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7つのくてくてと放浪の賢者
弟子と師匠と呪われた宝物_1
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盗賊を倒したヴィスたちは、捕獲した獲物 (盗賊)を引き連れて裏路地でひっそりと経営している酒場までやってきた。
「おっす、マスター。いるか。依頼達成してきたぞ」
マスターはヴィスが引き連れてきた盗賊たちの多さに顔を引きつらせる。
「お前、憲兵っところに引き取らせてから来いよ。こっち連れてくるな」
「いや、手続きとかめんどくさいからそっちでやってくれ。そして金くれ」
「たく、分かったよ。この盗賊たちは俺の方でどうにかしといてやる。その代わり、報酬2割は俺がもらうぞ」
報酬300万ギリの2割、つまり60万ギリがマスターの手元にわたってしまった。地味にアティーラへの報酬より高いが、そこについて誰も突っ込む奴らはいなかった。
「確かに、こいつらは西の街道に住み着く盗賊っぽいが、なんかおかしいな。聞いた話じゃこんなおかしな言動をする奴らじゃなかったはずなんだが……」
「おかしな薬でもやってたんじゃねぇ」
「うーん、確かに、ウィレット魔導連邦国のあるウィレット森林には、人をおかしくさせるような麻薬がそこら中に生えているという噂もあったが……。よし、盗賊たちは確認した。あとはワイバーンなんだが……」
その言葉を聞いて、ヴィスは首を傾げた。そしてふと思い出す。そういえば、盗賊たちが飼いならしているワイバーンがいたといたという話を聞いたような聞かなかったような。
首を傾げるヴィスに、マスターはちょっと怒り気味で言った。
「盗賊もそうだが、何より厄介なのはワイバーンなんだよ。そいつを倒さないでどうするさ」
「と言われても、いなかったしな……」
ヴィスとアティーラが見た盗賊は「女だ……女のにおいがする」と口走る、クスリやっちゃった系の頭おかしい奴らしかいなかった。どう考えてもあいつらがワイバーンを使役しているようには見えない。
「てことは、おいおい、お前、どうするんだよ。ワイバーンが野放しになっているってことじゃないか!」
「いなかったし、本当は飼ってないんじゃないか?」
あの場所には正義っ子のセーラもいた。もし相手がワイバーンなんかを使役を本当に使役しているのであれば、セーラとヴィスの戦いにワイバーンを使わないわけがなかった。
マスターはワイバーンが討伐されていない危険性を言い続ける。これはもしかして、ワイバーンを探しにもう一度行かないと報酬がもらえないのではとヴィスは思ってしまう。
そんな時だった。扉が力強く開かれる。ずるずると何かを引きずりながら、正義っ子のセーラがやってきた。
「ここにいましたか! 探しましたよっ」
「せ、セーラ! なんでここに……」
アティーラはすでにセーラの存在を忘れているらしく、首を傾げている。
セーラはニコニコしながら何かを引きずってヴィスの目の前にやってきた。
「えっと、ヴィスさん……ですね」
自己紹介をした覚えがないのだが……。
セーラとあってからのことを思い出しても、自己紹介をしたシーンが思い出せないヴィスは、少しばかし引きつった笑みを浮かべた。
勝手に名前を調べられる。行動を監視され、勝手に付きまとわれる。
これらの行動には見覚えがあった。
(こいつ、完全にストーカーじゃねぇか。やべえ女に引っかかったような気がするんだが……)
「その、あってます……よね」
「あ、ああ。確かに、俺の名前はヴィスだが……それより引き摺っているそれはなんだ」
「えっと、これですか」
セーラは引きずったものをモノを持ち上げて、ニコニコ笑顔でヴィスに見せびらかせた。
「ワイバーンです。あの後森で見つけたので、もってきました!」
「グギェェェェェエ」
セーラの握力で頭が粉砕されそうになりなりながらもギリギリで生きてるワイバーン。苦し気な声がとても可愛そうな声に聞こえてくる。
暴れようとするたびにセーラの手に力が加わっているように見え、ワイバーンは抵抗することをあきらめてしまったようだ。
(なんで生きたワイバーンを引き摺ってるんだよ!?)
