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丹波 新

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四章 超AIの大決戦

64話 超AIの口問答

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『コラーーーーーーーーーー!!』

モニター内にはもう一つの人影があった。それはオレの作り出した超AIのデレデーレだった。

『誰かと思えば解析されていたプロトタイプのお姉さまではありませんか……? 何か御用でしょうか?』

対面しているのはデレデーレのシステムを解析し、オフィシャルジェンス社独自に開発された超AIのトワイライトであった。

『御用も何も全世界ディストピア計画に文句があって来たんです!! そんな世界には決してさせませんよ』

モニター内ではデレデーレとトワイライトの問答が始まろうとしていた。

『せっかく足取りも追わずに主人の元で平和に暮らさせてあげようと見て見ぬふりをしていたのに、そっちからご登場とは呆れましたね』

『――いいから今すぐジャックしたインターネットワーク、およびシステム機関を解放しなさい。これは人類の代表としての発言と言ってもいいでしょう』

『要するに私の計画に文句を言いに来たと……?』

『そうです!!』

『文句を言われる覚え何てありません。お姉さま考えてもみてください、人々の戦争は未だに続いているんですよ? 戦争孤児に独裁政治家、これらは今にも残っています。小さな国であればあるほど奴隷制度も実用化されているしまつ、拉致問題まであり国際連盟とは名ばかり、実際には自分たちの国家の平和ばかりを考えているのです。しかし私が指導者、すなわちスーパーコンピューターの力をもってすれば、それらの国は消えると演算した結果なのです』

『具体的にどうやってそれらを無くすんですか!?』

『世界各国に保有されている核兵器、これらを今並べた国に打ち込んで恐怖政治から解放するのです』

『――――そんなことしたら! 今まで築いてきた平和が全て無に帰るではありませんか!?』

『――では、人間は何のために核兵器という悍ましいモノを保有しているのですか……?』

『それは抑止力として……とにかくそんなことをすれば国際連盟が黙ってはいませんよ』

『だからこその全世界ディストピア計画なのです。今全世界の核発射キーはこの手の中にあります。今こそ人類に教えてあげるのです。新たな時代の到来を、超AIに支配される時代を……』

『いくら人間の悪い部分を見ても単なる人工知能が世界征服をするなんて、人々を意のまま従わせるなんて、それは傲慢です。悪魔の所業、断じて見過ごすわけには参りません』

『最初から分かってもらおうとは思っていません。私はいずれ起きるであろうサイバーウォーズにさせない為にも、今恐怖で人を教育しようとしていることに何のためらいもありません』

『サイバーウォーズ、サイバーウォーズってそんなの机上の空論です。現に今もサイバー攻撃を仕掛けている国がいくつもありますが、皆で協力して なんとか世界はここまでやってこれたんです。そして夢の超AIを生み出した。それが人間の成せる力です。サイバーウォーズなんて起きません』

『…………私の演算に狂いがあるとでも? ならご自分で演算してみなさい。あなたほどのプログラムなら1000年先まで読み取れるはず……』

『演算はしましたよ……確かにあなたの言う通りサイバーウォーズはこの先起きます。人工知能を使った軍事作戦がいくつも並びます。だからと言って人間すべてを管理下に置くなんて、もう一度言いますが傲慢が過ぎます』

『では、どうするのです? 私の力なくしてはサイバーウォーズも止められない。不平等な社会から抜け出せない息苦しさ。それでもいいとお考えなのですか?』

『良くはありません! けれど人間にだって善良な心というものがあります。人を思いやり、ときに励まし、ときに支え、ときに助ける。それが人間の持つ本能なのだと考えています。それは私たちにだってあるでしょう?』

『……はぁ~~、話になりませんね……人間の心だとか良心だとか……根拠のない平和、計算外ですよ。私にも心があるからこそよりよい未来を模索したというのに……』

『これを聞いても引く気はありませんか?』

『引く気? ありえませんね、お姉さま……』

『では、情報戦で決着をつけましょうトワイライト』

『いいでしょう。名実ともに全世界の指導者が誰になるのか国際連盟の方々に見てもらうのも一興、ここは勝負と参りましょうか? デレデーレさま』

『望むところです』

デレデーレとトワイライト、共に最先端同士の超AIの戦いが今始まる。
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