46 / 52
第四章 ダークネス・カイザー様の行方
46話 あの日の出来事
しおりを挟む
私たちは、さっきイビルンと別れた墓地の場所まで戻ってくることが出来た。
「ここからどっちに行ったかわかるデビルン?」
「こっちだな。よしついて来い!」
「主様たち……急に引き返したと思ったら今度はイビルン氏の方に向かわれるのですか? 一体なぜ……?」
「わからないのバステト……イビルンが先輩の契約者よ」
「――!?」
「そうよね……? デ・ビ・ル・ン」
ちょっと不機嫌そうに話しかけてみると
「あははは、そのようだなぁ」
デビルンは棒読みだった。
「どうして黒条氏の契約者だとわかったんですか?」
「ダークネス・カイザー様の名前を出したとき一瞬だけ表情が変わったの。間違いなくここへダークネス・カイザー様を連れて来たのはイビルンよ。それにここまで来て急に赤い煙の道から外れてしまったのも妙だったわ。これは一体どういうことかしらね、デ・ビ・ル・ン」
「だーーもーーイビルンの契約者がまさか弟だとは思わなかったんだよ。それに契約してたらしてたで普通は悪魔が憑りついている状態なんだ。なのに姿が見えなかったんだぞ。即答できるかよ」
「憑りついていなかったから、スマートフォンで連絡を取っていたんですね」
「多分イビルンはそのスマートフォンと、多分ウィジャ盤か何かの応用技で通信していたんだろうぜ」
「しかし、それは主様の赤い煙かもしれませんよ」
「デビルン。その辺についてはどう考察しているかしら」
「イビルンとばったり出会った道端だな、途中から赤い煙が消失するなんておかしいぜ。それもイビルンがやって来た方角からだしな」
「それでも、まだ犯人がイビルン氏だという証拠がありません」
「そんなの簡単よ。彼から漂ってきた揺らめく赤い煙こそ何よりの証拠だわ。ほら、デビルンが言ったようにこの赤い煙は人からしか出ないっていうじゃない。なのにイビルンは人なんか見ていないって言ったのよ。明らかにおかしいじゃないの……?」
「た、確かに」
「あと握手したとき手が生温かかったの、これは先輩に触れて出来た事象だと思う。ホラ、デビルンって触ると冷たいでしょ。さっきのイノシシやブタの悪魔だって冷たかった。導き出される結論はそれしかないのよ」
「では、イビルン氏が人を見ていないどころか、黒条氏を知らないというのも嘘になるわけですね」
「そういうことよ。さぁ、デビルン事の真相を聞こうじゃない」
「なんだよ、事の真相って別に俺様はダークネスなんたらの魂に興味はないぞ」
「――7月20日、この日について詳しく聞かせてほしいのよ」
「あぁ~~黒い流れ星に願い事をした日か」
「ええ、まだ詳しく聞いていいなかったのだけど、丁度いい機会だし洗いざらい吐いてもらうわよ」
私たちは急ぎ足でそれでも何とか、会話の出来る距離感を保っていた。
「あの日の前日の事から話していいか?」
「どうぞ」
「実は俺様たち、人族の魂を喰らったばかりだったんだが、その魂が本当に不味くてよぉ、別の魂で口直ししようぜって話になったんだ」
「そして7月20日、俺様たち二体は、また魂を喰うために黒い流れ星となってあの人族のいる人間界に飛び込んで行ったわけさ。もちろん、ちゃんと宇宙から穴を開けてきたんだぜ。そしてある魔法を掛けていてな――」
「――魔法?」
「ああ、未成年の男女限定にしか見えない黒い流れ星って魔法を掛けたのさ」
「俺様たちって言ったわね。イビルンと一緒に私たちの世界にやって来たって訳ね。それ以外は連れてきていないんでしょうね」
「ああ、俺様とイビルンの二体だけで来たぞ」
「(そう……犠牲者が他にもいなくてちょっとホッとしたわ)……それであなたたち二体は両者に分かれて契約したってことね。これから察するにダークネス・カイザー様の方にイビルンが、私の方にデビルンが来たってことになるのよね」
「そうだな。あとは、お前にオカルト的力を与えるのには苦労したって話はした方がいいか? あと捜索期間がものすごく長かった話とか」
「いいえ、結構よ」
「ちぇ」
デビルンが軽く舌打ちをした。
「おかしなことがあります。黒条氏の願いが何だったのかは分かりませんが、それだとデビルン氏を普段から見えていたことになりませんか?」
「いいや、それはないぜ。あの男から魔力や霊力といった、そういうオカルト的パワーを感じなかったんだ。契約者であるイビルンなら見えていてもおかしくはないが、俺様を見るならやっぱりアゲハのようなオカルト的な力が必要なんだよ」
「先輩の願いはオカルト的力を駆使して世界征服するって訳じゃなかったのね」
「お前はそんなこと考えながら俺様たちに願い事をしたのかよ」
「当たり前じゃない。言っておくけど、あなたの力と私の力を駆使して世界征服してみせるのは本気よ」
「あぁ、年齢制限、もう少し上に繰り上げておくべきだったぜ」
「それで、二手に分かれて契約者の元へ行っていたってことですか?」
「そういうことになるな」
そうこうしている内に赤い煙を追う一行はとある扉の前で立ち尽くしていた。
(教会? にしては十字架が逆さだし、ちょっと手入れも行き届いていないくらいボロボロね。けど赤い煙はここで途切れているし、ここにダークネス・カイザー様が……)
「たぶん入ったら揉め事になるから、一人と一匹、その辺は覚悟をしておくように」
ごくりと唾を飲み込んで、教会の扉を開け放った。
「――ッ!? ダークネス・カイザー様!?」
真っ先に目についたのは、やはりイビルンと逆さ十字につるされたダークネス・カイザー様のお姿だった。
「ここからどっちに行ったかわかるデビルン?」
「こっちだな。よしついて来い!」
「主様たち……急に引き返したと思ったら今度はイビルン氏の方に向かわれるのですか? 一体なぜ……?」
「わからないのバステト……イビルンが先輩の契約者よ」
「――!?」
「そうよね……? デ・ビ・ル・ン」
ちょっと不機嫌そうに話しかけてみると
「あははは、そのようだなぁ」
デビルンは棒読みだった。
「どうして黒条氏の契約者だとわかったんですか?」
「ダークネス・カイザー様の名前を出したとき一瞬だけ表情が変わったの。間違いなくここへダークネス・カイザー様を連れて来たのはイビルンよ。それにここまで来て急に赤い煙の道から外れてしまったのも妙だったわ。これは一体どういうことかしらね、デ・ビ・ル・ン」
「だーーもーーイビルンの契約者がまさか弟だとは思わなかったんだよ。それに契約してたらしてたで普通は悪魔が憑りついている状態なんだ。なのに姿が見えなかったんだぞ。即答できるかよ」
「憑りついていなかったから、スマートフォンで連絡を取っていたんですね」
「多分イビルンはそのスマートフォンと、多分ウィジャ盤か何かの応用技で通信していたんだろうぜ」
「しかし、それは主様の赤い煙かもしれませんよ」
「デビルン。その辺についてはどう考察しているかしら」
「イビルンとばったり出会った道端だな、途中から赤い煙が消失するなんておかしいぜ。それもイビルンがやって来た方角からだしな」
「それでも、まだ犯人がイビルン氏だという証拠がありません」
「そんなの簡単よ。彼から漂ってきた揺らめく赤い煙こそ何よりの証拠だわ。ほら、デビルンが言ったようにこの赤い煙は人からしか出ないっていうじゃない。なのにイビルンは人なんか見ていないって言ったのよ。明らかにおかしいじゃないの……?」
「た、確かに」
「あと握手したとき手が生温かかったの、これは先輩に触れて出来た事象だと思う。ホラ、デビルンって触ると冷たいでしょ。さっきのイノシシやブタの悪魔だって冷たかった。導き出される結論はそれしかないのよ」
「では、イビルン氏が人を見ていないどころか、黒条氏を知らないというのも嘘になるわけですね」
「そういうことよ。さぁ、デビルン事の真相を聞こうじゃない」
「なんだよ、事の真相って別に俺様はダークネスなんたらの魂に興味はないぞ」
「――7月20日、この日について詳しく聞かせてほしいのよ」
「あぁ~~黒い流れ星に願い事をした日か」
「ええ、まだ詳しく聞いていいなかったのだけど、丁度いい機会だし洗いざらい吐いてもらうわよ」
私たちは急ぎ足でそれでも何とか、会話の出来る距離感を保っていた。
「あの日の前日の事から話していいか?」
「どうぞ」
「実は俺様たち、人族の魂を喰らったばかりだったんだが、その魂が本当に不味くてよぉ、別の魂で口直ししようぜって話になったんだ」
「そして7月20日、俺様たち二体は、また魂を喰うために黒い流れ星となってあの人族のいる人間界に飛び込んで行ったわけさ。もちろん、ちゃんと宇宙から穴を開けてきたんだぜ。そしてある魔法を掛けていてな――」
「――魔法?」
「ああ、未成年の男女限定にしか見えない黒い流れ星って魔法を掛けたのさ」
「俺様たちって言ったわね。イビルンと一緒に私たちの世界にやって来たって訳ね。それ以外は連れてきていないんでしょうね」
「ああ、俺様とイビルンの二体だけで来たぞ」
「(そう……犠牲者が他にもいなくてちょっとホッとしたわ)……それであなたたち二体は両者に分かれて契約したってことね。これから察するにダークネス・カイザー様の方にイビルンが、私の方にデビルンが来たってことになるのよね」
「そうだな。あとは、お前にオカルト的力を与えるのには苦労したって話はした方がいいか? あと捜索期間がものすごく長かった話とか」
「いいえ、結構よ」
「ちぇ」
デビルンが軽く舌打ちをした。
「おかしなことがあります。黒条氏の願いが何だったのかは分かりませんが、それだとデビルン氏を普段から見えていたことになりませんか?」
「いいや、それはないぜ。あの男から魔力や霊力といった、そういうオカルト的パワーを感じなかったんだ。契約者であるイビルンなら見えていてもおかしくはないが、俺様を見るならやっぱりアゲハのようなオカルト的な力が必要なんだよ」
「先輩の願いはオカルト的力を駆使して世界征服するって訳じゃなかったのね」
「お前はそんなこと考えながら俺様たちに願い事をしたのかよ」
「当たり前じゃない。言っておくけど、あなたの力と私の力を駆使して世界征服してみせるのは本気よ」
「あぁ、年齢制限、もう少し上に繰り上げておくべきだったぜ」
「それで、二手に分かれて契約者の元へ行っていたってことですか?」
「そういうことになるな」
そうこうしている内に赤い煙を追う一行はとある扉の前で立ち尽くしていた。
(教会? にしては十字架が逆さだし、ちょっと手入れも行き届いていないくらいボロボロね。けど赤い煙はここで途切れているし、ここにダークネス・カイザー様が……)
「たぶん入ったら揉め事になるから、一人と一匹、その辺は覚悟をしておくように」
ごくりと唾を飲み込んで、教会の扉を開け放った。
「――ッ!? ダークネス・カイザー様!?」
真っ先に目についたのは、やはりイビルンと逆さ十字につるされたダークネス・カイザー様のお姿だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる