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【R15】ずっと恋人同士、夜のおしゃべり
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※浮気な彼氏シリーズの暁都とたっくんのお話。ただ仲良しなだけの話です。笑
ーーー
「暁都さん、またまた出版おめでとう~!」
乾杯とグラスを合わせた。暁都さんと暮らすこのマンションで、僕らはささやかなパーティーを開いていた。
「へへたっくんありがとう!君のおかげ!」
リビングの長テーブルで横に座る僕のことをぎゅう~と抱きしめた暁都さん。暁都さんは僕のことが好きすぎてこういうハグにめちゃ愛がこもっているから、僕も暁都さんが好きだ。(伝わる?)
「さっ食べよ♪」
暁都さんに散々ちょっかいをかけられながら作った料理の数々。ここでの暮らしも長くなり、慣れたものだった。
『あ~ん♪』『美味しい~♡』『わっ指まで舐めないでよもう~♡』とかずっとイチャイチャキャッキャキャッキャやっている。これは30代男性二人の会話としてアリなのかと思うと正直ちょっと不明なんだけど、でも良いんだ。誰も見てないし!
ピトってくっついて座ってるから、ちょっと食べてはチュッとかやっても良いんだよ。えへ。
「たっくんそんなに俺のこと見上げるなよ」
「暁都さんが僕のことずっと見てるんじゃん」
「そうだっけ~?」
っていってまたチュッてした。へへ、ばかみたいなのを二人して楽しんでいる。
「たっくんといるとこの部屋が楽しくなるなあ」
なんて満足そうに微笑んでくれる暁都さんが、僕は嬉しい。
自分で言うのもナンだけど、愛されてると思う!
僕らは付き合い始めてからずっと熱々仲良しカップルなんだ。暁都さんは僕に冷めたりしない。(今のところ……!)
暁都さんとは安心して一緒にいられる。こんな関係性が、僕には途方もなく嬉しかった。
「さっ今日は俺がたっくんのこと想いながら書いた原作がドラマになったやつ、ネットフリックスで流そう。それでとっといたワインも一緒に飲もうね~♡」
「うん!」
それにしてもここのところ暁都さんの才能が爆発し過ぎて色んなところでひっぱりだこだ。こんな売れっ子作家さんが僕の旦那様だなんて、ほんと恐縮。しかも超イケメンなんだよ!ありがたや……。
隣に仲良く並んで、料理食べながら流し見してるドラマは良い感じだった。
ドラマの主人公くんがなかなか報われない片想いしてるんだよね。
『俺には君だけだよ』って言うんだけど、人間不信の相手役の子にそっけなくされたりして……。
「ねえ暁都さん」
「うん?」
「ぶっちゃけこれって初期の僕と暁都さんのことだよね?」
「そうだっけ?」
「いやどのセリフにも既視感があるよ」
「えー?」
「とぼけないでよ~」
すると暁都さんは僕の方を振り返り、ワイン片手にっと悪戯に微笑んだ。
ほろ酔いの暁都さんはイケメンぶりに磨きがかかり、僕はドキッとする。今でも。
暁都さんはワインをテーブルに置くと、僕の手に自身の手を重ねた。僕はつい、鼓動が早くなる。この先を期待して……。
「……そしたらたっくんのこともっかい口説いてみようかな?」
間近に顔を寄せて、吐息が感じられるギリギリのところで止まった暁都さん。あり得ないくらい整ってて今更だけど僕はドキドキが鳴り止まない。至近距離で見つめ合い、二人の視線はお互いの瞳と唇を交互に彷徨い……どちらともなくキスをした。
そしてそのまま柔らかい床のラグに二人して沈み込んだ。流しっぱなしのドラマからは、俳優の口説き文句が聞こえてくる。僕らはお互いの身体に腕を回して衣服を脱がせ合っているから、全部は聞こえてないけど……。
暁都さんが考えたセリフだから、暁都さんらしい言い回しでキュンて感じなんだけど。
でもやっぱり、暁都さん本人から聞く、本物の口説き文句の方が僕には断然ときめくって話で……。
やがて僕らは荒々しく唇を貪ることしか出来なくなり……。
◾️
それから何戦か交え、ベッドに移動した。
暁都さんの腕枕に頭を預ける僕。眠くてけだるい空気だけど、それもまた良かった。
チラと見上げる至近距離の暁都さんはやっぱりかっこいい。大好き。