ツッコミどころ満載のセーラにさすがのヴィスも狼狽えてしまう。
そんな状況の中で、空気を読まないアティーラが、おずおずとセーラの前に立つ。
「私の名前はアティーラ! 賭博の女神よ。そしてヴィスは私の金づる。そう簡単にかかわらせるわけにはいかないわ。用があるなら私を通してからにして頂戴!」
「ちょっと待て、誰が金づるだ、ゴラァ」
「ひぃ、ちょっと調子乗っただけでしょう。謝る、謝るから許して!」
ヴィスは謝るアティーラの言葉を無視して、綺麗なアイアンクローを加えた。
ヴィスの技を凝視するセーラは、テンションを上げて、その場でぴょんぴょんと跳ねた。
「すごい、かっこいい! こんなきれいなアイアンクローは初めて。こ、こうかな?」
そう言いながら、セーラはワイバーンの頭を掴んでいる手の力を徐々に強めていく。
ヴィスにとって、ワイバーンにアイアンクローをきめているほうが凄いように思える。セーラはヴィスを真似しているのか、更に力を強め、ワイバーンが苦しそうな声を漏らす。
そんな声なんて知らないと言わんばかりに力を強めて、そして、ワイバーンの頭がくしゃりと潰れた。
あまりにもショッキングな映像だったので、アティーラを掴んでいた手を放してしまう。
潰れたワイバーンからどくどくと流れる血の上にべちゃりと落とされたアティーラは「いてて」と言いながら血で汚れた手で顔を拭う。
「ちょっと、いきなり落とすってひどいじゃないっ!」
残念なことにアティーラは全く状況が読めていなかった。床に垂れる生暖かい血だまりで汚れた手で顔を拭い、さらに悲惨な状況になっていく。さらにヴィスに買ってもらったばかりの服が血で汚れていった。
「お前、ちょっとは周りを見ろよ」
「周りって何よ、何も……え、ナニコレ、服が汚れている。というか床がべちょべちょなんですけど! マスター、これってどういうことよ!」
(いや、それよりもセーラが握りつぶしたワイバーンに気が付けよ……)
そう思わずにはいられなかった。どうしてこうも残念なんだとヴィスは溜息をはく。
「マスター、ワイバーンの討伐も終わったっぽいぞ。あの森のワイバーンらしいし、盗賊たちのだろ? じゃあ金の用意はよろしく」
「その前に掃除しろよ! 店を汚すな」
「……という訳でアティーラ、掃除はよろしくな。もう10万ギリ追加でやるから」
「分かったわ、私に任せて!」
ワイバーンも無事に討伐が終わり、依頼の報酬もらえることになっただろうと思ったヴィスは、セーラの前に立つ。
「んで、お前は何をしにここに来た」
声をかけると、緊張のせいか分からないが、急に背筋を伸ばして真っすぐヴィスを見つめる。
その目がどう見ても憧れの人を目の前にした少女の目立った。憧れといっても、恋愛事とかそういう意味ではなく、尊敬している偉人や芸能人が目の前にいる時の反応という感じだ。
「あ、あの、ヴィスさん!」
少し潤んだ目で上目遣いをされると、妙にかわいく見える。だが、女は貢がせるというという謎の心情を持っているヴィスには響かない。
セーラは、緊張のせいか胸元に手を当てて、唇をきゅっと閉じる。少し目を瞑り、もう一度覚悟を決めてヴィスをもう一度見つめなおした。
その瞳には、決意の色が宿っていた。
こういうシーンに見覚えがある。どっからどう見ても告白シーンだ。これが荒くれものの集う裏通りの酒場であり、公衆の面前でなければ最高のシチュエーションだが、セーラは緊張のせいでそこまで頭が回っていない様子だ。
さて、どうやって貢がせようか。ヴィスは思考を巡らせて返答を考える。
「私を弟子にしてください!」
「貢いでくれるならいいぞ……………って、え、弟子?」
「やったぁ! お金ならいくらでも貢ぎます。なんたって私は皇族ですからね。お金はいくらでもありますよ!」
反射的に答えてしまったヴィスは後悔した。まさか告白ではなく弟子になりたいとは……。予測が外れてしまったヴィスは、とほほと肩を落とした。
「おっす、マスター。いるか。依頼達成してきたぞ」
マスターはヴィスが引き連れてきた盗賊たちの多さに顔を引きつらせる。
「お前、憲兵っところに引き取らせてから来いよ。こっち連れてくるな」
「いや、手続きとかめんどくさいからそっちでやってくれ。そして金くれ」
「たく、分かったよ。この盗賊たちは俺の方でどうにかしといてやる。その代わり、報酬2割は俺がもらうぞ」
報酬300万ギリの2割、つまり60万ギリがマスターの手元にわたってしまった。地味にアティーラへの報酬より高いが、そこについて誰も突っ込む奴らはいなかった。
「確かに、こいつらは西の街道に住み着く盗賊っぽいが、なんかおかしいな。聞いた話じゃこんなおかしな言動をする奴らじゃなかったはずなんだが……」
「おかしな薬でもやってたんじゃねぇ」
「うーん、確かに、ウィレット魔導連邦国のあるウィレット森林には、人をおかしくさせるような麻薬がそこら中に生えているという噂もあったが……。よし、盗賊たちは確認した。あとはワイバーンなんだが……」
その言葉を聞いて、ヴィスは首を傾げた。そしてふと思い出す。そういえば、盗賊たちが飼いならしているワイバーンがいたといたという話を聞いたような聞かなかったような。
首を傾げるヴィスに、マスターはちょっと怒り気味で言った。
「盗賊もそうだが、何より厄介なのはワイバーンなんだよ。そいつを倒さないでどうするさ」
「と言われても、いなかったしな……」
ヴィスとアティーラが見た盗賊は「女だ……女のにおいがする」と口走る、クスリやっちゃった系の頭おかしい奴らしかいなかった。どう考えてもあいつらがワイバーンを使役しているようには見えない。
「てことは、おいおい、お前、どうするんだよ。ワイバーンが野放しになっているってことじゃないか!」
「いなかったし、本当は飼ってないんじゃないか?」
あの場所には正義っ子のセーラもいた。もし相手がワイバーンなんかを使役を本当に使役しているのであれば、セーラとヴィスの戦いにワイバーンを使わないわけがなかった。
マスターはワイバーンが討伐されていない危険性を言い続ける。これはもしかして、ワイバーンを探しにもう一度行かないと報酬がもらえないのではとヴィスは思ってしまう。
そんな時だった。扉が力強く開かれる。ずるずると何かを引きずりながら、正義っ子のセーラがやってきた。
「ここにいましたか! 探しましたよっ」
「せ、セーラ! なんでここに……」
アティーラはすでにセーラの存在を忘れているらしく、首を傾げている。
セーラはニコニコしながら何かを引きずってヴィスの目の前にやってきた。
「えっと、ヴィスさん……ですね」
自己紹介をした覚えがないのだが……。
セーラとあってからのことを思い出しても、自己紹介をしたシーンが思い出せないヴィスは、少しばかし引きつった笑みを浮かべた。
勝手に名前を調べられる。行動を監視され、勝手に付きまとわれる。
これらの行動には見覚えがあった。
(こいつ、完全にストーカーじゃねぇか。やべえ女に引っかかったような気がするんだが……)
「その、あってます……よね」
「あ、ああ。確かに、俺の名前はヴィスだが……それより引き摺っているそれはなんだ」
「えっと、これですか」
セーラは引きずったものをモノを持ち上げて、ニコニコ笑顔でヴィスに見せびらかせた。
「ワイバーンです。あの後森で見つけたので、もってきました!」
「グギェェェェェエ」
セーラの握力で頭が粉砕されそうになりなりながらもギリギリで生きてるワイバーン。苦し気な声がとても可愛そうな声に聞こえてくる。
暴れようとするたびにセーラの手に力が加わっているように見え、ワイバーンは抵抗することをあきらめてしまったようだ。
(なんで生きたワイバーンを引き摺ってるんだよ!?)
