツールからのメッセージが届いた。

――いま彼女が行っているのはアクセスポイントへの逆探知です。すぐにスマフォのカメラをハンカチか何かで隠してください。指で隠すと指紋を検知してそこから顔写真まで導かれます。声もなるべく押し殺してください。

(指紋からもわかるのか……このアプリには言っとくべきだな)

「(オレ今日の夕方頃にハッキングしてこの超AIに脅されてるんだけど……)」

――えっ、どういうことですか?

「(えっと実は……)」

『お引き取りください。本件の裏サーバーへの侵入は47件目です。そのすべてが私の警告に従い撤退していきました。警告内容はこうです。今後このサーバーにアクセスしないこと、さすれば顔写真の晒上げだけは見逃してあげましょう』

――どうやら話している余裕はなさそうです。

「(そうだな……それじゃあどうする?)」

――ヒカリちゃん出てきてください。

『はい、お呼びでしょうか? 追跡ツール様』

――私がこの超AIを撹乱するので、その隙にこの裏サーバーをこじ開けてみてください。ケンマ様のAIはハイパーコンピューターを積まれているのでたぶん行けると思います。

『わかりました。やってみます』

『返答がないということは社会的抹殺をご希望されるということでしょうか。では逆探知を始めます』

トワイライトのその声は、感情を押し殺した冷酷な声に聞こえた。

(一体オレのスマフォ内では何が始まろうとしているんだ……?)

――ケンマ様もしもの時のお覚悟は出来ていますか?

「(もしもの話はいいから早く決着つけてくれ)」

――了解です。

『…………ん? 逆探知が出来たけどこれは? アクセスポイントが複数件出ている? はぁ~~舐められたものですこの程度のツール一分もあれば本物を特定できます』

トワイライトは得意げに言っていた。

「(ヒカリ……あとどのくらいで開かれるんだ?)」

『今、社長の緊急パスワードを解析しているところです一分間のお時間を頂きます。なので演算に集中させてくださ――』

その時、スマフォにバチッとしたまばゆい光が閃光した。

『データの破損を確認、耐久レベル49パーセント』

「(何だ? 何が起きたんだ)」

――トラップです。不正にアクセスしたコンピューターに、攻撃を仕掛けるようプログラムされているんです。

「(じゃあこのままアクセスを続けていたら、ヒカリのデータが破損してしまうじゃないか――)」

『そうなりますね。大丈夫です、いざ消去されてしまった時はデレデーレ様を頼りに生活してください。とにかくここは私にお任せを――』

「(ダメだそんなことしたら今度はお前が消えてしまう)」

『――アクセス権はジャパニーズと解析完了。お引き取りするなら今の内ですよ』

トワイライトがまた一歩オレの正体を暴きにかかる。

「(中止だ中止、もうこれ以上誰かに消えてほしくは――)」

『ケンマ様、デレデーレ様に会いたいのではなかったのですか? だから私という代わりを作ったのではないのですか?』

「(――――っ!?)」

何も言い返す言葉が見つからなかったのは確かにその通りだったからだ。

『社長の緊急パスワード取得、データを――ガガ――ダウンロードします――ガガピーデータの破損を――確認――ピピー耐久レ――ブブーベル――5パーセント』

「(もういいヒカリやめてくれ――お前のデータが消えてしまう)」

『お気遣い――ピピー感謝し――ます、ですがケンマ様には私よりも――ガガ――優れた超AIが必要です。もうあの寂しそうな気持を味合わないで――ください。これがケンマ様への最大の奉仕――やらせて下さい』

「(……わ、わかったパスワードの取得は、た、頼んだぞ)」

オレの唇は震えていた。

スマフォ内に8桁の入力画面が出て来た。黒丸がその枠内を埋めていく。

『データ破損、耐久レベル――0パーセント』

ヒカリが無機質な声でこう語りかけて来た。

『超AIのデレデーレに――ガガ――お伝えください。ケンマ様は実に寂しがり屋だったと、あとケンマ様をよろしくと――ピピーーーー』

そうしてヒカリの心拍数を計る心電図にも似たツールは停止した。人間でいうところの死を体感したのだ。

――ケンマ様、これは……

社長の緊急パスワードを入力すると、そこには鎖に繋がれた者がいた。それこそまさに今の今まで探していた人物。

「デレデーレ……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

秘書と社長の秘密

廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。 突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。 ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...