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第二章:スイーツ王子と盗難事件
第十一話~私にケーキを食べさせたのは誰だ~
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私のことを指さして発狂するベルトリオ。
やべ、フラグ立ったと思いながらも、私は再びケーキを口に含む。残り二割。今口に含んだ分をお茶で流し、残りのケーキに手を付けようとした。
お残しはいけない。悪い子になってしまう。
だというのに、豚のベルトリオの奴と来たら、叫びながら私に近づいて、いきなりテーブルをたたいてきた。
「プッシュランランの一日5個という数量限定のフルーツケーキっ!」
「何を言っているの、ベルトリオ。意味が分からないんだけど」
「意味が分からないのはこちらだ、愚か者。なぜ汝がそれを食べておる」
「なぜって、起きたらテーブルに置いてあったし」
「ううう、嘘を付くなっ! それは金庫で厳重に管理していたものだぞ。客とはいえ、朝食に出すケーキではない。汝、我のケーキを奪いおったな」
「は? え?」
いやいや、私はただ机の上に置いてあるケーキを食べただけなんだけど。何も悪いことしていないんだけどっ!
だというのに、まるで事件発生とでも言うように話だけが勝手に進んでいく。
「汝は窃盗の容疑で死刑だっ! これから裁判が始まる。せいぜい言い訳を考えるんだな」
「ちょちょちょ、ま、えー」
朝机の上に置いてあったケーキ。それを食べたことにより、私が窃盗犯として処刑される事案が発生した。
おい、ちょっとまて。今までなんのフラグもたっていなかったでしょう。なのになんで唐突に破滅イベントが始まっちゃってるのよっ!
意味わからないっ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
突然始まった破滅イベントに頭を悩ませながら、私はとある場所に来ていた。
そこは調理場。昨日、ロディに案内されて納豆巻きを食べた場所だ。
ここの奥にある大きな冷蔵庫。そこに奴があったという。
奴というのは、今回の破滅イベントが始まったきっかけとなった、何とかというお店の数量限定フルーツケーキ。
あの豚は、金庫の中にケーキを入れて、金庫ごと冷蔵庫に入れていたという。
そして今朝、食べようと思って金庫を開けたら空になっており、探し回ったところ私が部屋でフルーツケーキを食べているところを発見される。
あの豚の言い分は、私が勝手に冷蔵庫をあさって金庫を破り、ケーキを奪って部屋で食べたと言うことになっている。
その言い分、おかしくない?
そもそも、私がそのケーキにについて知る機会なんてなかった。
調理場にいた時も納豆巻きを食べているぐらいで、ほかには何もしていない。
それに冷蔵庫の中に入っていないのに、なんで私がそこに金庫があると気が付かなければならないのよ。絶対におかしいでしょう。
という訳で、私はまず調理場に行くことにした。
調理場にたどり着くと、昨日と納豆巻き男とロディが出迎えてくれた。
「嬢ちゃん、残念だったな。決定的な証拠を示さないと処刑だぞ。たとえ冤罪とは言えな」
「だったら証言してよ。私何もしてないし……」
「それが出来たら苦労しないんだけど、うちの坊ちゃんはいったん信じ込んだら最後、決定的な何かがあるまで他を信じなくなるからなー」
ロディの話を聞いていて、うわぁめんどくせーと思った。
話を聞いている限り、物的証拠がないと豚のベルトリオは信じてはくれないということだろう。
無理じゃん。ないものをどうやって証明しろと?