ツッコミどころ満載のセーラにさすがのヴィスも狼狽えてしまう。
そんな状況の中で、空気を読まないアティーラが、おずおずとセーラの前に立つ。
「私の名前はアティーラ! 賭博の女神よ。そしてヴィスは私の金づる。そう簡単にかかわらせるわけにはいかないわ。用があるなら私を通してからにして頂戴!」
「ちょっと待て、誰が金づるだ、ゴラァ」
「ひぃ、ちょっと調子乗っただけでしょう。謝る、謝るから許して!」
ヴィスは謝るアティーラの言葉を無視して、綺麗なアイアンクローを加えた。
ヴィスの技を凝視するセーラは、テンションを上げて、その場でぴょんぴょんと跳ねた。
「すごい、かっこいい! こんなきれいなアイアンクローは初めて。こ、こうかな?」
そう言いながら、セーラはワイバーンの頭を掴んでいる手の力を徐々に強めていく。
ヴィスにとって、ワイバーンにアイアンクローをきめているほうが凄いように思える。セーラはヴィスを真似しているのか、更に力を強め、ワイバーンが苦しそうな声を漏らす。
そんな声なんて知らないと言わんばかりに力を強めて、そして、ワイバーンの頭がくしゃりと潰れた。
あまりにもショッキングな映像だったので、アティーラを掴んでいた手を放してしまう。
潰れたワイバーンからどくどくと流れる血の上にべちゃりと落とされたアティーラは「いてて」と言いながら血で汚れた手で顔を拭う。
「ちょっと、いきなり落とすってひどいじゃないっ!」
残念なことにアティーラは全く状況が読めていなかった。床に垂れる生暖かい血だまりで汚れた手で顔を拭い、さらに悲惨な状況になっていく。さらにヴィスに買ってもらったばかりの服が血で汚れていった。
「お前、ちょっとは周りを見ろよ」
「周りって何よ、何も……え、ナニコレ、服が汚れている。というか床がべちょべちょなんですけど! マスター、これってどういうことよ!」
(いや、それよりもセーラが握りつぶしたワイバーンに気が付けよ……)
そう思わずにはいられなかった。どうしてこうも残念なんだとヴィスは溜息をはく。
「マスター、ワイバーンの討伐も終わったっぽいぞ。あの森のワイバーンらしいし、盗賊たちのだろ? じゃあ金の用意はよろしく」
「その前に掃除しろよ! 店を汚すな」
「……という訳でアティーラ、掃除はよろしくな。もう10万ギリ追加でやるから」
「分かったわ、私に任せて!」
ワイバーンも無事に討伐が終わり、依頼の報酬もらえることになっただろうと思ったヴィスは、セーラの前に立つ。
「んで、お前は何をしにここに来た」
声をかけると、緊張のせいか分からないが、急に背筋を伸ばして真っすぐヴィスを見つめる。
その目がどう見ても憧れの人を目の前にした少女の目立った。憧れといっても、恋愛事とかそういう意味ではなく、尊敬している偉人や芸能人が目の前にいる時の反応という感じだ。
「あ、あの、ヴィスさん!」
少し潤んだ目で上目遣いをされると、妙にかわいく見える。だが、女は貢がせるというという謎の心情を持っているヴィスには響かない。
セーラは、緊張のせいか胸元に手を当てて、唇をきゅっと閉じる。少し目を瞑り、もう一度覚悟を決めてヴィスをもう一度見つめなおした。
その瞳には、決意の色が宿っていた。
こういうシーンに見覚えがある。どっからどう見ても告白シーンだ。これが荒くれものの集う裏通りの酒場であり、公衆の面前でなければ最高のシチュエーションだが、セーラは緊張のせいでそこまで頭が回っていない様子だ。
さて、どうやって貢がせようか。ヴィスは思考を巡らせて返答を考える。
「私を弟子にしてください!」
「貢いでくれるならいいぞ……………って、え、弟子?」
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