浮気な彼氏

月夜の晩に

文字の大きさ
14 / 70

【浮気な彼氏#5-1】浮気した元彼の襲来

しおりを挟む
悪戯な手が身体を這う。

壁に押し付けられて、キスが深くなっていく。


息が上がる。このままだと・・
ぷはと束の間唇を離した暁都さんのその瞳が、ベッドへと誘っている。

間近で見つめられてドキドキと心臓が胸を打つ。聞こえてしまわないだろうか。




でも・・

僕は瞳を伏せて、ぐいとその身体を押し返した。この先は、まだ僕には早かった。


「帰ります、今日は・・」

暁都さんは残念そうに眉を顰めてみせると、僕を一度だけギュウッと強く抱きしめた。


「・・またね。次は止めないよ」

耳元で言われて心の柔らかい部分がざわりと震えた。









早朝の海辺をひとり歩いて帰る。

なんだか足取りがふわふわして、現実味がなかった。


ここ最近、一気にいろんなことがありすぎた。
もしかして僕、夢でも見てるんじゃないかと思うくらいに。



・・ふと、自分は浮気されたショックで白昼夢を見ていて、ハッと気づいたらあの日あの場所にまだいるんじゃないか、なんて考えて怖くなった。


本当はこんな東北の海沿いの街なんてなくて、僕は惨めなあの日のまま・・




『ピイィ!』

びくっとして我に帰る。見上げれば、鳥が弧を描いて飛んでいく所だった。

そして鳥の羽ばたく空にはいまだ暁が残り、それがあの人を連想させた。


「・・・!」

さっきの行為が一気に思い出されて、ドッドッと心臓が脈打ち、カァッと頬が熱くなった。



いや、こんなにドキドキしてる。夢なんかじゃない。

暁都さんに出会ったことも、あの情熱的な視線も、一歩踏みこんだ関係になったことも。



僕は暁都さんのことが頭から離れなくなってしまった。何をしても、どこにいても・・








その日の夜。


相変わらず大量にLINEを送ってきていた元彼に僕は意を決してあるメッセージを送った。

『僕ねえ、他の人と付き合うことにしたよ。今までありがとう!さようなら』




  

厳密に言えば違うのだが、そういうことにしておいた。

気持ちの上ではもう暁都さんに傾いているのだ。ならケジメをつけなきゃと思った。



交際していた時の楽しい記憶が頭の中を駆け巡った。この後に及んで寂しかった。



一瞬で既読がついて、電話が来たけど無視した。


ブロックして本当に終了・・と思っていたら、メッセージが滑り込んできた。


『分かった。そしたら最後に一度だけ会ってくれないか?
今まで付き合ってくれたお礼を言わせて欲しい。それで諦めるから』




こんなメッセージが来て、ふいに迷ってしまった。

長く付き合ってたし、確かに終わりだけはちゃんと会った方が良いのかな・・と思ったんだ。




せっかくの楽しかった思い出は、『今までありがとう』で締めたい。そんな想いもあった。




だから今の僕の最寄駅、から5つ隣の駅を教えてみた。


ま、どうせこんな遠いところまでは結局会いになんて来ないだろう。


思ってたより遠いから、面倒になってどうせ音信不通に・・と思ってはいたのだが。


『今から行く』


って返信がすぐに来た。間も無くして次にスクショが。
23時着の電車で行くからって。




だから慌てて返信した。
『ウチには泊めれないよ』

って。その辺期待されても本当に困る。



『良いよ、お前に会えれば俺は野宿でも』


『下手したら1分とかしか、会えないかもよ?てか、やっぱり僕は待ち合わせ場所に行かないかもしれないし』



そう返信したら。


『良いよ、それでも』

って。


信じられない。今から彼はこっちに本当に来るらしかった。

以前はあんなに塩対応だった彼が。






続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

【完結】君の穿ったインソムニア

古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。 純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。 「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」 陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。

箱入りオメガの受難

おもちDX
BL
社会人の瑠璃は突然の発情期を知らないアルファの男と過ごしてしまう。記憶にないが瑠璃は大学生の地味系男子、琥珀と致してしまったらしい。 元の生活に戻ろうとするも、琥珀はストーカーのように付きまといだし、なぜか瑠璃はだんだん絆されていってしまう。 ある日瑠璃は、発情期を見知らぬイケメンと過ごす夢を見て混乱に陥る。これはあの日の記憶?知らない相手は誰? 不器用なアルファとオメガのドタバタ勘違いラブストーリー。 現代オメガバース ※R要素は限りなく薄いです。 この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。ありがたいことに、グローバルコミック賞をいただきました。 https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

勘違いへたれアルファと一途つよかわオメガ──ずっと好きだったのは、自分だけだと思ってた

星群ネオン
BL
幼い頃に結婚の約束をした──成長とともにだんだん疎遠になったアルファとオメガのお話。 美しい池のほとりで出会ったアルファとオメガはその後…。 強くてへたれなアルファと、可愛くて一途なオメガ。 ありがちなオメガバース設定です。Rシーンはありません。 実のところ勘違いなのは二人共とも言えます。 α視点を2話、Ω視点を2話の後、その後を2話の全6話完結。 勘違いへたれアルファ 新井裕吾(あらい・ゆうご) 23歳 一途つよかわオメガ 御門翠(みがと・すい) 23歳 アルファポリス初投稿です。 ※本作は作者の別作品「きらきらオメガは子種が欲しい!~」や「一生分の恋のあと~」と同じ世界、共通の人物が登場します。 それぞれ独立した作品なので、他の作品を未読でも問題なくお読みいただけます。

幸せごはんの作り方

コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。 しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。 そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。 仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。

処理中です...