だけどふと思った。
「……そういえばさあ。昔はこういうとき、煙草吸ったりしてたの?」
「んー?いや?俺はベッドで吸わない派。これからも吸わないよ。灰がたっくんの肌に落ちたら熱いから」
「へへ……」
暁都さんが煙草吸ってたのは昔結婚してたときだ。なんか、過去の暁都さんはこういう時どうだったんだろうって、ふとそんな変な嫉妬混じりの質問をしてしまったんだけど。
鋭く僕の気持ちをキャッチして、包んでくれるところが最高に好き……。暁都さんのこんなところがやっぱり好きだなあ、自慢の旦那さまだ……。
「ね、そういえば今出版して何冊目くらいなの?」
ふと聞いた。自慢の旦那様のことそういえば知らないことも多いから。そしたらさ。
「38冊目」
「えっ!?え!?聞き間違い!?」
「まあ、なんかデカい賞とったやつとか、そういう記念碑的なやつだけたっくんに言ってるから。ほどほどのやつは粛々と出版してるよ」
「えっそうだったの!?」
「大体俺の年齢と一緒だよね~ハハ。最近ペース早いんだ。このペースでいけば100冊刊行出来ると思う🌟」
「お、おおお……!」
正直、普段はややちゃらんぽらん(ごめんなさい)で僕にちょっかい出してばかりいる暁都さん(でも真面目にやってるのは知ってる!)が、そんな嘘の様なスピードで出版しているとは思っていなかった。
暁都さんは僕の方に身を寄せて、僕を空いてる腕で抱きしめてきた。
「どう?すごい?ときめいちゃった?」
おどけている様でいて、瞳の奥にほんのりと怯えが見える気がする。暁都さんの柔らかくてウェーブがかった髪がくすぐったい。艶のある滑らかな声が鼓膜に響く。
「うん。すごいな~って思ってるよ。さすがだね」
暁都さんは僕のうしろ頭を撫でた。
「たっくんにそう思われたくて毎日頑張ってるから。ハハ」
そのまま僕に熱のこもったキスをした。
「……やっぱり良いなあ。君のいる毎日。君がいることが当たり前の日々。
俺は書いて時折出版し、君は俺にパーティー料理を振る舞う。愛のあるセックス。
多分来年も再来年もずっとこの日々が続けば良いなあ。いやきっと続くはずなんだ。俺は君のいるこの暮らしがずっと気に入っている。
俺は君より歳上だけど、出来る限り長生きしたいなあ……って思って……」
暁都さんはウトウトとそのまま眠ってしまった。
「暁都さん。僕だって暁都さんとの暮らしが大好きだよ?ってふふ、寝ちゃって聞いてないよね……」
僕は眠るのがもったいなくて、しばらく眠らずにいた。ベッドサイドのランプもつけたまま。
今日はたまたま雨が降ってたから、部屋に干したままの洗濯物。僕のセーターに暁都さんのジーンズなんかもある。
僕と暁都さんの二人の暮らしが根付いている部屋が、なんだか丸ごと愛おしかった。
外からは柔らかい雨音が聞こえている……。
翌日。
昨日は熱い夜を過ごしてしまったなあ……とぼんやり皿を洗いながら頰を赤らめた僕。
その名残なのか、今日も暁都さんが出版社に打ち合わせで出かけていく前に、ひとしきりキャッキャイチャイチャしてしまった。
朝、僕を後ろから抱きしめて僕のうなじに頬を擦りつけてたまらないって感じにキスしてきてさ。暁都さんの体温に僕もドキドキしてしまって……朝からその、致しちゃったよね。その後は一緒に手を繋いでシャワー浴びに行ったし。そういうのが嬉しい僕だったり。
暁都さんと僕はずっと仲良しで、なんだかんだ長い付き合いになってるんだけど、でもずっと恋人同士って感じだなあ。いや新婚夫婦?おざなり感がなくって僕は嬉しかった。
このままずっとらぶらぶ仲良しな夫婦でいたいな。でもきっと暁都さんならずっとそうしてくれるハズだ。そう思ったらじんわり暖かいものが込み上げてきて、へへっと僕はひとり破顔した。
いやあ、暁都さんみたいな人がパートナーで本当良かった♡浮気した元彼氏に感謝……な~んて。
さて今日は暁都さんの書斎の掃除でもしよう。旦那様に尽くそう。本棚がすごいことになってるんだよね。
そうして掃除していたら。
本棚の1番下に、分厚い難しそうな本に紛れてなんか薄い本が刺さっていた。本というか、プリントして雑にホッチキスで止めただけのやつ。
はてこれは……?
何だろう?タイトルは『淫獣』ハア、なんか難しそうだな。
あ、でもこの文体は暁都さんのだな。自分で書いて印刷したやつか。
そういえばなんか暁都さん、最近夜な夜な何か書いてたな。『純文学の賞レースに出すやつで~』とか言って何書いてるか全然教えてくれなかったやつ。もしかしてあれかな?
ぺらぺらとページを読み進める。
どんな内容なんだろ?
「… …うん!?……こ、これって……」
読みながら僕は即、頬に血が昇るのを感じた。
血が沸騰するとはまさにこのこと。
心臓はドキドキバクバクお祭り状態!僕は震える手でページを捲り続けた!
その時。
ガチャ、と呑気に玄関ドアが開いた。まっすぐこちらへくる足音。
「たっくん~ただいまあ♡……ってげえっ!」
光の速さで紙の束を取り上げた暁都さん。
いやもう読んでるから!
「暁都さん!さっきの小説!
何で僕がサキュバスで暁都さんが聖職者設定な訳!?なんで僕がやらしく教会で暁都さん押し倒してんの!!??何で何十ページにも渡って暁都さんから搾り取ってんの!??」
プロ作家による濃厚過ぎる絡みが描かれていてさ!流石だよこっちは赤面だよ!!
昨日みたドラマ(僕らのふんわりオマージュ)どころじゃないっ!!!!
「えっいや俺と君の話じゃないからね!?」
「名前がミクタとトキアって、いやまんまじゃん!容姿も全部一緒だし!」
「ったまたまかぶることはある!」
「ないよ!💢」
往生際の悪い暁都さんから例の冊子は取り上げた。
「あああ~ッ!!!!俺の夢が」
「パソコンのデータも消すこと💢」
「ええ~!!!?」
「流出したらどうするんだよっ!」
しょんぼりした暁都さん。
「……うぁあん」
泣き真似してもダメだからね!
……と、恋人らしくアツアツに過ごしたり、しっぽり過ごしたり、時にこうしてわいきゃいと僕らの日常は過ぎていく。まあ全体的に愛おしい日々なのは変わらない。
ちなみに結局折衷案で、公式二次創作(?)を破棄させる代わりに、僕はベッドでサキュバス役をやらされる羽目となった。やだって言ったのに!
「……ほ、ほら僕に全部ちょうだい。美味しいの僕に全部、だ……出して……」
「え~?聞こえないなあもう一回言って!」
その瞬間ズグ!と下から強く押し上げられて僕は喘いだ。ぐりぐりとそのまま中をかき混ぜられて息も絶え絶え。
ノリノリで僕になんか紫のスケスケの怪しいコスプレまでさせてさ。
「う~ん最高♡」
とか言って、あの小説通りに何回も体位を変えて僕を喰らい尽くした暁都さん。
いやサキュバスどっちだよって話!もう~!
おわり
ーーー
ほんわかエエ話に見せかけたドタバタラブコメ。
前半のしっぽり感が後半で吹っ飛びましたね!笑
それもコミの、彼らの愛おしい日常を描きました。
ーーー
「暁都さん、またまた出版おめでとう~!」
乾杯とグラスを合わせた。暁都さんと暮らすこのマンションで、僕らはささやかなパーティーを開いていた。
「へへたっくんありがとう!君のおかげ!」
リビングの長テーブルで横に座る僕のことをぎゅう~と抱きしめた暁都さん。暁都さんは僕のことが好きすぎてこういうハグにめちゃ愛がこもっているから、僕も暁都さんが好きだ。(伝わる?)
「さっ食べよ♪」
暁都さんに散々ちょっかいをかけられながら作った料理の数々。ここでの暮らしも長くなり、慣れたものだった。
『あ~ん♪』『美味しい~♡』『わっ指まで舐めないでよもう~♡』とかずっとイチャイチャキャッキャキャッキャやっている。これは30代男性二人の会話としてアリなのかと思うと正直ちょっと不明なんだけど、でも良いんだ。誰も見てないし!
ピトってくっついて座ってるから、ちょっと食べてはチュッとかやっても良いんだよ。えへ。
「たっくんそんなに俺のこと見上げるなよ」
「暁都さんが僕のことずっと見てるんじゃん」
「そうだっけ~?」
っていってまたチュッてした。へへ、ばかみたいなのを二人して楽しんでいる。
「たっくんといるとこの部屋が楽しくなるなあ」
なんて満足そうに微笑んでくれる暁都さんが、僕は嬉しい。
自分で言うのもナンだけど、愛されてると思う!
僕らは付き合い始めてからずっと熱々仲良しカップルなんだ。暁都さんは僕に冷めたりしない。(今のところ……!)
暁都さんとは安心して一緒にいられる。こんな関係性が、僕には途方もなく嬉しかった。
「さっ今日は俺がたっくんのこと想いながら書いた原作がドラマになったやつ、ネットフリックスで流そう。それでとっといたワインも一緒に飲もうね~♡」
「うん!」
それにしてもここのところ暁都さんの才能が爆発し過ぎて色んなところでひっぱりだこだ。こんな売れっ子作家さんが僕の旦那様だなんて、ほんと恐縮。しかも超イケメンなんだよ!ありがたや……。
隣に仲良く並んで、料理食べながら流し見してるドラマは良い感じだった。
ドラマの主人公くんがなかなか報われない片想いしてるんだよね。
『俺には君だけだよ』って言うんだけど、人間不信の相手役の子にそっけなくされたりして……。
「ねえ暁都さん」
「うん?」
「ぶっちゃけこれって初期の僕と暁都さんのことだよね?」
「そうだっけ?」
「いやどのセリフにも既視感があるよ」
「えー?」
「とぼけないでよ~」
すると暁都さんは僕の方を振り返り、ワイン片手にっと悪戯に微笑んだ。
ほろ酔いの暁都さんはイケメンぶりに磨きがかかり、僕はドキッとする。今でも。
暁都さんはワインをテーブルに置くと、僕の手に自身の手を重ねた。僕はつい、鼓動が早くなる。この先を期待して……。
「……そしたらたっくんのこともっかい口説いてみようかな?」
間近に顔を寄せて、吐息が感じられるギリギリのところで止まった暁都さん。あり得ないくらい整ってて今更だけど僕はドキドキが鳴り止まない。至近距離で見つめ合い、二人の視線はお互いの瞳と唇を交互に彷徨い……どちらともなくキスをした。
そしてそのまま柔らかい床のラグに二人して沈み込んだ。流しっぱなしのドラマからは、俳優の口説き文句が聞こえてくる。僕らはお互いの身体に腕を回して衣服を脱がせ合っているから、全部は聞こえてないけど……。
暁都さんが考えたセリフだから、暁都さんらしい言い回しでキュンて感じなんだけど。
でもやっぱり、暁都さん本人から聞く、本物の口説き文句の方が僕には断然ときめくって話で……。
やがて僕らは荒々しく唇を貪ることしか出来なくなり……。
◾️
それから何戦か交え、ベッドに移動した。
暁都さんの腕枕に頭を預ける僕。眠くてけだるい空気だけど、それもまた良かった。
チラと見上げる至近距離の暁都さんはやっぱりかっこいい。大好き。
だけどふと思った。
「……そういえばさあ。昔はこういうとき、煙草吸ったりしてたの?」
「んー?いや?俺はベッドで吸わない派。これからも吸わないよ。灰がたっくんの肌に落ちたら熱いから」
「へへ……」
暁都さんが煙草吸ってたのは昔結婚してたときだ。なんか、過去の暁都さんはこういう時どうだったんだろうって、ふとそんな変な嫉妬混じりの質問をしてしまったんだけど。
鋭く僕の気持ちをキャッチして、包んでくれるところが最高に好き……。暁都さんのこんなところがやっぱり好きだなあ、自慢の旦那さまだ……。
「ね、そういえば今出版して何冊目くらいなの?」
ふと聞いた。自慢の旦那様のことそういえば知らないことも多いから。そしたらさ。
「38冊目」
「えっ!?え!?聞き間違い!?」
「まあ、なんかデカい賞とったやつとか、そういう記念碑的なやつだけたっくんに言ってるから。ほどほどのやつは粛々と出版してるよ」
「えっそうだったの!?」
「大体俺の年齢と一緒だよね~ハハ。最近ペース早いんだ。このペースでいけば100冊刊行出来ると思う🌟」
「お、おおお……!」
正直、普段はややちゃらんぽらん(ごめんなさい)で僕にちょっかい出してばかりいる暁都さん(でも真面目にやってるのは知ってる!)が、そんな嘘の様なスピードで出版しているとは思っていなかった。
暁都さんは僕の方に身を寄せて、僕を空いてる腕で抱きしめてきた。
「どう?すごい?ときめいちゃった?」
おどけている様でいて、瞳の奥にほんのりと怯えが見える気がする。暁都さんの柔らかくてウェーブがかった髪がくすぐったい。艶のある滑らかな声が鼓膜に響く。
「うん。すごいな~って思ってるよ。さすがだね」
暁都さんは僕のうしろ頭を撫でた。
「たっくんにそう思われたくて毎日頑張ってるから。ハハ」
そのまま僕に熱のこもったキスをした。
「……やっぱり良いなあ。君のいる毎日。君がいることが当たり前の日々。
俺は書いて時折出版し、君は俺にパーティー料理を振る舞う。愛のあるセックス。
多分来年も再来年もずっとこの日々が続けば良いなあ。いやきっと続くはずなんだ。俺は君のいるこの暮らしがずっと気に入っている。
俺は君より歳上だけど、出来る限り長生きしたいなあ……って思って……」
暁都さんはウトウトとそのまま眠ってしまった。
「暁都さん。僕だって暁都さんとの暮らしが大好きだよ?ってふふ、寝ちゃって聞いてないよね……」
僕は眠るのがもったいなくて、しばらく眠らずにいた。ベッドサイドのランプもつけたまま。
今日はたまたま雨が降ってたから、部屋に干したままの洗濯物。僕のセーターに暁都さんのジーンズなんかもある。
僕と暁都さんの二人の暮らしが根付いている部屋が、なんだか丸ごと愛おしかった。
外からは柔らかい雨音が聞こえている……。
翌日。
昨日は熱い夜を過ごしてしまったなあ……とぼんやり皿を洗いながら頰を赤らめた僕。
その名残なのか、今日も暁都さんが出版社に打ち合わせで出かけていく前に、ひとしきりキャッキャイチャイチャしてしまった。
朝、僕を後ろから抱きしめて僕のうなじに頬を擦りつけてたまらないって感じにキスしてきてさ。暁都さんの体温に僕もドキドキしてしまって……朝からその、致しちゃったよね。その後は一緒に手を繋いでシャワー浴びに行ったし。そういうのが嬉しい僕だったり。
暁都さんと僕はずっと仲良しで、なんだかんだ長い付き合いになってるんだけど、でもずっと恋人同士って感じだなあ。いや新婚夫婦?おざなり感がなくって僕は嬉しかった。
このままずっとらぶらぶ仲良しな夫婦でいたいな。でもきっと暁都さんならずっとそうしてくれるハズだ。そう思ったらじんわり暖かいものが込み上げてきて、へへっと僕はひとり破顔した。
いやあ、暁都さんみたいな人がパートナーで本当良かった♡浮気した元彼氏に感謝……な~んて。
さて今日は暁都さんの書斎の掃除でもしよう。旦那様に尽くそう。本棚がすごいことになってるんだよね。
そうして掃除していたら。
本棚の1番下に、分厚い難しそうな本に紛れてなんか薄い本が刺さっていた。本というか、プリントして雑にホッチキスで止めただけのやつ。
はてこれは……?
何だろう?タイトルは『淫獣』ハア、なんか難しそうだな。
あ、でもこの文体は暁都さんのだな。自分で書いて印刷したやつか。
そういえばなんか暁都さん、最近夜な夜な何か書いてたな。『純文学の賞レースに出すやつで~』とか言って何書いてるか全然教えてくれなかったやつ。もしかしてあれかな?
ぺらぺらとページを読み進める。
どんな内容なんだろ?
「… …うん!?……こ、これって……」
読みながら僕は即、頬に血が昇るのを感じた。
血が沸騰するとはまさにこのこと。
心臓はドキドキバクバクお祭り状態!僕は震える手でページを捲り続けた!
その時。
ガチャ、と呑気に玄関ドアが開いた。まっすぐこちらへくる足音。
「たっくん~ただいまあ♡……ってげえっ!」
光の速さで紙の束を取り上げた暁都さん。
いやもう読んでるから!
「暁都さん!さっきの小説!
何で僕がサキュバスで暁都さんが聖職者設定な訳!?なんで僕がやらしく教会で暁都さん押し倒してんの!!??何で何十ページにも渡って暁都さんから搾り取ってんの!??」
プロ作家による濃厚過ぎる絡みが描かれていてさ!流石だよこっちは赤面だよ!!
昨日みたドラマ(僕らのふんわりオマージュ)どころじゃないっ!!!!
「えっいや俺と君の話じゃないからね!?」
「名前がミクタとトキアって、いやまんまじゃん!容姿も全部一緒だし!」
「ったまたまかぶることはある!」
「ないよ!💢」
往生際の悪い暁都さんから例の冊子は取り上げた。
「あああ~ッ!!!!俺の夢が」
「パソコンのデータも消すこと💢」
「ええ~!!!?」
「流出したらどうするんだよっ!」
しょんぼりした暁都さん。
「……うぁあん」
泣き真似してもダメだからね!
……と、恋人らしくアツアツに過ごしたり、しっぽり過ごしたり、時にこうしてわいきゃいと僕らの日常は過ぎていく。まあ全体的に愛おしい日々なのは変わらない。
ちなみに結局折衷案で、公式二次創作(?)を破棄させる代わりに、僕はベッドでサキュバス役をやらされる羽目となった。やだって言ったのに!
「……ほ、ほら僕に全部ちょうだい。美味しいの僕に全部、だ……出して……」
「え~?聞こえないなあもう一回言って!」
その瞬間ズグ!と下から強く押し上げられて僕は喘いだ。ぐりぐりとそのまま中をかき混ぜられて息も絶え絶え。
ノリノリで僕になんか紫のスケスケの怪しいコスプレまでさせてさ。
「う~ん最高♡」
とか言って、あの小説通りに何回も体位を変えて僕を喰らい尽くした暁都さん。
いやサキュバスどっちだよって話!もう~!
おわり
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ほんわかエエ話に見せかけたドタバタラブコメ。
前半のしっぽり感が後半で吹っ飛びましたね!笑
それもコミの、彼らの愛おしい日常を描きました。
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