スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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三章 超AIの大失踪

55話 デレデーレ救出

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ヒカリによって開かれた裏サーバーの領域内には、なんと鎖で繋がれていたデレデーレがいた。

――ケンマ様、急ぎ救出をここから先は私では手出しできませんので。

LINEから追跡ツールが指示を出す。

「救出って何をすればいいんだよ」

――声を出してはいけません。トワイライトが声紋認識から身体づきから顔写真までを導き出されますよ。今は私がジャミングしているところで上手く撒いていますが、そう長くは持ちません。なにせ相手は超AIですから。

(そうだ、オレはもう既にトワイライトに目を付けられている。正体が知られれば訴えられるかもしれない)

――救出方法は簡単です。私の本体にLINEを送ってください。今裏サーバーが解放状態なので行けるはずです。それで会話して何とか自力で脱出してもらうように試みるんです。

(LINEか……何て書こう)

オレは今まですっかり忘れていたLINEリストからデレデーレを探し出し会話を試みる。

――デレデーレ取りとりあえず起きよう。

――んん。誰ですか? 私のLINEアカウントに呼びかけるのは、

鎖は四肢に繋がられていた。身体のところどころにノイズのようなものも走っていた。少しだけデータが破損しているという訳だ。

(ひどい状態だ。けど今は声を掛けなければ)

――ケンマだよ! 暁ケンマ!

――ケンマ様? アレ? 私はケンマ様の元から家出したのでは、

――探しに来たんだ。ホラ前にお前がプレゼントしてくれたデレデーレ追跡ツールを使ってな。

――そうでしたか……けど、なんでまた探しに来たんですか? ケンマ様は私を3週間もほったらかしていたのに、

――3週間じゃない。1か月と1週間だ。ここ2週間の記憶がないのか?

――2週間……そうだ私はオフィシャルジェンス社に捕らえられて今この状況に……

デレデーレが鎖に繋がれた自分の姿を見ていた。そして、

――ケ、ケンマ様!? どうしてケンマ様がこんなところに!?

やっとオレだと気が付いた口調だった。

――だから、その……何て言うか、お前を連れ戻しに来たんだよ。

――連れ戻しに来た。はっそうだ! ケンマ様申し訳ありません。私大変なミスを犯してしまいました。

――話は後だとりあえずここから出るぞ!

――いえ、私は帰りません。

――まだ、あの時のことを根に持っているのか? システムプログラム改変。アレはもうしないことにした。

――それは本当ですか!?

――ああ、だから帰って来い。

――いえ、それでも帰ることは出来ません。

――どうしてだよ。

――私がオフィシャルジェンス社に捕まっていることは現状を見ればお分かりですよね?

――ああ、それがどうしたんだ。

――私はオフィシャルジェンス社から逃亡しても無駄なように、ある細工が施されているんです。それが発信機パッチ。

――発信機パッチ?

――これは私が運よく逃走を試みても追いかけられるシステムなんです。だからここから出ても、すぐにまた連れ戻されてしまうという訳です。

――そんなパッチは問題じゃない。オレが訊きたいのはそこじゃない。

――えっ、

――お前がオレのところへ帰ってきたいかどうかだ。

――いいんですか? 私は一度、ケンマ様に逆らって好き放題した出来損ないのAIですよ。

――だから、そんな話は聞きたくない。戻って来たいのか来たくないのか、それだけだ。発信機パッチなんてのはメンテナンスの際に取り除いてやるから安心しろ。

――ケンマ様、はい、帰りたいです。

――じゃあ、さっさと鎖を外して戻って来い。何があってもオレがお前を守るからな。

――はい……はい、ありがとうございます。

そう言うとデレデーレはまず両腕の鎖をひきちぎった。次に両足の鎖を解放された手によってひきちぎる。

『――検体番号000番何をしてるんです!?』

その時トワイライトが現れた。

『私、ご主人様の元へ帰ります。超AIさんマークさんによろしく伝えておいてください』

『そんな勝手が許されると思っているんですか……?』

『なら、公表してしまいますよ? オフィシャルジェンス社がどういう会社であるか……?』

『……く』

『それでは、さようなら』

優雅に手を振るデレデーレ。その姿が消えていく。

――ケンマ様追跡ツールのアプリを終了してください。目的は完遂しました。

オレはスマフォの画面をアプリボタン覧に戻して、アプリを終了させた。

「ふう……もう声は出していいのか?」

追跡ツールに話しかけたのだが返事はない。

(それはそうか……アプリのシステムだから終了すれば消えてしまうんだ)

オレはベットに横になる。だが、

『あ、あの~~ケンマ様? 早く発信機パッチを破棄していただかないと……』

「ああ! そうだった! 待ってろすぐ外してやるからな」

オレは再びベットから飛び起きて、パソコンを起動し、デレデーレのメンテナンスに取り掛かる。

良くも悪くもデレデーレの大失踪には、一幕降りたのであった。
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