11 / 17
第八話『水紋に弟子入りってこれどうなの?……後編』
しおりを挟む
「ねぇ、料理教室をやらないんだったらもういいかな?」
そろそろ夕飯の買い物に行きたいんだよね。冷蔵庫の中は多少あるけど、ちょっと心もとない。おいしい料理はみんなを笑顔にするからね。僕はそれに手を抜くほどいい加減にこの仕事をしていないよ。
時間は有限。さっさとして欲しいものだ。
「んじゃあ、そろそろ始めますか。ウチはここで適当に眺めているから、あとよろしく」
「菜乃華、だんだんめんどくさくなってきてない?」
「そ、そんなことないと思うけど。ほら、ウチは取材みたいなことをやっているわけだし、じっくり眺めて試食だけさせてもらうわ」
「うわぁ……夕飯前に食べたりしたら太るぞ」
「い、いいもん、その分動くから!」
白い牙をむき出しにして威嚇してくる。まるで獣のようだ。太るは禁句だったかな。そりゃあ女の子は言われたくないって思うかもしれないけど、それぐらい言っておかないと菜乃華は止まらないだろうしね。
「さぁ始めようか料理教室、女子力を探して」
「まるで天体観測にでも行くようなフレーズ」
「そんな言葉が自然に出るなんて、さすがは水紋師匠です」
「ちょっと、美香と望愛は黙ろうか。それで、何を作るの?」
そう質問してみると、なんか美香と望愛は悩み始める。まるでテスト中にわからない問題にあたって頭を悩ませているような、そんな感じ。一体何を考えているのやら。
もしかして、どんな料理があるのわからない?
いやいや、そんなわけないよ。高校生なんだから、親に作ってもらったり、外食したりしているんだから。
というか、何を作ろうとかすら考えていなんだろうな。そっちのほうがありえる。
となると、こっちから何を作るか提示しないといけないのかな。さてさて、何を作ろうか。ちょうど小麦粉と卵とバターなんてものがあるし、クッキーとかでいいかな。女の子に手作りクッキーをプレゼントされると嬉しいって漫画に書いてあったし。
「水紋師匠、私は北京ダックを作ってみたいです」
「え~、美香は北京ダック? そんなの作れないって。それよりも私はローストビーフを作りたい!」
「肉! 女子力向上のために肉! 美香、北京ダックは普通には無理だよ。絶対に作れない。そもそもアヒルが購入できないからね!」
「えっと……その言い方だと、アヒルがいれば作れるってことになるんですけど……」
「いや、無理でしょう。焼くための釜がないし、内蔵を取って干してって結構手間がかかる……」
「もしかして、設備さえあれば作れるんですか?」
「そりゃもちろん。作ったことあるから」
「すっげぇぇぇ、水紋師匠、マジパネェっす」
「ねぇ、水紋師匠? ローストビーフは? ローストビーフは作れるの?」
「望愛……よく聞きなさい」
「は、はい……」
「ローストビーフを作れるようになって誰にどう女子力をアピールするの? クリスマスパーティとかなら食事を楽しくできそうだけど、学校とかだと無理でしょうに……」
「た、たしかに……」
この二人は馬鹿なんだろうか。これだから女子力皆無とか言われるんだよ。そんなに肉を食べたかったのか? そう思わせる程にがっかりしている気がする。
だってさ、あからさまに残念そうなんだもん。
「はぁ……まあいいよ。とりあえずクッキーでも作りましょうか。気になる男の子に渡してあげれば喜ぶんじゃない?」
「……水紋って気になる男でもいるの?」
「な、菜乃華さんは一体何を言っているのかな? 僕は男ですよ?」
「そういえばそうだった。女の子っぽすぎて忘れてたわ」
「さっきまで覚えていたよね! ったく、そういうわけでクッキー作り始めるよ」
「「サー・イエス・サー」」
さて、始まりましたクッキー作り。不格好な手作りクッキーってもらうとなんか嬉しいよね。
今回使う材料はコレ。
小麦粉、卵、バター、砂糖、バニラエッセンス、たったこれだけ。
クッキーって割と簡単なんだけど、このふたりにできるだろうか?
いささか不安である。なんちって。そんなわけ……。
「うひゃあああああ、小麦粉が爆発した!」
「み、美香! 大丈ーーぶひゃぁぁっぁ、小麦粉が目にぃぃぃぃぃ、目が、目がぁぁぁっぁぁ」
小麦粉の袋を開けるだけでこの状況。前途多難だ。このふたりの女子力を向上させるのって無理なんじゃないだろうか。無理なんだろうなー。
どうしよう……。
「とりあえず二人共、僕の指示に従って。まずはオーブンを温めなさい」
「「サー・イエス・サー」」
これでまともに作ってくれればーー
「ぎゃぁぁぁ、オーブンから火が!」
「望愛、大丈ーーふがぁぁぁぁぁ、服がぁぁぁぁ」
「ちょ、火を消してぇぇっぇぇぇ!」
はぁはぁ、なんとか消火できた。今のはかなり危なかった。もう少しでリーベルが燃えてなくなるところだったよ。たかがクッキー作りになんでこんなになるんだろう。
このふたりに料理をさせちゃダメなんじゃないだろうか。
「はぁ……僕が作るから見ててよ」
「「わ、分かりました」」
というわけで、僕一人で作ることになりました。というか、オーブンを温めるだけで火を出す人初めて見た。もしかしてオーブンが壊れていたのかな?
今朝使ったときはなんともなかったんだけど。なにが悪かったんだろう……。
二人共落ち込んじゃったし、どうしたものか……。
「はぁ、失敗しちゃったね」
「そうだね。美香はなにが悪かったと思う?」
「なんだろう。普通に油をまんべんなく塗ってスイッチを押しただけなのに……。望愛は何か思い当たることってある?」
「私もわかんない……。師匠に呆れられちゃったかな」
「どうだろう……」
「「はぁ……」」
……まずはオーブンレンジの使い方を教えるべきだったかもしれない。オーブンレンジは文字どうり、オーブンとレンジの機能が合体した製品だ。レンジの時は横から電磁波を出して水分を振動させて温める。オーブンの時は上部のヒーターから焼き上げる。ちょっとした危険もあって、マメに掃除をしなければいけないんだよね、コレ。油の多いものを頻繁に使ったりしていると、その汚れがヒーターの部分に付着。それが原因で火を吹くことがある。だから油物を使っちゃいけないってことにはならないんだけど……。
それにしても……オーブンを温めるのに油を塗るか……。その発想はなかった。
……クッキーでも作ろう。
「んじゃあ、作るよ。焼けたオーブンレンジは置いておいて。バターを電子レンジで温める」
「「おお~」」
「はいはい、これぐらいで喜ばないの。ボールに溶けたバターと砂糖、卵、バニラエッセンスを入れる。バニラエッセンスは香り付けだから別に入れなくってもいいよ。そんでもって小麦粉を入れて、粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。これでクッキー生地が完成するよ」
出来たクッキー生地を適当に分けて、あとはオーブンで焼くだけなんだけど。さっき火を吹いて壊れてるっぽいしな~。使いたくないな~。どうしようか。
「ねぇ、さっきオーブンを壊してくれやがりましたよね」
「「は、はい……」」
「残念だけどこれを焼くことはーー」
「できるけど?」
「菜乃華は何を言っているのかな? オーブンないのにどうやって焼けと?」
「だって予備のオーブンレンジが物置にあるから。知ってた?」
「知るわけないでしょうに。いつ買ったのさ」
「だってお父さんもよく火を吹かせてたから。オーブンレンジってそんなものなんでしょう? 予備を揃えておくのは当たり前じゃない。にしても、こんな壊れやすい製品があんなに高いなんて、ひどいよね~」
「……ごめん、なんか……その……ごめん」
「な、なんで謝ってんのよ!」
……リーベルの五人姉妹が誰も料理できないの忘れてた。これって遺伝なんじゃないだろうか。
僕は物置に置いてあった予備のオーブンレンジを取り出す。壊れてしまったオーブンレンジと交換して、温め始める。
その間、誰も手伝ってくれなかった。寂しいな。美香と望愛はなぜか正座しているし、菜乃華は夢中で何かを書いている。時折ニシシと笑う姿が不気味だ。
十分に温まったら、クッキーを焼き始める。15分ほどしっかり焼いたら完成だ。今回はバターを少し多めに入れたから、さくっとした食感になるはず。少ないと固くなるんだよね。
「まぁこんな感じだけど、二人共わかった?」
「「……わ、分かりました」」
「んじゃあ今日は終わり。第一回女子力向上委員会料理教室はこれで閉幕です」
「「は、は~い」」
ダメだ、目が点になっている。これは全くわかっていないな。
別にいっか。僕のせいじゃないしね。
僕が作ったクッキーは三人で仲良く食べた。おいしいって喜んでもらえてよかったよ。特に美香は絶賛してくれて嬉しいな。望愛はチョコ系の方が好きらしく、甘さが足りないとのこと。太るぞと言いそうになったけど、僕は耐えた。だって菜乃華でさえ怒るんだから。望愛を怒らせたら何されるかわからないしね。
なんだかんだいって楽しい時間だったさ。
あ、人数が少ない気がするのは菜乃華が食べていないからなんだ。あいつ、書くのに夢中になりすぎて菜乃華が食べていないことを見落としていた。気がついたときには全部なくなっていたよ。
菜乃華は涙目になっていたな。あとで作ってあげよう。
そして次の日。美香と望愛の家で火事が起こったのは言うまでもない。全焼はしなかったけど、親にこっぴどく叱られたとか叱られていないとか。
ただ、死にそうな顔をしていたとだけ言っておこう。
お父さん、お母さん、あと姉。僕にふたりの弟子ができました。そのふたりは女子力が皆無という珍しい人種です。普通なら多少は持っていそうなんですけどね。
それにしても、小麦粉を爆破させるし、オーブン使って火を吹かせるしで散々。このふたりの女子力向上のために料理を覚えさせるのは僕に無理そうです。
まずは……機材の使い方から教えようと思います。きっとガスコンロすら使えないですから……。
最終的に思ったことは、美香と望愛は女子力以前に色々と勉強が必要なんじゃないかと思いました。
とりあず……頑張ります。
そろそろ夕飯の買い物に行きたいんだよね。冷蔵庫の中は多少あるけど、ちょっと心もとない。おいしい料理はみんなを笑顔にするからね。僕はそれに手を抜くほどいい加減にこの仕事をしていないよ。
時間は有限。さっさとして欲しいものだ。
「んじゃあ、そろそろ始めますか。ウチはここで適当に眺めているから、あとよろしく」
「菜乃華、だんだんめんどくさくなってきてない?」
「そ、そんなことないと思うけど。ほら、ウチは取材みたいなことをやっているわけだし、じっくり眺めて試食だけさせてもらうわ」
「うわぁ……夕飯前に食べたりしたら太るぞ」
「い、いいもん、その分動くから!」
白い牙をむき出しにして威嚇してくる。まるで獣のようだ。太るは禁句だったかな。そりゃあ女の子は言われたくないって思うかもしれないけど、それぐらい言っておかないと菜乃華は止まらないだろうしね。
「さぁ始めようか料理教室、女子力を探して」
「まるで天体観測にでも行くようなフレーズ」
「そんな言葉が自然に出るなんて、さすがは水紋師匠です」
「ちょっと、美香と望愛は黙ろうか。それで、何を作るの?」
そう質問してみると、なんか美香と望愛は悩み始める。まるでテスト中にわからない問題にあたって頭を悩ませているような、そんな感じ。一体何を考えているのやら。
もしかして、どんな料理があるのわからない?
いやいや、そんなわけないよ。高校生なんだから、親に作ってもらったり、外食したりしているんだから。
というか、何を作ろうとかすら考えていなんだろうな。そっちのほうがありえる。
となると、こっちから何を作るか提示しないといけないのかな。さてさて、何を作ろうか。ちょうど小麦粉と卵とバターなんてものがあるし、クッキーとかでいいかな。女の子に手作りクッキーをプレゼントされると嬉しいって漫画に書いてあったし。
「水紋師匠、私は北京ダックを作ってみたいです」
「え~、美香は北京ダック? そんなの作れないって。それよりも私はローストビーフを作りたい!」
「肉! 女子力向上のために肉! 美香、北京ダックは普通には無理だよ。絶対に作れない。そもそもアヒルが購入できないからね!」
「えっと……その言い方だと、アヒルがいれば作れるってことになるんですけど……」
「いや、無理でしょう。焼くための釜がないし、内蔵を取って干してって結構手間がかかる……」
「もしかして、設備さえあれば作れるんですか?」
「そりゃもちろん。作ったことあるから」
「すっげぇぇぇ、水紋師匠、マジパネェっす」
「ねぇ、水紋師匠? ローストビーフは? ローストビーフは作れるの?」
「望愛……よく聞きなさい」
「は、はい……」
「ローストビーフを作れるようになって誰にどう女子力をアピールするの? クリスマスパーティとかなら食事を楽しくできそうだけど、学校とかだと無理でしょうに……」
「た、たしかに……」
この二人は馬鹿なんだろうか。これだから女子力皆無とか言われるんだよ。そんなに肉を食べたかったのか? そう思わせる程にがっかりしている気がする。
だってさ、あからさまに残念そうなんだもん。
「はぁ……まあいいよ。とりあえずクッキーでも作りましょうか。気になる男の子に渡してあげれば喜ぶんじゃない?」
「……水紋って気になる男でもいるの?」
「な、菜乃華さんは一体何を言っているのかな? 僕は男ですよ?」
「そういえばそうだった。女の子っぽすぎて忘れてたわ」
「さっきまで覚えていたよね! ったく、そういうわけでクッキー作り始めるよ」
「「サー・イエス・サー」」
さて、始まりましたクッキー作り。不格好な手作りクッキーってもらうとなんか嬉しいよね。
今回使う材料はコレ。
小麦粉、卵、バター、砂糖、バニラエッセンス、たったこれだけ。
クッキーって割と簡単なんだけど、このふたりにできるだろうか?
いささか不安である。なんちって。そんなわけ……。
「うひゃあああああ、小麦粉が爆発した!」
「み、美香! 大丈ーーぶひゃぁぁっぁ、小麦粉が目にぃぃぃぃぃ、目が、目がぁぁぁっぁぁ」
小麦粉の袋を開けるだけでこの状況。前途多難だ。このふたりの女子力を向上させるのって無理なんじゃないだろうか。無理なんだろうなー。
どうしよう……。
「とりあえず二人共、僕の指示に従って。まずはオーブンを温めなさい」
「「サー・イエス・サー」」
これでまともに作ってくれればーー
「ぎゃぁぁぁ、オーブンから火が!」
「望愛、大丈ーーふがぁぁぁぁぁ、服がぁぁぁぁ」
「ちょ、火を消してぇぇっぇぇぇ!」
はぁはぁ、なんとか消火できた。今のはかなり危なかった。もう少しでリーベルが燃えてなくなるところだったよ。たかがクッキー作りになんでこんなになるんだろう。
このふたりに料理をさせちゃダメなんじゃないだろうか。
「はぁ……僕が作るから見ててよ」
「「わ、分かりました」」
というわけで、僕一人で作ることになりました。というか、オーブンを温めるだけで火を出す人初めて見た。もしかしてオーブンが壊れていたのかな?
