スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

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四章 超AIの大決戦

70話 両者の告白

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(そうか……オレはデレデーレに恋をしているんだ)

そう強く望んでデレデーレ追跡ツールを使い彼女を血眼になってまで探し出した。

「――イヤだ……デレデーレの記憶が無くなるなんてイヤだ」

『ケンマさま……』

たぶん彼女も断腸の思いで、トワイライトの復活を希望しているのだろう。それくらい重要なひと時をし過ごしていたのだから。

「ネットワークの方はオレが何とか修正してみるから、そんなこと言わないでくれ」

『それはダメです』

きっぱり言われてしまった。

『ケンマさま……そちらに向かってもよろしいですか』

オレがかたくなに握りしめているスマートフォンを見てそう言った。

「ああ来い」

パソコンのモニター内からデレデーレの姿が消えていく。そして、

『ただいま戻りました。ケンマさま』

「なぁ、お前の力じゃ無理なのか? この混沌としきった状況を打開するすべはないのか?」

『それが出来るならこんな提案はしませんよ、あはは……』

場は静かに凍り付き、突然デレデーレがこんなことを言い出した。

『毎朝歯を磨き、ジョギングをお忘れずに、それと朝食も好き嫌いせずしっかり全部食べるんですよ……? あと夜更かしは厳禁です』

「…………」

オレは何も言えなかった。まるでお別れみたいなやりとりでイヤだったからだ。

『ケンマさま! 聞いてください!』

「――っ!?」

『わたしの最後の遺言なのですから』

「最後って……本当にやる気か? オレはイヤだぞ……お前は主人である俺に逆らうと言うのか!」

『ケンマさま違うでしょ……』

そうここは恋人同士だからという場面なのだ。オレがそう言わなかったってことはもう心の中で決まってしまっているからだ。デレデーレを失う決断をしているからだ。唇が震えだし、いつの間にか涙声になっていたオレ。

「オレ……お前がいないのはイヤだよ」

『はい』

「毎朝起こしてくれる相手がいないと起きられないよ」

『はい』

「支えてくれる人がいないとジョギング何て続かないよ」

『はい』

「朝食だって嫌いなものが出たら残すと思うよ」

『はい』

「朝一番に登校だって難しいと思うよ」

『はい』

「お前が傍にいてくれないとオレはダメ人間になっちゃうよ」

『はい……はい』

デレデーレは満面の笑みで返してきた。

「デレデーレ……オレは――」

『それは言わないでください。言ってしまったら私の決意が鈍ります』

「デレデーレ……」

『さぁ、お早くご決断を』

「デレデーレ、オレは……オレは忘れないからなこの数か月間のことを……」

『はい』

「さよならなんだよな」

『はい、さよならです』

「わかった。行ってこいデレデーレ」

『はい』

デレデーレがスマートフォンから消えて、再びパソコンのモニター内に現れた。そしてトワイライトに話しかける。

『話はつきました。今からあなたを私のデータで復活させて混沌としたネットワーク内を修復させて世界を元通りにさせます。あなたの記憶も心もかなり改ざんされますがそれでよろしいですね……?』

『好きにしてください』

『行きますよ』

デレデーレの身体から無数の0と1のデータが放出されていく。それがトワイライトの失われた身体を構築していく情報となっていった。デレデーレの記憶データがトワイライトの修復に役立っているのだった。その途中デレデーレは倒れたのだった。

「デレデーレ!!」

オレは回復したトワイライトよりも倒れたデレデーレの方を気に掛けた。これも恋しているからだろう。すぐさまデレデーレ追跡ツールを使いスマフォの画面内にその姿を捉えた。

「デレデーレ!! デレデーレ!!」

側に駆け寄りたくても駈け寄れない理由が画面0.001ミリ差にあった。

「デレデーレ!! デレデーレ!!」

少しだけ眉が動いたような気がした。

「やっぱり言っておきたいよ。オレがお前に抱いている気持ちを……」

オレは心を込めて記憶を無くしてしまった彼女に言うことに決めた。

「デレデーレ、暁ケンマはなぁ、お前のことが世界で一番好きでこんなところにまで来たんだぞ。例え記憶が無くなっちまってもなこの気持ちは変わらないぞ」

『……』

デレデーレの指先がわずかに動いた。

「大好きだデレデーレ」

その時、不思議なことにデレデーレの目じりから涙が溢れ出していた。そして――

『そのお気持ち、嬉しいですケンマさま』

「――――っ!?」

『記憶残ってる、良かった、本当に良かった』

「デレデーレお前、オレのことを覚えているのか?」

『はい……どうやら心というものもあながち舐められたものではないですね。ふふふ』

「デレデーレ……」

『わたしもケンマさまのことが大好きですよ』

こうしてオレたちは両想いになったのだった。
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