悪魔の証明に近いよね。
いるものは、それを連れてくるだけで証明できるけど、いないものはどうやったって証明できない。
つまり、私がやっていないとう物的証拠なんてあるわけもなく、証明することなんてできない。
私がしなかったなんて、どうやっても説明できないもん。
科学の技術が発展した世界なら、監視カメラなどでやってないことを証明できる。
でも、ここは中世ヨーロッパ風な『恋愛は破滅の後で』の世界。そんな便利なものがあるわけもなく、私はどうしようかと頭を悩ませる。
そして、私は逃げ道を思いついた。
いったん考え方を変えよう。まず、私がやっていないということを調べるのが間違っているんだ。
犯行動機など、やっていないとう理由はいくつもあげられるが、本当にやっていないのなら、それに対する物的証拠なんてあるわけがない。
そんなないものを探すより別のものを探したほうがいいものがある。
私がやっていないのではなく、誰かがやった証拠を見つければ、必然的に私はやっていないという証明になるんだ。
うむ、私が生き残る道はこれしかない。
「ロディ、とりあえず私は冷蔵庫を見たい。中に入っていい?」
「別にいいが、食材には触るなよ」
「了解、ではでは……」
大きな扉を開けて、頑張って開けて、私は冷蔵庫の中に入る。
ふと、なんで中世ヨーロッパ風の世界に冷蔵庫なんて近代文明的なものがあるんだろう疑問に思ったが、首を振ってその疑問を忘れ去る。
今大事なのは、私の無実の証明。それ以外は考える必要なんてない。
冷蔵庫の中はとても寒く、6歳児の体に寒冷ダメージを与える。ちゅめたい。
体を震わせながら、私は例の金庫の前に立つ。そして私はげんなりとした。
この金庫……指紋認証式じゃん。私に開けることなんて不可能じゃねぇ。
いったいどうやって私がこの金庫を開けるのよ。
というか、なんで指紋認証式なんていう高度なテクノロジーが使用された金庫がこの世界にあるんだろう。いろいろとぐちゃぐちゃすぎてわけわからん。
まあいいや。謎の指紋認証式金庫については置いておこう。
私は自分の記憶を漁り、この金庫を開ける方法を考えた。
そして、とある漫画に乗っていた方法を思い出した。
そういえば、ゼラチンを使って簡単に指紋認証を突破できるんだった。
えっと、最初は指紋を採取するんだっけ。小麦粉でいいのかな? 粉を吹き付けてテープで採取するんだっけ。それか、接着剤を気化させて、指紋に付着するから固定化できるとかなんとか。
ぶっちゃけ、漫画知識だからどこまで正しいのか分からないけど、これで指紋の採取ができるはず。
採取した指紋を使って型を作り、型にゼラチンを流しこんで固めれば、ゼラチンフェイク指紋というものが出来上がる。
これでやすやすと指紋認証を突破できるはずだ。
そういえば、YouTubeとかでも、みかんの皮でスマフォの指紋認証突破とかあったなー。
まあいい、これで指紋認証を突破する方法を思いついた。でもこれが証拠になるわけではない。
だって、ゼラチンフェイク指紋は証拠をなくせる。
だって、食べたら証拠なんてなくなるんだから。
やり方はわかったけど……これでは振出に戻ったようなもの。
というか、方法を知ってしまった今、私はさらに疑われる立場になったようなものだ。
どうしよう……。
やべ、フラグ立ったと思いながらも、私は再びケーキを口に含む。残り二割。今口に含んだ分をお茶で流し、残りのケーキに手を付けようとした。
お残しはいけない。悪い子になってしまう。
だというのに、豚のベルトリオの奴と来たら、叫びながら私に近づいて、いきなりテーブルをたたいてきた。
「プッシュランランの一日5個という数量限定のフルーツケーキっ!」
「何を言っているの、ベルトリオ。意味が分からないんだけど」
「意味が分からないのはこちらだ、愚か者。なぜ汝がそれを食べておる」
「なぜって、起きたらテーブルに置いてあったし」
「ううう、嘘を付くなっ! それは金庫で厳重に管理していたものだぞ。客とはいえ、朝食に出すケーキではない。汝、我のケーキを奪いおったな」
「は? え?」
いやいや、私はただ机の上に置いてあるケーキを食べただけなんだけど。何も悪いことしていないんだけどっ!
だというのに、まるで事件発生とでも言うように話だけが勝手に進んでいく。
「汝は窃盗の容疑で死刑だっ! これから裁判が始まる。せいぜい言い訳を考えるんだな」
「ちょちょちょ、ま、えー」
朝机の上に置いてあったケーキ。それを食べたことにより、私が窃盗犯として処刑される事案が発生した。
おい、ちょっとまて。今までなんのフラグもたっていなかったでしょう。なのになんで唐突に破滅イベントが始まっちゃってるのよっ!
意味わからないっ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
突然始まった破滅イベントに頭を悩ませながら、私はとある場所に来ていた。
そこは調理場。昨日、ロディに案内されて納豆巻きを食べた場所だ。
ここの奥にある大きな冷蔵庫。そこに奴があったという。
奴というのは、今回の破滅イベントが始まったきっかけとなった、何とかというお店の数量限定フルーツケーキ。
あの豚は、金庫の中にケーキを入れて、金庫ごと冷蔵庫に入れていたという。
そして今朝、食べようと思って金庫を開けたら空になっており、探し回ったところ私が部屋でフルーツケーキを食べているところを発見される。
あの豚の言い分は、私が勝手に冷蔵庫をあさって金庫を破り、ケーキを奪って部屋で食べたと言うことになっている。
その言い分、おかしくない?