今朝使ったときはなんともなかったんだけど。なにが悪かったんだろう……。
二人共落ち込んじゃったし、どうしたものか……。
「はぁ、失敗しちゃったね」
「そうだね。美香はなにが悪かったと思う?」
「なんだろう。普通に油をまんべんなく塗ってスイッチを押しただけなのに……。望愛は何か思い当たることってある?」
「私もわかんない……。師匠に呆れられちゃったかな」
「どうだろう……」
「「はぁ……」」
……まずはオーブンレンジの使い方を教えるべきだったかもしれない。オーブンレンジは文字どうり、オーブンとレンジの機能が合体した製品だ。レンジの時は横から電磁波を出して水分を振動させて温める。オーブンの時は上部のヒーターから焼き上げる。ちょっとした危険もあって、マメに掃除をしなければいけないんだよね、コレ。油の多いものを頻繁に使ったりしていると、その汚れがヒーターの部分に付着。それが原因で火を吹くことがある。だから油物を使っちゃいけないってことにはならないんだけど……。
それにしても……オーブンを温めるのに油を塗るか……。その発想はなかった。
……クッキーでも作ろう。
「んじゃあ、作るよ。焼けたオーブンレンジは置いておいて。バターを電子レンジで温める」
「「おお~」」
「はいはい、これぐらいで喜ばないの。ボールに溶けたバターと砂糖、卵、バニラエッセンスを入れる。バニラエッセンスは香り付けだから別に入れなくってもいいよ。そんでもって小麦粉を入れて、粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。これでクッキー生地が完成するよ」
出来たクッキー生地を適当に分けて、あとはオーブンで焼くだけなんだけど。さっき火を吹いて壊れてるっぽいしな~。使いたくないな~。どうしようか。
「ねぇ、さっきオーブンを壊してくれやがりましたよね」
「「は、はい……」」
「残念だけどこれを焼くことはーー」
「できるけど?」
「菜乃華は何を言っているのかな? オーブンないのにどうやって焼けと?」
「だって予備のオーブンレンジが物置にあるから。知ってた?」
「知るわけないでしょうに。いつ買ったのさ」
「だってお父さんもよく火を吹かせてたから。オーブンレンジってそんなものなんでしょう? 予備を揃えておくのは当たり前じゃない。にしても、こんな壊れやすい製品があんなに高いなんて、ひどいよね~」
「……ごめん、なんか……その……ごめん」
「な、なんで謝ってんのよ!」
……リーベルの五人姉妹が誰も料理できないの忘れてた。これって遺伝なんじゃないだろうか。
僕は物置に置いてあった予備のオーブンレンジを取り出す。壊れてしまったオーブンレンジと交換して、温め始める。
その間、誰も手伝ってくれなかった。寂しいな。美香と望愛はなぜか正座しているし、菜乃華は夢中で何かを書いている。時折ニシシと笑う姿が不気味だ。
十分に温まったら、クッキーを焼き始める。15分ほどしっかり焼いたら完成だ。今回はバターを少し多めに入れたから、さくっとした食感になるはず。少ないと固くなるんだよね。
「まぁこんな感じだけど、二人共わかった?」
「「……わ、分かりました」」
「んじゃあ今日は終わり。第一回女子力向上委員会料理教室はこれで閉幕です」
「「は、は~い」」
ダメだ、目が点になっている。これは全くわかっていないな。
別にいっか。僕のせいじゃないしね。
僕が作ったクッキーは三人で仲良く食べた。おいしいって喜んでもらえてよかったよ。特に美香は絶賛してくれて嬉しいな。望愛はチョコ系の方が好きらしく、甘さが足りないとのこと。太るぞと言いそうになったけど、僕は耐えた。だって菜乃華でさえ怒るんだから。望愛を怒らせたら何されるかわからないしね。
なんだかんだいって楽しい時間だったさ。
あ、人数が少ない気がするのは菜乃華が食べていないからなんだ。あいつ、書くのに夢中になりすぎて菜乃華が食べていないことを見落としていた。気がついたときには全部なくなっていたよ。
菜乃華は涙目になっていたな。あとで作ってあげよう。
そして次の日。美香と望愛の家で火事が起こったのは言うまでもない。全焼はしなかったけど、親にこっぴどく叱られたとか叱られていないとか。
ただ、死にそうな顔をしていたとだけ言っておこう。
お父さん、お母さん、あと姉。僕にふたりの弟子ができました。そのふたりは女子力が皆無という珍しい人種です。普通なら多少は持っていそうなんですけどね。
それにしても、小麦粉を爆破させるし、オーブン使って火を吹かせるしで散々。このふたりの女子力向上のために料理を覚えさせるのは僕に無理そうです。
まずは……機材の使い方から教えようと思います。きっとガスコンロすら使えないですから……。
最終的に思ったことは、美香と望愛は女子力以前に色々と勉強が必要なんじゃないかと思いました。
とりあず……頑張ります。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜
二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。
そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。
その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。
どうも美華には不思議な力があるようで…?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる