大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

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第四章 ダークネス・カイザー様の行方

47話 VSイビルン

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私たちは逆さ十字の教会で、デビルンの弟イビルンと、逆さに吊るされたダークネス・カイザー様を発見した。

「やっぱりあなただったのねイビルン」

「――げげ!?、あんちゃんにさっきの娘まで」

「おい! イビルンよくも人族には会ってないなんて騙してくれたな!」

「許してくれだぞ! 俺様は早くウマイ魂を食べたかっただけなんだぞ!」

「ダークネスなんたら、そいつがお前の契約者だったのか!?」

「そうだぞ。7月20日に契約を結んで願いが成就されたから、契約状もう食べてもいいはずなんだぞ!」

「ダークネス・カイザー様の願いが何だったのかは知らないけど、食べさせたりなんてさせないわ」

「ああ、そう言われると思って嘘をついたんだぞ」

「イビルンそいつを解放してくれ! アゲハの野望にはそいつの力が必要不可欠なんだ!」

「やっとありつけた餌なんだぞ! そお言う訳にはいかないぞ!」

「だったら、力ずくで返してもらうしかないうよな!」

そう言うとデビルンは、魔法陣のようなものを空中に展開させ、そこからフォークのような槍トライデンを取り出していた。

「いくらあんちゃんの頼みでも聞けないぞ! あんちゃんにも分けてやるからこいつを食べようだぞ」

「そいつは契約違反ってやつでぜ! ――イビルン!」

――ガキーーンと金属音が重なり合う音が教会中に響いた。イビルンもトライデントを取り出していたのだ。

「いくらあんちゃんの頼みでも、もう辛抱ならないぞ! 一か月以上はもう何も食してないんだぞ! おまけに一年かけて食べた魂は激マズで、もう我慢なんてしてられないぞ!」

「――俺様も同じだよ!」

間合いを取る二体の悪魔。

(今だわ。今ならイビルンの注意がデビルンに向いているから、ダークネス・カイザー様を助け出せるわ)

そう考えてことを進めたのだが――バサリと、5メートルにまで展開されたイビルンの翼が行く手を阻む。

「(これじゃあ助けに行けない)――ダークネス・カイザー様!! 起きてください!! 気を失っている場合じゃありません! このままでは魂を食べられてしまうんですよ! それでもよろしいんですか!?」

「うるさい奴だぞ! 昏睡のお香を嗅がせているんだから起きるわけがないぞ」

「主様、私も何だか、眠く……くぅ~~、すぅ~~」

「――バ、バステト!?」

「でも、どうしてアゲハとかいう女には効いてないんだ。もうそろそろ昏倒してもいいはずなんだぞ!」

「へっ! 実は言うとアゲハの契約内容は自分を真のオカルト少女にして世界征服を果たすことなんだよ! そんじょそこらの超常現象は効かないぜ」

「だったら力づくで気絶させるまでだぞ!」

バサリと勢いよく振るわれたイビルンの翼がこちらに迫る。

「――――ッ!?」

しかしイビルンの翼は、デビルンの拳のような翼に掴まれて、私に届きはしなかった。

「おい! 俺様の餌に傷をつけようとするな!」

「ごめんだぞ、だけど、食事の邪魔をする方が今は悪いんだぞ!」

イビルンが翼を元の状態である数センチに戻して、トライデントを構えながらこちらへやって来る。

「――下がれ! アゲハ!」

「――もう遅いぞ!」

トライデントごとお腹めがけて突っ込んでくるイビルン。

「――くっ!? オカルト舐めんな! デビルズシールド!」

私は西洋風のルーン文字が書かれたお札を盾にしてイビルンの攻撃を防いだ。

「――さっすが! 真のオカルト少女!」

デビルンが翼の拳を目一杯握り込んでイビルンに攻撃し――ドガンと、そのまま協会の壁まで押しつぶした。この時教会全体が揺れたので倒壊するのではと少し心配していた。

「ま、参ったぞ……あんちゃん……」

倒した悪魔からトライデントを取り上げて、二槍流になったデビルンはその両方の切っ先をイビルンに向けていた。

「俺様の勝ちだぜイビルン。――アゲハ! もう自由に動いていいぞ!」

私はお札をしまってダークネス・カイザー様の元へ向かい吊るされた状態を何とかした。そうして頭を膝の上に身体を床に置く。いわゆる膝枕状態である。

「アゲハ! 頭を下にさげろ!」

デビルンがこちらに向かって一本のトライデントを投げかけて来た。その狙いは私ではなく、ましてやダークネス・カイザー様でもなく、後ろにあった祭壇の上に置かれたお香だった。

――バリンとお香は壊れてしまい匂いもなくなっていった。

「――カイザー様! ダークネス・カイザー様!」

私はダークネス・カイザー様の頬を何度かペチペチと軽くたたいて起こそうと試みる。そして――

「……う、むぅ……デイネ、ブリス、パピヨンか……」

ダークネス・カイザー様は目を覚まされた。

「はい、貴方の忠実なるしもべデイネブリスパピヨンですよ」

こうして私たちはイビルンの契約をめちゃくちゃにしてやったのだった。
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