そもそも、私がそのケーキにについて知る機会なんてなかった。
調理場にいた時も納豆巻きを食べているぐらいで、ほかには何もしていない。
それに冷蔵庫の中に入っていないのに、なんで私がそこに金庫があると気が付かなければならないのよ。絶対におかしいでしょう。
という訳で、私はまず調理場に行くことにした。
調理場にたどり着くと、昨日と納豆巻き男とロディが出迎えてくれた。
「嬢ちゃん、残念だったな。決定的な証拠を示さないと処刑だぞ。たとえ冤罪とは言えな」
「だったら証言してよ。私何もしてないし……」
「それが出来たら苦労しないんだけど、うちの坊ちゃんはいったん信じ込んだら最後、決定的な何かがあるまで他を信じなくなるからなー」
ロディの話を聞いていて、うわぁめんどくせーと思った。
話を聞いている限り、物的証拠がないと豚のベルトリオは信じてはくれないということだろう。
無理じゃん。ないものをどうやって証明しろと?
悪魔の証明に近いよね。
いるものは、それを連れてくるだけで証明できるけど、いないものはどうやったって証明できない。
つまり、私がやっていないとう物的証拠なんてあるわけもなく、証明することなんてできない。
私がしなかったなんて、どうやっても説明できないもん。
科学の技術が発展した世界なら、監視カメラなどでやってないことを証明できる。
でも、ここは中世ヨーロッパ風な『恋愛は破滅の後で』の世界。そんな便利なものがあるわけもなく、私はどうしようかと頭を悩ませる。
そして、私は逃げ道を思いついた。
いったん考え方を変えよう。まず、私がやっていないということを調べるのが間違っているんだ。
犯行動機など、やっていないとう理由はいくつもあげられるが、本当にやっていないのなら、それに対する物的証拠なんてあるわけがない。
そんなないものを探すより別のものを探したほうがいいものがある。
私がやっていないのではなく、誰かがやった証拠を見つければ、必然的に私はやっていないという証明になるんだ。
うむ、私が生き残る道はこれしかない。
「ロディ、とりあえず私は冷蔵庫を見たい。中に入っていい?」
「別にいいが、食材には触るなよ」
「了解、ではでは……」
大きな扉を開けて、頑張って開けて、私は冷蔵庫の中に入る。
ふと、なんで中世ヨーロッパ風の世界に冷蔵庫なんて近代文明的なものがあるんだろう疑問に思ったが、首を振ってその疑問を忘れ去る。
今大事なのは、私の無実の証明。それ以外は考える必要なんてない。
冷蔵庫の中はとても寒く、6歳児の体に寒冷ダメージを与える。ちゅめたい。
体を震わせながら、私は例の金庫の前に立つ。そして私はげんなりとした。
この金庫……指紋認証式じゃん。私に開けることなんて不可能じゃねぇ。
いったいどうやって私がこの金庫を開けるのよ。
というか、なんで指紋認証式なんていう高度なテクノロジーが使用された金庫がこの世界にあるんだろう。いろいろとぐちゃぐちゃすぎてわけわからん。
まあいいや。謎の指紋認証式金庫については置いておこう。
私は自分の記憶を漁り、この金庫を開ける方法を考えた。
そして、とある漫画に乗っていた方法を思い出した。
そういえば、ゼラチンを使って簡単に指紋認証を突破できるんだった。
えっと、最初は指紋を採取するんだっけ。小麦粉でいいのかな? 粉を吹き付けてテープで採取するんだっけ。それか、接着剤を気化させて、指紋に付着するから固定化できるとかなんとか。
ぶっちゃけ、漫画知識だからどこまで正しいのか分からないけど、これで指紋の採取ができるはず。
採取した指紋を使って型を作り、型にゼラチンを流しこんで固めれば、ゼラチンフェイク指紋というものが出来上がる。
これでやすやすと指紋認証を突破できるはずだ。
そういえば、YouTubeとかでも、みかんの皮でスマフォの指紋認証突破とかあったなー。
まあいい、これで指紋認証を突破する方法を思いついた。でもこれが証拠になるわけではない。
だって、ゼラチンフェイク指紋は証拠をなくせる。
だって、食べたら証拠なんてなくなるんだから。
やり方はわかったけど……これでは振出に戻ったようなもの。
というか、方法を知ってしまった今、私はさらに疑われる立場になったようなものだ。
どうしよう……。
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